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日本の科学技術力とその課題
──問われる、技術経営力──
丹羽冨士雄[政策研究大学院大学名誉教授]

国の科学技術力の発展段階や、国際的な動向、産業構造の変化などに応じて、科学技術の分野で求められる人材像は当然変わってくる。
日本の科学技術力は、今、どのような位置にあり、どの領域を強化しようとしているのか。
長年、科学技術力の国際比較を行ってきた丹羽冨士雄先生に話をうかがった。
日本の科学技術力は、今、どのような位置にあり、どの領域を強化しようとしているのか。
長年、科学技術力の国際比較を行ってきた丹羽冨士雄先生に話をうかがった。
キーワード=総合科学技術指標、イノベーション、技術経営力
科学技術の活動状況を測るため「科学技術指標」を開発
日本の科学技術の活動状況を計量的に把握するときに使うものとして、文部科学省科学技術政策研究所が作成している「科学技術指標」があります。
「科学技術指標」は、研究者数や研究開発費、論文数、論文被引用数、特許登録数など、科学技術活動に関する多数の指標群から構成されています。これらの指標を使って、その経年変化を追ったり、他国の指標と比較したりすることで、日本の科学技術の実力を測ろうとするわけです。
一国の科学技術の実力を測ろうとすれば、どのような個別指標を収集するかが重要になります。適切な指標を集める枠組みです。それは一国の科学技術活動全体を把握できるものでなければなりません。その枠組みを図表1に示します。指標群は、まず「基盤系」と「成果系」に二分されます。
「科学技術指標」は、研究者数や研究開発費、論文数、論文被引用数、特許登録数など、科学技術活動に関する多数の指標群から構成されています。これらの指標を使って、その経年変化を追ったり、他国の指標と比較したりすることで、日本の科学技術の実力を測ろうとするわけです。
一国の科学技術の実力を測ろうとすれば、どのような個別指標を収集するかが重要になります。適切な指標を集める枠組みです。それは一国の科学技術活動全体を把握できるものでなければなりません。その枠組みを図表1に示します。指標群は、まず「基盤系」と「成果系」に二分されます。
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「基盤系」は研究開発活動を支える基盤を示す指標であり、「成果系」は研究開発活動の成果がどのようにさまざまな分野に活用され、影響を与えるかを示すものです。「基盤系」は研究・開発活動に関係の近いものから順に、「研究開発」、「科学技術基盤」、「社会基盤」に三層化しました。
一方、「成果系」も直接的なものから間接的なものへと、「研究開発成果」、「科学技術の貢献」、「科学技術の社会的受容」に三層化しました。図では各層がそれぞれさらに分類されていることを示します。例えば、研究者数や研究開発費という個別指標は「入力要素」に属し、論文数や論文被引用数は「創造性」に、特許登録数(国内・国外)は私有財の「直接効果」に属します。このように、まず、国の科学技術力を測定するためにはどのような枠組みが適切であるか、その枠組みの中にどのような個別指標が適切に配置されるのかを最初に検討しました。その上で、指標を分析して、時間的な傾向を見たり、国別、産業別に比較するなどして、我が国の科学技術活動を計量的に捉えようとしたのです。
最初の指標の報告書は1991年に、最新のデータは2008年に科学技術政策研究所から出版されています。例えば、多額の研究開発費を投入し、研究従事者が多数いて、「研究開発」が充実していたとしても、「研究開発成果」が不十分なものでは「高い科学技術力を持っている」とはいえません。また、研究開発成果が経済的価値を生み出すことなどに結びついていなければ「持っている科学技術力を有効に活用している」ことにはなりません。一国の科学技術力を測るときには、研究開発、研究開発成果から、科学技術の貢献やその社会的受容、さらには間接的な科学技術基盤、社会基盤にまで目を向ける必要があり、「科学技術指標」で採用された指標も、そのバランスを意識したものとなっています。
指標の数が膨大になると、日本の科学技術活動の状況を広範に正確に把握できるようになります。しかし、分析が多様になり、「それでは全体的にどうか」という疑問に答えにくくなります。そこで私達は、国際比較ができる主要な「科学技術指標」を12選び出し、それらに多変量解析の一つである主成分分析法を適用して12の指標を合成し、「総合科学技術指標(GIST)」を開発しました。「総合科学技術指標」は、ちょうど経済活動における国内総生産(GDP)のように、国の科学技術活動の全体像を示す指標だといえます。
一方、「成果系」も直接的なものから間接的なものへと、「研究開発成果」、「科学技術の貢献」、「科学技術の社会的受容」に三層化しました。図では各層がそれぞれさらに分類されていることを示します。例えば、研究者数や研究開発費という個別指標は「入力要素」に属し、論文数や論文被引用数は「創造性」に、特許登録数(国内・国外)は私有財の「直接効果」に属します。このように、まず、国の科学技術力を測定するためにはどのような枠組みが適切であるか、その枠組みの中にどのような個別指標が適切に配置されるのかを最初に検討しました。その上で、指標を分析して、時間的な傾向を見たり、国別、産業別に比較するなどして、我が国の科学技術活動を計量的に捉えようとしたのです。
最初の指標の報告書は1991年に、最新のデータは2008年に科学技術政策研究所から出版されています。例えば、多額の研究開発費を投入し、研究従事者が多数いて、「研究開発」が充実していたとしても、「研究開発成果」が不十分なものでは「高い科学技術力を持っている」とはいえません。また、研究開発成果が経済的価値を生み出すことなどに結びついていなければ「持っている科学技術力を有効に活用している」ことにはなりません。一国の科学技術力を測るときには、研究開発、研究開発成果から、科学技術の貢献やその社会的受容、さらには間接的な科学技術基盤、社会基盤にまで目を向ける必要があり、「科学技術指標」で採用された指標も、そのバランスを意識したものとなっています。
指標の数が膨大になると、日本の科学技術活動の状況を広範に正確に把握できるようになります。しかし、分析が多様になり、「それでは全体的にどうか」という疑問に答えにくくなります。そこで私達は、国際比較ができる主要な「科学技術指標」を12選び出し、それらに多変量解析の一つである主成分分析法を適用して12の指標を合成し、「総合科学技術指標(GIST)」を開発しました。「総合科学技術指標」は、ちょうど経済活動における国内総生産(GDP)のように、国の科学技術活動の全体像を示す指標だといえます。
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![図表[1] 科学技術指標体系](img/niha_fig01.gif)