BERD 2008 No.12
【特集】
インタビュー
ケーススタディ
profile
中留武昭
鹿児島県立短期大学長
なかどめ たけあき

鹿児島県立短期大学長。九州大学名誉教授。教育学博士。
カリキュラムマネジメントに関する主な編著に
『カリキュラムマネジメントの定着過程』(教育開発研究所)、
『カリキュラムマネジメントが学校を変える』(共著、学事出版)などがある。
BERD
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カリキュラムマネジメントが豊かな学校文化を育む
──「教育課程」に対する発想の転換を──
中留武昭/広島県庄原市立(やまの)(うち) 小学校

中留武昭中留武昭/広島県庄原市立山内小学校
  教育課程基準の大綱化・弾力化と学校の自主性・自律性の確立。
1998年以来のこの二つの大きな方針は、今回の学習指導要領改訂の背景にも貫かれている。
  今後、特色あるカリキュラムの編成・運営はどうあるべきか。
  カリキュラムマネジメントの調査研究に携わってきた鹿児島県立短期大学長の中留武昭先生に話をうかがい、「思考力を高める学びの創造」を研究主題として取り組む広島県庄原市立山内小学校の事例を紹介する。
≪インタビュー≫

カリキュラム全体を俯瞰する視点と評価・改善のサイクルを
中留武昭[鹿児島県立短期大学長]

カリキュラムの弾力化と学校の自主性の確立がワンセットに
図表[1]教育課程編成基準作成比率の変化(都道府県教委)  学習指導要領の変遷を振り返ると、98年度にエポックメイキングな改訂が行われました。教育課程改革における「教育課程基準の大綱化・弾力化」と、地方教育行政における「学校の自主性・自律性の確立」がワンセットになり、一連の教育改革が新たな段階に入ったのです。当時、今後の地方教育行政の在り方について提言した中教審答申においては、規制緩和としての地方分権の流れを踏まえ、自治体と学校の裁量の幅を広げ、特色ある学校づくりを進める必要性が述べられました。その具体的な手立てとして登場したのが、周知のように現在の学習指導要領で新設された「総合的な学習の時間」です。
 では実際に教育課程行政において現場の裁量がどのくらい確保されてきたのでしょうか。私たちは2002年から04年にかけ、都道府県教育委員会、教育事務所、市町村教育委員会を対象に調査研究を行いました。その結果を89年の学習指導要領改訂時の調査(92〜93年実施)と比較すると、特に注目すべきなのは次のようなことです(図表1、2参照)。
 (1)都道府県教委レベルで、教育課程編成の基準を作成するケースが減ってきたこと。これは明らかに学校の自主性・自律性に任せる傾向の表れと考えられます。逆に都道府県でも市町村レベルでも、「総合的な学習の時間」やIT教育など新しい試みの導入に伴い、学習指導上の資料や手引き等の作成が急増してきました(図表1)。
 (2)大綱化・弾力化を見据えた学校の自主性・自律性に対しては都道府県教委、教育事務所、市町村教委のうち都道府県教委が最も前向きで、指導機会は従来のように校長・教頭に対してよりも、教務主任や一般教員層への働きかけが増えてきたこと。指導方法上の創意工夫に関わる部分が多いので、教員層への指導を強化しようとしたと思われます(図表2)。
 (3)教育課程の審査、承認と実施の状況、結果への対応など、教委と学校との接点部分に着目してみると、特に義務教育段階の学校では、入口部分の「届け出」に関してはかなりの自主性・自律性が認められている一方で、出口部分の「状況報告」が多く求められるようになっていること。自主性・自律性の拡大に伴い結果責任の認識を教委が持つようになったことの表れと判断できます。  
図表[2]教育委員会による指導機会の変容(%)
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