BERD 2007 No.9
【特集】
インタビュー
profile
妹尾堅一郎
東京大学国際・産学共同研究センター客員教授
せのお けんいちろう

東京大学国際・産学共同研究センター客員教授。
NPO法人産学連携推進機構理事長。
慶應義塾大学経済学部卒業後、富士写真フイルム株式会社を経て、英国国立ランカスター大学経営大学院システム・情報経営学博士課程修了。
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授、東京大学先端科学技術研究センター特任教授等を経て、現職。
専門は問題学・構想学。
主著に『考える力をつけるための「読む」技術〜情報の解読と解釈〜』(ダイヤモンド社)、『知的情報の読み方』(水曜社)など多数。
Refarences
●『考える力をつけるための「読む」技術〜情報の解読と解釈〜』妹尾堅一郎著/ダイヤモンド社/2002年
●『知的情報の読み方』妹尾堅一郎著/水曜社/2004年
● 首相官邸知的財産戦略本部知的創造サイクル専門調査会資料「知財マネジメントにおける先端人財育成〜『互学互修』を通じて『先端領域の知』を創出する〜」妹尾堅一郎作成/2005年
http://www.kantei.go.jp/jp
/singi/titeki2/tyousakai
/cycle/dai2/2gijisidai.html

(首相官邸のサイトへ飛びます『[参考資料]<妹尾委員参考資料1>』)
● 中央教育審議会大学分科会制度部会意見発表資料「実務家教員のあり方と大学ADの育成」妹尾堅一郎作成/2006年
http://www.mext.go.jp
/b_menu/shingi/chukyo
/chukyo4/gijiroku/003
/06102415.htm

(文部科学省のサイトへ飛びます『4.配付資料 資料7』)
BERD
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人財育成イノベーションへ
── 先端領域の先端人財育成に向け既成の教育モデルから脱却せよ──
妹尾堅一郎[東京大学国際・産学共同研究センター客員教授]

妹尾堅一郎
   大学の使命は時代が要請する人財を育てることでもある。
 特に日本では知財マネジメントなど先端実践領域でのリーダー育成が急務となっている。
 先端実践領域を先導する人財を育成するには、どうしたらよいのだろうか。
 「互学互修」の教育モデルを提唱し、理論と実践の両面で先端人財育成に取り組む東京大学国際・産学共同研究センター客員教授・妹尾堅一郎先生に、新時代の「人財」を育てる大学教育の在り方をうかがった。
Q
今、社会が求めている先端人材とはどのような人材を指しているのですか。
  私は「人材」ではなく、「人財」と表現しています。つまり組織の「材料」としてではなく、自らの知識とスキルを基に、自ら考え・自ら判断し・自ら行動できる「自律した、価値を生む人」ですね。そのため、あえて「人材」を「人財」と書いています。
 ただ、そうした人財を本当に育てることができているか、実はそこはまだまだ未開拓の領域なんです。現在の多くの人財開発の試みの裏には困った思い込みがある。それは、すぐに役に立つ知識とスキルを身に付けたら優秀な人になるという思い込みです。知識やスキルを詰め込むだけなら、物知りや便利屋で済む。そうではなく、そうした知識やスキルを自ら習得し、それを使いこなす力を付けさせないといけない。つまり、「状況をどう捉えていくか」「何を問題や課題としてみなすか」「必要な知識をどうつかんでくるか」「それをいかに自分の知識体系に組み込んでいくか」「それを基に、いかにやりたいことを正当化していくか」「それをいかに実践できるか」が問われているのです。これができる人財こそが必要なのです。
Q

それは高度な専門知識を持ったプロフェッショナルを育てるということですか。

 確かにこれまで社会は高度な専門家を求めてきました。しかし、高度な専門家というのはとかくタコツボにはまりがちです。現代のようにさまざまな分野が複雑に絡む混沌とした時代ではフットワークよく動けません。
 もちろん、専門家には高度な専門性は必須です。だがそれはプロの必要条件であって十分条件ではない。専門性と共に、隣接分野をはじめ広い領域をカバーできてないといけない。今、必要とされるのは、このプロの「広域化」なんです。例えば、知的財産の業務には極めて高い専門性が求められます。だから企業の知財部員や弁理士たちはつい高度化を目指してしまう。しかし、実際の経営に資する「知財マネジメント」になると、隣接した経営・ビジネス領域の人たちとコミュニケーションがとれなければ問題状況に対処できない。つまり、逆説的ですが、広域化しなければ専門性を活かすことができないのです。逆にいえば、専門性を活かしたければ広域化しろということです。このパラドックスを理解してほしいですね。
 一方、プロの専門家を使ってメタレベルで仕切れるプロデューサも不足しています。日本ではコーディネータ型の人が尊重されていると思われますが、世の中が安定して相互利益を調整すればうまくいく時代ならともかく、混沌とした現在は、専門家を使って先端を切り拓くプロデューサこそが求められるのです。これが本当の「ジェネラリスト」なんです。日本では文系の何でも屋のイメージがありますが、本来ジェネラルとは将軍です。専門家を使いこなして作戦を遂行する人なんですね(図表1)。
図表[1]専門家に求められる能力と将来像
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