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ドイツの教員育成の取り組みから日本が学べること
──組織力と共に教員の資質向上を図るドイツの現状──
坂野慎二[玉川大学教職大学院教育学研究科准教授]

2001年に公表されたPISAの結果で、ドイツは著しく下位に低迷し、国内はいわゆる「PISAショック」に見舞われた。
また、ドイツ語の習得が十分ではない外国人労働者の子どもの就学や、いじめや不登校などの問題も抱えている。そうした中で、子どもに対して適切な指導や支援ができる教員の育成が大きな課題となっている。
ドイツはどのようにして教員の資質向上を図ろうとしているのか、ドイツの教育事情に詳しい坂野慎二先生にお話をうかがった。
また、ドイツ語の習得が十分ではない外国人労働者の子どもの就学や、いじめや不登校などの問題も抱えている。そうした中で、子どもに対して適切な指導や支援ができる教員の育成が大きな課題となっている。
ドイツはどのようにして教員の資質向上を図ろうとしているのか、ドイツの教育事情に詳しい坂野慎二先生にお話をうかがった。
キーワード=試補勤務、PISAショック、第三者評価
ドイツの教員養成や育成の特徴を教えてください。
教職志望者は、まず大学で理論面を中心に教育を受けた後、第1次国家試験を受験します。これに合格すると、さらに18〜24か月ほど試補勤務期間というのが待っており、教員になるための経験を積みます。試補教員は、州の教育センターで理論的教育を受けながら、同時に学校へ配属になり、毎週数時間の授業を担当します。この終了段階で第2次国家試験を受け、合格するとようやく教員採用者リストに掲載されるわけです。ちなみに第2次国家試験の合格率は90%程度。10人に1人は試補勤務期間の勤務や学習の様子などから、「教員には向いていない」と判断され、ふるいにかけられます(図表1)。つまり教員になるまでのステップが2段階あり、ドイツはそれだけ教員養成に手間をかけているのです。これはある意味日本とは対照的といっていいでしょう。ドイツが「教員になるまでの養成」に重点を置いているのに対して、日本は「教員になってからの育成」を重視しているからです。
ドイツは正規の教員になるまでに長期間を要する分だけ、教員の資格を取った段階で“プロ”と認められます。初任の教員でも、教職者としての十分な知識とスキルを兼ね備えているとみなされる。一方、日本の場合はドイツほど教員になるまでの期間が長くなく、教員として必要な知識やスキルは、教職に就いてから育てていくという発想の方が強いです。
そのスタンスの違いが、端的に表れているのが研修制度です。日本はOJT(on the job training)にせよOff JTにせよ研修メニューが非常に豊富で、受けることが義務付けられている研修も多い。教員になった後こそ、資質向上を図らなくてはいけないからです。
ところがドイツでは、研修を受けるかどうかは個人の判断であり、研修を受けなかったからといって評価や昇進に影響を与えることはありません。また研修の量や質も、日本に比べれば大きく劣ります。繰り返しますが、これは教員になった時点で、すでに専門職として必要な教育は十分に受けているという建前で制度設計されているためです。
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