BERD 2008 No.13
【特集】
企画趣旨
BERD
横浜市立大岡小学校の子どもたちと授業風景
横浜市立大岡小学校の子どもたちと授業風景

【特集】 学習意欲―どう捉え、どう向き合うか

 日本の子どもたちは、TIMSS(国際数学・理科教育動向調査)で高得点を収めながらも「学習意欲」が低いことが問題だと指摘され、PISA(OECD生徒の学習到達度調査)の結果からも、「学習意欲の低さ」が課題として報じられた。また、最近の法改正により「自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない」(教育基本法/2006年改正)、「主体的に学習に取り組む態度を養うことに、特に意を用いなければならない」(学校教育法/2007年改正)という条文が新設された。
 一方、学校の外に目を転じれば、ニートやフリーターが「労働意欲の欠如」という文脈で語られ、企業では「モチベーション・マネジメント」の名の下、社員の「やる気」をいかにして向上させるかに躍起になっている。
 日本では今、「意欲」を問う言説が溢れているものの、意欲を測ることが可能なのか、何で測るのか、といった根本的なことはあまり問題にされることがないまま、自明のものとして語られている。学習時間や「勉強したいと思うか」といった意識調査で便宜的に代替して測定される「学習意欲」。意欲研究の領域では「学習意欲」はどう捉えられるのか。これほどまでに「意欲」が問題とされる日本の課題とは。また、意欲的なときの脳では何が起こっているのか……。
 今回の特集では、少し立ち止まって「学習意欲」について多面的に考えてみたい。

(BERD編集部 岡田佐織)

1. 学習意欲の構造から見た学校が取りうる方策
──「状況意欲」に着目して教育環境のデザインを──
鹿毛 雅治
2. 「学習意欲」の捉え方をめぐる国際比較
──今後必要とされる「社会的公正」の観点──
恒吉 僚子
3. 「自ら学ぶ力」を育てる方略
──自己調整学習の観点から──
伊藤 崇達
4. 教師の“学ぶ姿”が子どもの意欲を形成する
──子どもの動機づけを促す授業の在り方とは──
神奈川県横浜市立大岡小学校
5. やる気は脳ではなく体や環境から生まれる
──「環境に存在する意欲」の捉え方──
池谷 裕二
6. 消費社会における若者の労働意欲
──記号的に職業を捉える若者たち──
内田 樹
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