第32回 2011年度、「外国語活動」の本格実施まで―「第1回小学校英語に関する基本調査(教員調査)」より
Benesse教育研究開発センター 福本 優美子 (2008/9/17更新)
2008年3月、学習指導要領が告示され、いよいよ小学5、6年生に週1時間、「外国語活動」が導入されることが正式に決まった。全面的に実施されるのは、移行期間(2009〜2010年)を経て2011年からだが、すでに多くの学校でその取り組みは始まっている。文部科学省は共通教材の開発など、必修化への対応を進めているが、今後、小学校での「外国語活動」はどのように進められていくのか、現在の動向からみてみよう。
学習指導要領の小学校における「外国語活動」の目標をみると、「外国語を通じて、言語や文化について体験的に理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませながら、コミュニケーション能力の素地を養う」とある。そして、「学級担任」が中心となって実施することが求められている。現在、その「学級担任」が中心となって小学校での英語活動を行っているのは、約2割程度(「第1回小学校英語に関する基本調査」)であり、「学級担任」が中心で行うということは、様々な準備が必要となるだろう。そこで、文部科学省では必修化への対応として、「外国語活動の質的水準を確保するため」に、いくつかの支援を用意している。
まず、共通教材として「英語ノート」(CD付き)、「英語ノート」の指導資料、電子黒板用のソフト、研修のためのガイドブックやDVDなどの配布、文科省のHP上への「小学校外国語活動サイト」(http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gaikokugo/index.htm)の開設、また、教員研修も実施されている。
この中の「英語ノート(試作版)」・教員向け指導資料は、約550校の小学校(拠点校)に、全国に先駆けてすでに配布されている。拠点校は小学校での「外国語活動」の取り組みについて推進する地域のモデル校的な役割を求められ、全小学校の中から選定・指定されている。現在は試作版である「英語ノート」は、その拠点校からの意見を踏まえて修正を加えられ、2009年度から使用できるように、今年度(2008年度)中に全小学校に配布される予定である。ちなみに、「英語ノート」は教科書ではないので、その使用は義務づけられていない。すでに、学校・地域ごとに取り組みを始めているところでは、独自の取り組み内容やカリキュラムなどがあるだろう。それぞれの実情に合わせて、「英語ノート」との併用を考える必要がある。「英語ノート」が実際に現場でどれだけ活用されるかは、今後の状況を見たい。
さて、すでに多くの小学校で何らかの形で取り組みが始まっている英語活動であるが、2011年度からの本格実施に向けて、2009年度からは移行期間といって準備期間となる。この期間は、5、6年生の「外国語活動」について、各学校の裁量により授業時数を定めて実施することが可能であり、各学年週1コマは「総合的な学習の時間」を充てることができる。また、移行期間中の時数は、「0〜35時間/年間」の範囲内で実施することができるので、これまでの取り組み実態に合わせて、徐々に時数を増やしていくことも可能である。
最後に、2006年に実施した前述の調査(「第1回小学校英語に関する基本調査(教員調査)」)結果から、小学校の先生(教務主任)が英語教育を行ううえで、とくに課題だと感じていることをみてみよう(図)。結果をみると、「指導する教員の英語力」や「教材の開発や準備のための時間」を課題にあげていた教員が多いが、課題だと感じていることは、それぞれが実施している時数によっても異なる。調査を行った2006年から現在までの2年間で、徐々に条件が整備されてきているようではあるが、今後、教員が感じている課題がどこまで解決されていくのか。また、必修化されることによってみえてくる新たな課題についても向き合う必要が出てくるかもしれない。

出典:第1回小学校英語に関する基本調査(教員調査)速報版、
該当ページ:p11 図1-14 英語教育の課題
現在は、授業時数や内容など、学校ごとにばらつきがある小学校での英語活動は、2011年度から必修化されることによって全小5、6年生が、年間35時間=週1時間の「外国語活動」を行うことになる。この全面実施は3年後だが、今年度中には「英語ノート」などの共通教材も配布され、小学校での「外国語活動」は、2011年を待たずに徐々に本格的になっていくだろう。ただ、すでに、ほとんどの小学校で何らかの英語活動がおこなわれているとはいえ、学校ごとのばらつきや指導者の問題、中学校との連携など、多くの課題が残っている。小学校での「外国語活動」が、中学校、高校へと続く一貫した英語教育の中にしっかりと位置づくものとなることを望む。
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