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オーストラリアにおけるリテラシー教育と教師の専門性
─ クイーンズランド州の事例から─
竹川慎哉[中部大学現代教育学部講師]

PISA(Programme for International Student Assess-ment)調査以降、日本においても、批判的に読む力の育成が重要課題として認識され始めている。しかし、それがいったいどのような授業スタイルを要求し、またそのための教師の専門性はどうあるべきかについては模索中という状況である。そこで本稿では、批判的リテラシー教育という注目すべき取り組みを展開しているオーストラリアのクイーンズランド州を事例に、そうした授業実践を支え、発展させるための教師の専門性をどのように設定しているかを紹介したい。
● 調査概要
調査時期
2008年3月10日から3月22日
調査方法
(1)学校でのリテラシー教育の授業観察
(2)クイーンズランド州教師協会(QCT)でのインタ
ビュー調査
(3)大学研究者へのインタビュー調査
(1)訪問学校:タウンズビル市内 セント・マーガレット・
メアリーズ高校
調査日:2008年3月13日
授業観察の対象学年:9、11、12学年の英語科
授業内容:ジェンダー、ナショナリティの視点からの
映画分析
調査時期
2008年3月10日から3月22日
調査方法
(1)学校でのリテラシー教育の授業観察
(2)クイーンズランド州教師協会(QCT)でのインタ
ビュー調査
(3)大学研究者へのインタビュー調査
(1)訪問学校:タウンズビル市内 セント・マーガレット・
メアリーズ高校
調査日:2008年3月13日
授業観察の対象学年:9、11、12学年の英語科
授業内容:ジェンダー、ナショナリティの視点からの
映画分析
(2)訪問場所:ブリズベン市内のQCTのオフィス
調査日:2008年3月17日
インタビュー対象者:QCT ロス・ベル氏
インタビュー内容:PSQTの策定過程と意義について
(3)訪問場所:ブリズベン郊外のクイーンズランド工科
大学 アラン・ルーク氏の研究室
調査日:2008年3月11、17、20日
インタビュー内容:PSQTについての意見。
QLD州におけるリテラシー教育と教師教育のこれまで
の経緯
調査日:2008年3月17日
インタビュー対象者:QCT ロス・ベル氏
インタビュー内容:PSQTの策定過程と意義について
(3)訪問場所:ブリズベン郊外のクイーンズランド工科
大学 アラン・ルーク氏の研究室
調査日:2008年3月11、17、20日
インタビュー内容:PSQTについての意見。
QLD州におけるリテラシー教育と教師教育のこれまで
の経緯
はじめに
オーストラリアにおいて、リテラシー教育は教育問題にとどまらず、大きな社会的論点として認識されている。それは、どのようなリテラシーを持つ市民を育成するかがその社会の将来に関わるからである。何をリテラシーの内実として規定するかをめぐっては常に論争が繰り広げられてきた*1。
オーストラリアのリテラシー教育で興味深いのは、教育課程政策や学校での実践のバックボーンとして明確な理論が位置付けられていることである。とりわけ、1960年代以降、ホール・ランゲージ(児童中心主義の読み書き教育論)、機能的リテラシー(既存の社会的機能を前提とした読み書き教育論)など、アメリカからの教育理論・実践が積極的に導入され、オーストラリア各州の教育課程に組み込まれていった。
しかし、白豪主義を撤廃し、多文化主義政策へと舵を切ってからは、移民や原住民など多様な言語的、文化的背景や社会経済的に周辺部に置かれた子どものリテラシーの保障という観点から、それらの理論・実践は問い直されてきた。
こうした経緯を経て、02年ごろからすべての州政府の教育課程に取り入れられ始めたのが批判的リテラシー教育(critical literacy)である。特にこの理論を主導するアラン・ルーク氏(Allan Luke)が州の教育課程政策立案に関わったクイーンズランド州(以下QLD州と表記)において、最も実践展開の広がりを見せている。
この教育実践を推進していく際、QLD州で重視されたのは教師の専門性である。学校教育においてどのような学力を子どもに形成するのかという問題は、その育成を担う教師の専門性の捉え方と結びついて議論されている。そうした教師の専門性の枠組みを定めたものが、07年に策定された「クイーンズランド州の教員のためのプロフェッショナル・スタンダード(Professional Standards for Queensland Teachers、以下PSQTと表記)」である。
本稿では、QLD州で現在行われている批判的リテラシー教育の基本情報を踏まえつつ、現代社会のリテラシー教育にどのような教師の専門性が必要とされるのかということについて、その一つの在り方をPSQTの内容とその諸問題、関係者へのインタビューから示してみたい。
オーストラリアのリテラシー教育で興味深いのは、教育課程政策や学校での実践のバックボーンとして明確な理論が位置付けられていることである。とりわけ、1960年代以降、ホール・ランゲージ(児童中心主義の読み書き教育論)、機能的リテラシー(既存の社会的機能を前提とした読み書き教育論)など、アメリカからの教育理論・実践が積極的に導入され、オーストラリア各州の教育課程に組み込まれていった。
しかし、白豪主義を撤廃し、多文化主義政策へと舵を切ってからは、移民や原住民など多様な言語的、文化的背景や社会経済的に周辺部に置かれた子どものリテラシーの保障という観点から、それらの理論・実践は問い直されてきた。
こうした経緯を経て、02年ごろからすべての州政府の教育課程に取り入れられ始めたのが批判的リテラシー教育(critical literacy)である。特にこの理論を主導するアラン・ルーク氏(Allan Luke)が州の教育課程政策立案に関わったクイーンズランド州(以下QLD州と表記)において、最も実践展開の広がりを見せている。
この教育実践を推進していく際、QLD州で重視されたのは教師の専門性である。学校教育においてどのような学力を子どもに形成するのかという問題は、その育成を担う教師の専門性の捉え方と結びついて議論されている。そうした教師の専門性の枠組みを定めたものが、07年に策定された「クイーンズランド州の教員のためのプロフェッショナル・スタンダード(Professional Standards for Queensland Teachers、以下PSQTと表記)」である。
本稿では、QLD州で現在行われている批判的リテラシー教育の基本情報を踏まえつつ、現代社会のリテラシー教育にどのような教師の専門性が必要とされるのかということについて、その一つの在り方をPSQTの内容とその諸問題、関係者へのインタビューから示してみたい。
- *1 竹川慎哉「オーストラリア・クイーンズランド州における批判的リテラシー教育〜教師の専門性への焦点化に着目して〜」/日本教育方法学会『教育方法学研究』第31巻、P.73〜84/2006年を参照。
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