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学力保障に向けて、教師の授業力向上に必要なこと
──新しい枠組みが教師をいかに変えるか──
西川信廣[京都産業大学連携推進室長・文化学部教授]
荒木智雄[大阪府摂津市立第三中学校教諭]
今井雅雄[大阪府吹田市立竹見台中学校教諭]

確かな学力を保障するには、教師の授業力向上が不可欠だ。そのために、「小中一貫教育」という新しい枠組みの中での先駆的な取り組みが始まっている。
人口約8万人の大阪府摂津市。第三中学校区では、柳田小学校、三宅小学校、千里丘小学校の3校すべての6年生の国語の授業を週1時間ずつ、第三中学校の国語教諭が担当している。2003年からの大阪府事業、小中連携「いきいきスクール」の一環だ。同校区の柳田小学校では、文部科学省事業「学力向上フロンティアスクール」の研究指定校として教育改革を進める中で、小中一貫教育が模索された。4校同時兼務となる国語教諭が「いきいきティーチャー」として、学力の向上と小中の段差を埋める取り組みの推進役を担っている。
集合住宅が多いニュータウン、大阪府吹田市の竹見台中学校ブロック(校区)。03年に二つの小学校の統合で「1小1中」となったのを契機に、小中間の連携に取り組み始めた。学校のダウンサイジングという一見マイナスの出来事を、小中一貫という新しい教育の形を模索することによってプラスに変えていこうとする試みだ。竹見台中学校と千里たけみ小学校(学力向上フロンティアスクール指定校)のそれぞれの教員が、「カリキュラム」「交流」「児童・生徒指導」の3プロジェクトのいずれかに所属し、9年間を見通した小中一貫教育を進めている。そのキーパーソンとなるのが、小中各1名の「小中コーディネーター教員」だ。
これらの学校において、小中連携はどのように進められているのか。また、それを通じて教師の意識と行動はどう変わり、授業力の向上につながっているのだろうか。そして子どもたちの学力向上に成果は表れているのか。現場から2人の先生にご登場いただき、話をうかがった。
摂津市立第三中学校国語科の荒木智雄先生は、小中連携「いきいきティーチャー」として校区内三つの小学校の6年生国語科を週1時間ずつ担当している。
吹田市立竹見台中学校理科の今井雅雄先生は、小中一貫教育「交流プロジェクト」のチーフとして、千里たけみ小学校6年生の理科を年間通して担当している。
また、吹田市小中一貫教育推進協議会会長などの職務をはじめとして、現場の教師と連携して大阪における小中一貫教育の推進・指導に携わる京都産業大学連携推進室長・文化学部教授の西川信廣先生に進行役と補足解説をお願いした。
人口約8万人の大阪府摂津市。第三中学校区では、柳田小学校、三宅小学校、千里丘小学校の3校すべての6年生の国語の授業を週1時間ずつ、第三中学校の国語教諭が担当している。2003年からの大阪府事業、小中連携「いきいきスクール」の一環だ。同校区の柳田小学校では、文部科学省事業「学力向上フロンティアスクール」の研究指定校として教育改革を進める中で、小中一貫教育が模索された。4校同時兼務となる国語教諭が「いきいきティーチャー」として、学力の向上と小中の段差を埋める取り組みの推進役を担っている。
集合住宅が多いニュータウン、大阪府吹田市の竹見台中学校ブロック(校区)。03年に二つの小学校の統合で「1小1中」となったのを契機に、小中間の連携に取り組み始めた。学校のダウンサイジングという一見マイナスの出来事を、小中一貫という新しい教育の形を模索することによってプラスに変えていこうとする試みだ。竹見台中学校と千里たけみ小学校(学力向上フロンティアスクール指定校)のそれぞれの教員が、「カリキュラム」「交流」「児童・生徒指導」の3プロジェクトのいずれかに所属し、9年間を見通した小中一貫教育を進めている。そのキーパーソンとなるのが、小中各1名の「小中コーディネーター教員」だ。
