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Benesse発 2010年「子どもの教育を考える」
このコーナーでは、教育のあるべき姿をBenesse教育研究開発センターと、皆さんと共に考え、創りあげていきます。
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『Benesse発2010年「子どもの教育を考える」』更新終了のお知らせ

『Benesse発2010年「子どもの教育を考える」』は、2010年3月31日をもって、更新を終了させていただきました。
これまでたくさんのアクセスをいただき、ありがとうございました。

教育の第一人者からのビデオメッセージ 「2010年に向けて〜 教育への提言 」
第2回 「ネットワークによる支援」
 「2010年子どもの教育を考える」というテーマに対し、大妻女子大学教授の酒井朗先生から大切にしたいキーワードをあげていただき、お話を伺いました。第2回目は「ネットワークによる支援」です。

● 2つ目のキーワード「ネットワークによる支援」とはどういったものなのでしょうか?

 小学校、中学校といった学校の校種間の連携やつながり、学校と学校外の機関の連携やつながりの2つを総称して、「ネットワークによる支援」と言っています。
 一つは、今の世の中では、学童期は小学校、思春期は中学校、もう少し進むと高校、というように、それぞれの学校種で分けて指導するという形態をとっています。「ネットワーク支援」では、小学校1年生(あるいは幼稚園などの就学前の教育)から高校3年生まで、流れを持って子どもたちを育てていく視点が必要だと考えています。これは縦のつながりです。
 もう一つは、横のつながりで、学校と学校以外が連携して子どもたちを支援するという考えです。例えば、学習意欲が持てない子ども、不登校の子どもをどうやって支援するか考えるとき、学校と学校以外の機関が連携しあって支援していかなければならないと考えています。

● 「ネットワーク支援」は、子どもたちにとってはどのようなサポートになるのでしょうか?

 縦のつながりである校種間の連携ということを例にあげると、今、小1プロブレム、あるいは中1ギャップなどという言葉で、 小学校や中学校にあがるときに、様々な不適応の問題が生じていると言われています。子どもたちにとっては、新しい環境に移行するのに、非常に大きなストレスがかかると思われます。しかし、幼稚園・保育園の先生方と小学校の先生方が連携して、または小学校の先生方と中学校の先生方が連携しあって、 子どもたちが学校に適応できるように配慮してあげることで、ストレスを抱えがちな子どもたちがうまく学校を移行できるようになるでしょう。
 また、横のつながりである学校と学校外の機関の連携を深めると、学校に行けない子どもたちを学校以外の大人たちが支援することで、自分には学校以外にも居場所があるんだ、ここで勉強すればいいんだ、という安心を与えてあげることができるでしょう。

● では「ネットワーク支援」は、教師や保護者の方にとってはどのようなサポートになるのでしょうか?

 ネットワークという考え方は、教師や保護者の方にとっても支援になると考えています。例えば、先生方にとっては、小学校ですと学級担任として問題を抱え込み、 孤立してしまうことがあります。中学校の場合は、集団での指導体制はありますが、何かあると非難されてしまう。そのような中で、ネットワークがあると、先生方と地域の方が連携することで、地域で先生を応援し支えるということができ、先生方は安心して職務に専念することができるでしょう。
 また、保護者の方にとっては、不登校のお子さんをお持ちになると、どうしたらいいのだろうと悩みを抱え込んでしまいがちです。ネットワークの支援があると、どういったところに相談できる機関や学校外で学べる場が用意されているかといった情報を得て、安心することができるでしょう。

● 「ネットワーク支援」の現状について教えてください。

 校種間の連携、学校と学校以外の機関の連携は、政策的に進めていこうという動きがあります。実際に多くの自治体や学校で様々な取り組みがなされています。
 例えば、保育園・幼稚園と小学校の連携(保幼小連携)は、多くの自治体で実際の取り組みが始まっていますし、小学校と中学校の一貫教育も実施されています。学校と学校以外の機関の連携についても、多くの自治体が取り組んでおり、 連携のための連絡協力会議を開いて、定期的に情報交換をしている状況です。

● 今後、どのようなネットワークが求められるのでしょうか?

 大切なのは、子どもたちを今の社会の中で、全体で支援し、育てるということです。「第1回」でも申し上げたように、今の社会は、子どもの生育環境としてはとても厳しく、 子どもたちは将来に展望を持ちにくくなっています。それを大人たちの配慮によって、意欲を持たせて育てていくことが必要です。様々な機関が理念の下に連携しあっていくことが、今以上にますます必要ですし、実際にそのような動きが起きていると感じています。

● ネットワークを活用するとき、私たち大人はどのように活用したらいいのでしょうか?

 政策的には様々な動きがありますが、一般の方はあまりご存知でないという方も多いと思います。特に、学校不適応や不登校のお子さんを持つ保護者の方には、悩みを抱えてしまい、どこに相談したらよいか分からずに悶々とされている方が多くいらっしゃいます。そういう方は、用意されている様々な情報を得て欲しいと思います。自治体や教育委員会へ問い合わせれば、実は様々な情報が用意されていることに気づかれるでしょう。また、不登校の場合ですと、民間の団体により各地に「親の会」が組織されており、自分の抱えている悩みを共有するという場が用意されています。情報にアクセスすること、そしてそのような場に出向いて行くことで、ネットワークの活用がなされることを期待しています。
 なかなか電話しにくい、ということもあるかもしれません。しかし、仕組みを用意する側としては、何とかしてサポートしたいという思いでいます。どうぞ気軽に連絡していただければと思います。

(2009年5月16日収録)

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酒井 朗先生
酒井 朗(さかい あきら)
大妻女子大学教授
専門は、教育社会学、学校臨床社会学。不登校や学校不適応など児童生徒が抱える困難や、フリーター問題、子どものケータイ利用問題などの様々な教育問題を教育社会学という観点から研究をおこなう。著書に『進学支援の教育臨床社会学―商業高校におけるアクションリサーチ』『子どもの発達危機の理解と支援―漂流する子ども』『電子メディアのある「日常」―ケータイ・ネット・ゲームと生徒指導』などがある。