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クレームとエピソードを通じて伝承される接客の精神
マニュアルを超えた“気働き”が日本一を支える
能登和倉温泉 加賀屋

客に応じた臨機応変な対応を求められる接客業は、新人教育が難しい業種だといわれている。
「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で27年連続総合日本一という記録を誇る加賀屋を訪ね、サービスやもてなしの精神がどのように若い世代に受け継がれているのか、話をうかがった。
「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で27年連続総合日本一という記録を誇る加賀屋を訪ね、サービスやもてなしの精神がどのように若い世代に受け継がれているのか、話をうかがった。
クレームの周知と分析が“気働き”のヒントに
加賀屋は、能登半島の七尾湾に面した和倉温泉に位置している。能登空港から車で約50分と、必ずしもアクセスのよい立地条件でないにもかかわらず、年間30万人を超える宿泊客が訪れる。宿泊客の目当ては、温泉や料理もさることながら、加賀屋伝統の“心づくしのおもてなし”であるとされる。他の旅館では味わうことのできない極上のもてなしが、27年連続日本一という記録を支えている。
加賀屋の従業員はパート等も含めると約800人にのぼる。その内、宿泊客を担当する接客係は約200人。2007年3月には23人の新入社員を採用した。
新入社員はまず1週間の集中講義によって、挨拶や礼儀作法などの基礎教育を受ける。その後2か月〜2か月半にわたり、先輩の教育係に付き添いながら実際の接客を手伝い、業務の基本を学ぶ。そして入社3か月後に行われる社内審査に合格すると、1人で宿泊客を担当することになる。
だが、この教育期間だけで、“もてなしの心”を新入社員に教え込むことは難しい。客に応じた臨機応変な対応は、マニュアルにはしにくいものだからだ。3か月の社内教育を経た後も、自然なもてなしが身に付くまでは常に考え、学び続けることが求められる。
では、加賀屋ではどのようにして、接客の姿勢と精神を社員たちに伝えているのだろうか。まずは、小田孝信社長に接客のポリシーから聞いた。
「加賀屋ではモットーとして、『笑顔で気働き』を掲げています。もちろん接客マニュアルも作成していますが、『規則ですから』とマニュアル通りの対応をすると、逆にお客様には失礼にあたり、お叱りを受けることも多々あります。マニュアルはあくまでも基礎であり、その応用こそが気働きになるわけです。しかし、マニュアルと気働きの境を新入社員に伝えるのはたいへん難しい。そこで大切にしているのがお客様のクレームです。クレームの内容を分析すると、『こう対応すればクレームにはならなかった』ということが見えてくる。クレームは気働きの大きなヒントになるのです」
加賀屋では、客から受けたクレームをすべてまとめて「クレーム白書」を作成し、クレームの再発防止を徹底している。また、年に3回、全社員を集めての「クレームゼロ大会」を開催し、「クレーム大賞」の表彰も行う。クレーム大賞は大失態を演じた社員に対する表彰である。
「クレーム大賞は決して吊し上げのためにやるのではありません。大きなクレームは、それを分析して解決策を社員にフィードバックすることによって、むしろ加賀屋の財産になる。だからこそ、こうした表彰を行っているのです」(小田社長)
クレームを単なる苦情ではなく、“奇貨”として受け止めることで、マニュアル化できない気働きのノウハウを社員一人ひとりに蓄積していく。この点に関しては、新入社員の教育係を務める長子さんもまったく同じ考えだ。
「新人の失敗談は、新人全員が集まるミーティングで披露してもらっています。失敗の中身については厳しく叱りますが、その後に必ず『勉強させてもらってありがとう』という言葉を付け加えます。クレームは加賀屋で働く私たちの肥やしにもなるからです」
加賀屋の従業員はパート等も含めると約800人にのぼる。その内、宿泊客を担当する接客係は約200人。2007年3月には23人の新入社員を採用した。
新入社員はまず1週間の集中講義によって、挨拶や礼儀作法などの基礎教育を受ける。その後2か月〜2か月半にわたり、先輩の教育係に付き添いながら実際の接客を手伝い、業務の基本を学ぶ。そして入社3か月後に行われる社内審査に合格すると、1人で宿泊客を担当することになる。
だが、この教育期間だけで、“もてなしの心”を新入社員に教え込むことは難しい。客に応じた臨機応変な対応は、マニュアルにはしにくいものだからだ。3か月の社内教育を経た後も、自然なもてなしが身に付くまでは常に考え、学び続けることが求められる。
では、加賀屋ではどのようにして、接客の姿勢と精神を社員たちに伝えているのだろうか。まずは、小田孝信社長に接客のポリシーから聞いた。
「加賀屋ではモットーとして、『笑顔で気働き』を掲げています。もちろん接客マニュアルも作成していますが、『規則ですから』とマニュアル通りの対応をすると、逆にお客様には失礼にあたり、お叱りを受けることも多々あります。マニュアルはあくまでも基礎であり、その応用こそが気働きになるわけです。しかし、マニュアルと気働きの境を新入社員に伝えるのはたいへん難しい。そこで大切にしているのがお客様のクレームです。クレームの内容を分析すると、『こう対応すればクレームにはならなかった』ということが見えてくる。クレームは気働きの大きなヒントになるのです」
加賀屋では、客から受けたクレームをすべてまとめて「クレーム白書」を作成し、クレームの再発防止を徹底している。また、年に3回、全社員を集めての「クレームゼロ大会」を開催し、「クレーム大賞」の表彰も行う。クレーム大賞は大失態を演じた社員に対する表彰である。
「クレーム大賞は決して吊し上げのためにやるのではありません。大きなクレームは、それを分析して解決策を社員にフィードバックすることによって、むしろ加賀屋の財産になる。だからこそ、こうした表彰を行っているのです」(小田社長)
クレームを単なる苦情ではなく、“奇貨”として受け止めることで、マニュアル化できない気働きのノウハウを社員一人ひとりに蓄積していく。この点に関しては、新入社員の教育係を務める長子さんもまったく同じ考えだ。
「新人の失敗談は、新人全員が集まるミーティングで披露してもらっています。失敗の中身については厳しく叱りますが、その後に必ず『勉強させてもらってありがとう』という言葉を付け加えます。クレームは加賀屋で働く私たちの肥やしにもなるからです」
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