これらの学校において、小中連携はどのように進められているのか。また、それを通じて教師の意識と行動はどう変わり、授業力の向上につながっているのだろうか。そして子どもたちの学力向上に成果は表れているのか。現場から2人の先生にご登場いただき、話をうかがった。
摂津市立第三中学校国語科の荒木智雄先生は、小中連携「いきいきティーチャー」として校区内三つの小学校の6年生国語科を週1時間ずつ担当している。
吹田市立竹見台中学校理科の今井雅雄先生は、小中一貫教育「交流プロジェクト」のチーフとして、千里たけみ小学校6年生の理科を年間通して担当している。
また、吹田市小中一貫教育推進協議会会長などの職務をはじめとして、現場の教師と連携して大阪における小中一貫教育の推進・指導に携わる京都産業大学連携推進室長・文化学部教授の西川信廣先生に進行役と補足解説をお願いした。
小中連携の推進役「いきいきティーチャー」と「小中コーディネーター教員」
西川 第三中学校の荒木先生は国語科、竹見台中学校の今井先生は理科の担当教諭として小中一貫教育に取り組んでおられます。まず、それぞれの校区で、どのような仕組みを工夫されているのか、お聞かせください。
荒木 03年から大阪府の小中連携「いきいきスクール」事業担当として柳田小学校の6年生に国語を教え始めました。しかし、「3小1中」の本校区では三つの小学生全員が第三中学校に上がってくるので、小中連携を進めるに当たっては、新入生を全員見てみたかった。また、小学校間でも段差がないようにと、2年目から3小学校すべてに通う4校兼務となり、小6と中1を2年間続けて見ることを主眼にしています。
私の場合、少人数加配の人員配置で、中学校では12時間の少人数授業。それと合わせて、小学校との行き来に時間がかかるので、小学校に1時間授業をしに出かけるためには中学校の時間割の中で2時間分かかる、という計算で配分しています。現在、3小学校それぞれ2・2・1の5クラスを1時間ずつ担当しており、月曜日に三宅小で1時間、火曜日に千里丘小で2時間、水・木曜日それぞれ1時間ずつ柳田小学校へ出かけています。4校兼務と学力向上委員会代表ということから、担任と副担任業務、「総合的な学習の時間」の担当などは免除されています。
小学校の授業を担当するだけでなく、小中連携の取り組みを推進する役割もあって、さまざまな小中合同の研修会や授業研究会などを進めているところです。本校区では小学校側の研究推進の意識が非常に高いので、そうした流れを中学校側へ持ち込むことには成功したかなと考えています。
今井 竹見台中学校ブロックでは、03年に二つの小学校が統合され「1小1中」になったのをきっかけに、小中一貫教育がスタートしました。推進組織として、小中それぞれの校内に三つのプロジェクトを設けています。第1に、算数・数学部会、英語部会、キャリア教育部会で構成される「カリキュラムプロジェクト」。第2に、交流・合同授業、行事や部活動・生徒会や児童会の交流、教職員の交流などを進める「交流プロジェクト」。第3に、子どもの情報交換と対応研究、合同研修会などを実施する「児童・生徒指導プロジェクト」。教職員は三つのうち、必ずどこかに所属します。各プロジェクトから独立した「事務連携プロジェクト」では、小中一貫教育を進める観点から、機能的・効率的な学校事務システムの構築に取り組んでいます。
こうした小中一貫教育推進の核となって、行事・研修・会議などの企画・立案・調整を行うのが小中1名ずつの「小中コーディネーター教員」です。小学校の小中コーディネーターは月・木曜日に中学校でさまざまな教科・学年に関わり、中学校の小中コーディネーターは火・金曜日に小学校で英語活動を中心に関わって、児童・生徒の様子を小中それぞれの教職員が共通して理解するための橋渡し役になっています。小中コーディネーター教員は学級担任をしておりません。
