
| |
|
拡大している幼稚園の役割
全国の国公私立幼稚園を対象にした調査結果から
真田 美恵子[ベネッセ次世代育成研究所研究員]
児教育の重要性の認識が広まる中、地域においては子育て支援の役割も期待されている幼稚園。
しかしその教育活動や子育て支援の実態を捉えた、国公私立幼稚園を対象にした全国規模の調査はほとんど行われてこなかった。
現在、幼稚園ではどのような活動が行われているのだろうか。
幼稚園教育の現状と課題を知るために行った調査から、子育て支援の実態と幼稚園が抱える課題について報告する。
しかしその教育活動や子育て支援の実態を捉えた、国公私立幼稚園を対象にした全国規模の調査はほとんど行われてこなかった。
現在、幼稚園ではどのような活動が行われているのだろうか。
幼稚園教育の現状と課題を知るために行った調査から、子育て支援の実態と幼稚園が抱える課題について報告する。
はじめに
幼児教育の無償化・義務化や認定こども園の話題が時折メディアをにぎわせている。2006年に改正された教育基本法では「幼児期の教育」「家庭教育」の条文が新設され、それらの重要性が明確にされた。幼児期の教育・保育*1への注目が、社会全体で高まりつつあるようだ。その背景には何があるのか。一つには、少子高齢化の問題があるだろう。女性の労働力を活用するには、女性が子育てをしながら安心して働ける環境整備が必要で、そのために幼児教育・保育の充実が求められているのである。一方で、少子化により、子ども同士の育ち合いの場が少なくなっている問題などを解決するために、子育て家庭への支援も必要とされている。
また、諸外国の動向も見逃せない。例えばOECD(経済協力開発機構)では、加盟国の教育関連閣僚からなる教育委員会(Education Committee)において、98年から幼児教育・保育施策の検討が始められている。01年には「Starting Strong」と題された調査報告書が刊行され、各国が取り組むべき保育政策や今後の課題が示された。日本の幼児教育を考えるに当たっては、幼児期の教育・保育を重視するこのような世界的な潮流も捉えておくべきだろう。
大きく変わろうとしている幼児教育と保育──。日本では、先の教育基本法改正を受け、学校教育法で幼稚園教育の目的が再定義され、幼稚園は義務教育につながる入口として位置付けられた。08年3月には幼稚園教育要領・保育所保育指針が改訂・告示され、保育所保育指針は、局長通知から大臣告示になり、法的拘束力を持つようになるという大きな改訂が行われている。これらの変化の中で、幼稚園では幼稚園教育の重要性が明確化されると共に子育て支援の役割がいっそう求められ、保育所は幼児教育施設として位置付けられた。
このように、乳幼児を取り巻く環境は転換期を迎えているが、実態については分かっていない部分も多い。今後は幼稚園や保育所などの専門機関と家庭との連携がいっそう重要になるという課題認識の下、現状を把握するために、まずは幼稚園を対象に調査を行った。
幼稚園を対象にした調査には、文部科学省が毎年行っている「学校基本調査」や、全国国公立幼稚園長会、全日本私立幼稚園連合会が行った調査などがあるが、全国規模で国公立・私立の双方に同じ調査票で質問している調査はほとんどなかった。そのため調査実施に当たっては、中教審幼稚園教育専門部会で主査を務めた白梅学園大学子ども学部教授・無藤隆先生に監修をしていただき、公立・私立の幼稚園長などからなる研究会を発足し、より現場の実状に即した調査になるように企画段階から吟味を重ねた。調査目的は、幼稚園における以下の点を明らかにすることにあった。
● 子育て支援の実態と意識
● 教育上、経営上の課題
● 教育的な活動の内容
調査方法は、郵送法による質問紙調査で、園児数30人以上の国公私立幼稚園の園長・副園長(教頭)・主任の先生(1園につき1名が回答)を対象に実施した。有効回答数は国公立401園、私立1203園の合計1604園で、日本にある全幼稚園の1割強の回答である。また、運営主体の違いにより実態が異なることが予想されたため、分析においては国公立と私立に分けて検討した。
ここでは特に、子育て支援の実態と園が抱える課題について取り上げて紹介したい。
- *1 日本では主に、乳幼児を保育・教育する施設として、文部科学省が管轄する幼稚園、厚生労働省が管轄する保育所、文部科学省・厚生労働省の双方が管轄する認定こども園といった施設がある。
|
|||||||||
