BERD 2008 No.15
【レポート】
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橋本尚美
Benesse教育研究開発センター研究員
はしもと なおみ

BERD
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中学校選択の多様化と子どもの生活の分化
──「中学校選択に関する調査」から──
橋本尚美[Benesse教育研究開発センター研究員]

 市場原理を基本とした新自由主義教育政策が強まる中、早期からの能力主義的選別や複線化が進み、その過程で、公立中高一貫教育校(以下、公立中高一貫校と記す)の設置や、学校選択制の導入、教育特区など、さまざまな学校選択に関わる制度が導入されてきた。これらは特に、中学校進学段階における学校選択を多様化させており、小学校における子どもの生活や友だち関係、学びのあり方などにも影響を与えているものと考えられる。
 そこで本稿では、Benesse教育研究開発センターが2007年12月に実施した「中学校選択に関する調査」(全国調査/東京調査)のうち、主に全国調査の結果をもとに、中学校選択の実態と子どもの生活の一端を明らかにし、今後の課題を検討する。
●調査概要(全国調査)
 調査テーマ:小学6年生とその保護者の中学校選択に関する意識と行動
 調査方法:郵送法による自記式質問紙調査
 調査時期:2007年12月
 調査対象:全国の公立小学校に通う6年生とその保護者
  〔小学6年生〕1,501名(女子768名、男子718名、無回答・不明15名)
  〔保護者〕1,504名(母親1,402名、父親89名、その他9名、無回答・不明4名)
   ※調査対象者は、全国の公立小学校6年生のリストに基づいて無作為に抽出し、
    小学6年生と保護者の調査票を合わせて郵送・回収した。

●基本属性(回答者の居住地域)
基本属性(回答者の居住地域)

※回答者の居住地域とその人口規模は、保護者が回答した都道府県・市 区町村名により特定・算出した。
人口規模の区分は以下の通りである。
     「特別区・指定都市」…… 東京23区及び2008年3月現在の政令指定 都市17市
     「15万人以上」…… 指定都市を除く人口15万人以上の市町村
     「5〜15万人」…… 人口5万人以上15万人未満の市町村
     「5万人未満」…… 人口5万人未満の市町村
中学校の選択機会の拡大
 調査結果の分析に入る前に、まずは中学校の選択機会の拡大をめぐる状況を捉えておこう。
●私立中学校の受験と進学
 図表1は、文部科学省「学校基本調査」をもとに、全国の公立・国立・私立中学校に通う生徒数の推移と、生徒全体に占める私立中学校の生徒比率を示したものである。1987年から07年までの20年間に、公立中学校の生徒数は585.5万人から333.3万人へと4割以上減少したのに対し、私立中学校の生徒数は18.9万人から25.7万人へと3割以上増加した。そのため、生徒全体に占める私立中学校の生徒比率は3.1%から7.1%へと2倍以上になった。私立中学校は、全国の子どもの数が徐々に減少する中、中学受験率の上昇などを背景に生徒数を増加または維持してきており、その結果、ここ20年間で生徒比率が高まったと考えられる。
図表[1]中学校の生徒数と私立生徒比率の推移(全国)
 また図表2は、07年度の中学1年生について、私立中学校と国立中学校に通う生徒比率を都道府県別に示したものである。これを見ると、私立中学校の生徒比率は、東京・神奈川、関西圏、広島、高知などで高く、特に東京では、現在4人に1人が私立中学校に通っている状況である。しかし、地域差はまだ大きい。
図表[2]私立・国立中学校に通う生徒(1年生)の比率(都道府県別、2007年度)
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