私自身は現在、「交流プロジェクト」のチーフを担当し、小学校6年生の理科の授業をすべて年間通して任されています。小学校の学年行事、学校行事、PTA行事などには可能な限り参加し、今年度は修学旅行にも参加させていただきました。
各プロジェクトのチーフ同士は月2回の招集会議があるし、他の教職員も必ず月1回の小中全体会議には参加します。会議以外にも、花見や親睦会やスポーツ大会なども盛んです。まずなによりも、小中の先生同士が顔見知りになり、互いの考えを理解することから始めたのがよかったのかな、と思いますね。
荒木 03年から大阪府の小中連携「いきいきスクール」事業担当として柳田小学校の6年生に国語を教え始めました。しかし、「3小1中」の本校区では三つの小学生全員が第三中学校に上がってくるので、小中連携を進めるに当たっては、新入生を全員見てみたかった。また、小学校間でも段差がないようにと、2年目から3小学校すべてに通う4校兼務となり、小6と中1を2年間続けて見ることを主眼にしています。
私の場合、少人数加配の人員配置で、中学校では12時間の少人数授業。それと合わせて、小学校との行き来に時間がかかるので、小学校に1時間授業をしに出かけるためには中学校の時間割の中で2時間分かかる、という計算で配分しています。現在、3小学校それぞれ2・2・1の5クラスを1時間ずつ担当しており、月曜日に三宅小で1時間、火曜日に千里丘小で2時間、水・木曜日それぞれ1時間ずつ柳田小学校へ出かけています。4校兼務と学力向上委員会代表ということから、担任と副担任業務、「総合的な学習の時間」の担当などは免除されています。
小学校の授業を担当するだけでなく、小中連携の取り組みを推進する役割もあって、さまざまな小中合同の研修会や授業研究会などを進めているところです。本校区では小学校側の研究推進の意識が非常に高いので、そうした流れを中学校側へ持ち込むことには成功したかなと考えています。
今井 竹見台中学校ブロックでは、03年に二つの小学校が統合され「1小1中」になったのをきっかけに、小中一貫教育がスタートしました。推進組織として、小中それぞれの校内に三つのプロジェクトを設けています。第1に、算数・数学部会、英語部会、キャリア教育部会で構成される「カリキュラムプロジェクト」。第2に、交流・合同授業、行事や部活動・生徒会や児童会の交流、教職員の交流などを進める「交流プロジェクト」。第3に、子どもの情報交換と対応研究、合同研修会などを実施する「児童・生徒指導プロジェクト」。教職員は三つのうち、必ずどこかに所属します。各プロジェクトから独立した「事務連携プロジェクト」では、小中一貫教育を進める観点から、機能的・効率的な学校事務システムの構築に取り組んでいます。
こうした小中一貫教育推進の核となって、行事・研修・会議などの企画・立案・調整を行うのが小中1名ずつの「小中コーディネーター教員」です。小学校の小中コーディネーターは月・木曜日に中学校でさまざまな教科・学年に関わり、中学校の小中コーディネーターは火・金曜日に小学校で英語活動を中心に関わって、児童・生徒の様子を小中それぞれの教職員が共通して理解するための橋渡し役になっています。小中コーディネーター教員は学級担任をしておりません。
私自身は現在、「交流プロジェクト」のチーフを担当し、小学校6年生の理科の授業をすべて年間通して任されています。小学校の学年行事、学校行事、PTA行事などには可能な限り参加し、今年度は修学旅行にも参加させていただきました。
各プロジェクトのチーフ同士は月2回の招集会議があるし、他の教職員も必ず月1回の小中全体会議には参加します。会議以外にも、花見や親睦会やスポーツ大会なども盛んです。まずなによりも、小中の先生同士が顔見知りになり、互いの考えを理解することから始めたのがよかったのかな、と思いますね。
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