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人に興味を持ち、人の話を聞くことが俳優としての第一歩
いい演技に求められる他人への関心
[文学座附属演劇研究所]

創立以来、70年以上の長きにわたって日本の演劇界をリードしてきた文学座。
若手俳優の育成に力を注いできたこの劇団は、創立当時の理念を確実に継承しつつ、常に現代人の生活感情に根ざした芝居を上演し続けてきた。伝統を守りながらもいつの時代にも実力派として認められる俳優をどのように育ててきたのか、東京・信濃町の文学座附属演劇研究所で話を聞いた。
若手俳優の育成に力を注いできたこの劇団は、創立当時の理念を確実に継承しつつ、常に現代人の生活感情に根ざした芝居を上演し続けてきた。伝統を守りながらもいつの時代にも実力派として認められる俳優をどのように育ててきたのか、東京・信濃町の文学座附属演劇研究所で話を聞いた。
俳優養成はセリフ回しから始まる
文学座は、日本の近代演劇史を象徴する存在であると同時に、現在でもわが国演劇界の中核に位置する劇団だ。加藤武、江守徹といった有名俳優を筆頭に多くの演劇人が輩出し、付属する演劇人の養成機関である文学座附属演劇研究所(以下、研究所)では、今もプロの俳優を目指す多くの若者が学ぶ。創立に際して起草された文章の中に、次のような言葉がある。「内に於いては、名実ともに現代俳優たり得る人材の出現に力を尽くしたいのであります」(1938年試演プログラムの『文学座創立について』より)。
この言葉の通り、文学座は設立の翌年に研究所を開設した。現在の研究所は本科(1年間)と研修科(2年間)に分かれており、本科の受験資格は18歳以上。例年、約300名の受験者の中から60名が合格する。合格者の平均年齢は20代前半。高校を卒業してすぐに入所する者ばかりでなく、大学生、大学中退者、社会人経験者、他劇団の経験者などが集まる。研修科に進めるのは、このうちわずか15名程度。
研修科を卒業すると、その中でさらに選抜を通った者だけが座の見習いである準座員になれる。その後、正式な座員となるにはさらに2年が必要だ。採用されるかどうかは、実力はもちろんのことながら、その時、座が必要とする個性を持っているか否かにも大きく左右される。座員になれるのはほんの一握りというわけだ。しかし、だからといって研究所を途中で去っていく者はほとんどおらず、また卒業後も演劇から遠ざかる者は少ない。研究生たちは、授業の合間を縫いながら、授業料を稼ぐため日々アルバイトに精を出している。
研究所のカリキュラムは、本科の場合、月曜から土曜まで1時間半の授業が1日に2コマずつ。授業の内容は戯曲をベースにした芝居の稽古に、体操、音楽、殺陣の稽古が週に3コマ。卒業公演を含めて年に3回の発表会を行う。研修科に上がると、週に3コマの必修科目(体操、音楽、ダンス)以外は、発表会に向けた稽古が中心で、1日6時間程度で1か月半ほど続く。発表会は年5回行われる。
稽古の中で、最も重視されるのはセリフだ。戌井市郎研究所所長いわく、「文学座は文学を原点とする劇団ですから、授業では言葉、つまりセリフ回しを最も大切にします。現代人の生活感情に根ざした舞台は、リアリティのあるセリフ回しによってこそ成り立つもの。本科では、ともかく観客に伝わるセリフを舞台の上で喋れるようになることを目指します」。
文学座の座員はセリフがうまいとの評判が高く、声優としてのニーズも多いが、この点に劇団の出自が関係しているというから面白い。鵜澤主事が平田オリザの言葉を借りていうには、プロレタリアート劇団として出発した劇団の場合、セリフ中の“主張したいこと”を強調する稽古をするため、“強弱”でセリフを喋ることになる。
一方、芸術至上主義を標榜してきた文学座の場合、日常的な、自然な口調で喋る訓練を受けるため、“高低”で喋ることになり、聞く者の耳に入りやすいのだという。研究生たちは、稽古で訛りの矯正や標準語のアクセントの習得を徹底的に指導される。自身、研究所の卒業生でもある鵜澤秀行主事はいう。「ここまで徹底的にセリフの指導をするところは、他の劇団の研究所にはないでしょう。『へえ』という返事一つを、1日かけて指導されたこともありますよ」。
この言葉の通り、文学座は設立の翌年に研究所を開設した。現在の研究所は本科(1年間)と研修科(2年間)に分かれており、本科の受験資格は18歳以上。例年、約300名の受験者の中から60名が合格する。合格者の平均年齢は20代前半。高校を卒業してすぐに入所する者ばかりでなく、大学生、大学中退者、社会人経験者、他劇団の経験者などが集まる。研修科に進めるのは、このうちわずか15名程度。
研修科を卒業すると、その中でさらに選抜を通った者だけが座の見習いである準座員になれる。その後、正式な座員となるにはさらに2年が必要だ。採用されるかどうかは、実力はもちろんのことながら、その時、座が必要とする個性を持っているか否かにも大きく左右される。座員になれるのはほんの一握りというわけだ。しかし、だからといって研究所を途中で去っていく者はほとんどおらず、また卒業後も演劇から遠ざかる者は少ない。研究生たちは、授業の合間を縫いながら、授業料を稼ぐため日々アルバイトに精を出している。
研究所のカリキュラムは、本科の場合、月曜から土曜まで1時間半の授業が1日に2コマずつ。授業の内容は戯曲をベースにした芝居の稽古に、体操、音楽、殺陣の稽古が週に3コマ。卒業公演を含めて年に3回の発表会を行う。研修科に上がると、週に3コマの必修科目(体操、音楽、ダンス)以外は、発表会に向けた稽古が中心で、1日6時間程度で1か月半ほど続く。発表会は年5回行われる。
稽古の中で、最も重視されるのはセリフだ。戌井市郎研究所所長いわく、「文学座は文学を原点とする劇団ですから、授業では言葉、つまりセリフ回しを最も大切にします。現代人の生活感情に根ざした舞台は、リアリティのあるセリフ回しによってこそ成り立つもの。本科では、ともかく観客に伝わるセリフを舞台の上で喋れるようになることを目指します」。
文学座の座員はセリフがうまいとの評判が高く、声優としてのニーズも多いが、この点に劇団の出自が関係しているというから面白い。鵜澤主事が平田オリザの言葉を借りていうには、プロレタリアート劇団として出発した劇団の場合、セリフ中の“主張したいこと”を強調する稽古をするため、“強弱”でセリフを喋ることになる。
一方、芸術至上主義を標榜してきた文学座の場合、日常的な、自然な口調で喋る訓練を受けるため、“高低”で喋ることになり、聞く者の耳に入りやすいのだという。研究生たちは、稽古で訛りの矯正や標準語のアクセントの習得を徹底的に指導される。自身、研究所の卒業生でもある鵜澤秀行主事はいう。「ここまで徹底的にセリフの指導をするところは、他の劇団の研究所にはないでしょう。『へえ』という返事一つを、1日かけて指導されたこともありますよ」。
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