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ニュージーランドにおける教員の職能開発の実際
─ 学校間連携と教員評価─
高橋 望[東北大学大学院教育学研究科博士課程後期3年]

1980年代後半に実施された教育改革は、ニュージーランドの教育制度に大きな変革をもたらした。100年以上続いた教育委員会制度の廃止に伴い、各学校に権限委譲がなされ、現在では自律的な学校経営が推進されている。学校経営の主体が行政から学校段階へと転換された中で、教員の職能開発・職能成長はどのように実施されているのだろうか。本稿では、各学校を基盤に展開されるニュージーランドの教員の職能開発に対する取り組みを、現地への訪問調査を基に報告する。
● 調査概要
調査時期
2008年3月2日〜14日
調査方法
教育省担当者へのインタビュー調査
学校訪問を通じた校長、教員へのインタビュー調査
調査場所
オークランド、ウェリントン
訪問先及び取材対象者等
(1)Neil Melhuish氏
Ministry of Education, Project Leader: e-learning
Capability,
e-learning Schooling
調査時期
2008年3月2日〜14日
調査方法
教育省担当者へのインタビュー調査
学校訪問を通じた校長、教員へのインタビュー調査
調査場所
オークランド、ウェリントン
訪問先及び取材対象者等
(1)Neil Melhuish氏
Ministry of Education, Project Leader: e-learning
Capability,
e-learning Schooling
(2)Sylvia Burch氏
Ministry of Education, Project Manager, Extending High
Standards Across Schools, Resourcing Division
(3)Paul Wright校長
Clayton Park Primary School(於:オークランド)
(4)Cherie Taylor-Patel校長
Flanshaw Road Primary School(於:オークランド)
(5)Wendy Esera校長
Evans Bay Intermediate School(於:ウェリントン)
(6)Janice E Shramka校長
Karori West Normal School(於:ウェリントン)
Ministry of Education, Project Manager, Extending High
Standards Across Schools, Resourcing Division
(3)Paul Wright校長
Clayton Park Primary School(於:オークランド)
(4)Cherie Taylor-Patel校長
Flanshaw Road Primary School(於:オークランド)
(5)Wendy Esera校長
Evans Bay Intermediate School(於:ウェリントン)
(6)Janice E Shramka校長
Karori West Normal School(於:ウェリントン)
はじめに
ニュージーランドは世界の国々の中においても、ニュー・パブリック・マネジメント(New Public Management:NPM)*1に基づいた改革を、忠実に実施した国として知られている。1980年代後半、公的部門へと市場原理を導入した大規模な行財政改革が断行された。改革の基本理念であるNPMは教育分野へも同様に適用され、教育委員会制度の廃止を導き、同時に、学校理事会(Boards of Trustees:BOT)を設置することによって自律的な学校経営が導入された(図表1)。学校段階への権限委譲に伴い、教員の職能開発についても、その実施の中心が行政から各学校へと転換されている。学校ごとの取り組みが推進されるため、重要な手段として位置付けられたのが、学校間の連携・交流である。複数の学校によってクラスター(Cluster、学校群)が組織され、クラスター間での交流を通じてお互いの実践を共有し、教員のキャリアアップが図られている。一方で、各学校は独自の教員評価システムを構築することが求められ、教員評価もまた、職能開発のための手段として位置付けられている。本稿では、第一に、近年多くの学校で見ることのできる二つの実践(ICTPD、及びEHSAS)に焦点を当て、学校間の連携に基づく職能開発について報告する。第二に、教員評価がどのように職能開発に結びついているのかについて報告し、各学校を基盤とした教員の職能開発の取り組みの実際をレポートしたい。
稿を進める前に、ニュージーランドの学校制度について概観しておく。図表2に示したように、先住民族マオリのための学校を含め(クラ・カウパパ・マオリ等)*2、多様な形態が準備されていることが特徴である。地域によって、初等学校は6年制(1〜6年生)と8年制(1〜8年生)が存在し、初等学校が6年制の場合は中等学校との間に2年制(7〜8年生)の中間学校(Intermediate school)が設けられている。その上に中等教育(9〜13年生)、及び高等教育が整備されている。
![図表[2]ニュージーランドの学校制度](img/takahashi_fig02.gif)
- *1 NPM理論とは、1980年代半ば、英国・ニュージーランドなどのアングロサクソン系諸国を中心に行政実務の現場を通じて形成された革新的な行政運営理論であsり、民間企業における経営理念・手法、さらには成功事例などを可能なかぎり行政現場に導入することを通じて行政部門の効率化・活性化を図ることである。大住荘四郎『ニュー・パブリック・マネジメント 〜理念・ビジョン・戦略〜』P.1/日本評論社/1999年
- *2 マオリの文化や価値観に基づき、マオリ語で教育活動が行われる学校である。教育段階ごとにテ・コハンガ・レオ(Te Kohanga Reo〔就学前教育〕)、クラ・カウパパ・マオリ(Kura Kaupapa Maori〔初等教育〕)、ファレクラ(Wharekura〔中等教育〕)、ワーナンガ(Wananga〔高等教育〕)が設置されている。
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