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幼児の生活リズムの乱れの実態と改善のための方策
──「休養」「栄養」「運動」のバランスの回復を──
前橋 明[早稲田大学人間科学学術院健康福祉科学科教授]

本来、「子どもはあそぶのが仕事」、「寝る子は育つ」という言葉があるように、子どもは昼間は元気に外で走りまわり、夜はぐっすり睡眠をとるのがあるべき姿だ。
ところが最近では、昼間の活動が不活発だったり、睡眠のリズムが乱れている子どもが増えているといわれる。
子どもたちの生活や体の変化と、それに対して幼稚園・保育所ができる取り組みについて、前橋明先生に話をうかがった。
ところが最近では、昼間の活動が不活発だったり、睡眠のリズムが乱れている子どもが増えているといわれる。
子どもたちの生活や体の変化と、それに対して幼稚園・保育所ができる取り組みについて、前橋明先生に話をうかがった。
キーワード=休養・栄養・運動、生活変化
体温調節のできない子どもが増えている
1990年代半ば以降、幼稚園や保育所の先生方から、「日中の活動時に元気がない子ども」や「昼寝のときに眠れない子ども」、「集中力や落ち着きがない子ども」が目立つようになったという報告が、数多く寄せられるようになりました。その要因として大きいと考えられるのが、自律神経がうまく機能していない子どもが増えていることでした。
自律神経の働きを測るうえで、一つのバロメーターになるのが体温です。ヒトが体温調節を行えるのは、自律神経の働きによるものだからです。ご存じのように、体温は朝になって目が覚めるとともに上昇し、夕方から夜にかけて活動を終えるとともに下がります。ヒトは体温が上昇すれば活動的になり、体温が下がれば眠くなります。その上昇と低下の幅は、だいたい36〜37℃の1℃以内に収まっています。
子どもにとって、「日中は体温が上がって活動的になり、夜は体温が下がって眠くなる」という生体リズムは非常に重要です。子どもの体は、昼間活発に活動することによって丈夫になります。そして、夜はぐっすり眠っている間に、成長や細胞の新生を助ける成長ホルモンが分泌されます。ですから、生体リズムが乱れると、子どもの発育に重大な支障をきたすことになるわけです。
自律神経の働きを測るうえで、一つのバロメーターになるのが体温です。ヒトが体温調節を行えるのは、自律神経の働きによるものだからです。ご存じのように、体温は朝になって目が覚めるとともに上昇し、夕方から夜にかけて活動を終えるとともに下がります。ヒトは体温が上昇すれば活動的になり、体温が下がれば眠くなります。その上昇と低下の幅は、だいたい36〜37℃の1℃以内に収まっています。
子どもにとって、「日中は体温が上がって活動的になり、夜は体温が下がって眠くなる」という生体リズムは非常に重要です。子どもの体は、昼間活発に活動することによって丈夫になります。そして、夜はぐっすり眠っている間に、成長や細胞の新生を助ける成長ホルモンが分泌されます。ですから、生体リズムが乱れると、子どもの発育に重大な支障をきたすことになるわけです。
幼稚園や保育所の先生方から、子どもの様子の変化についての報告が寄せられるようになった当時、私は保育所の協力を得て、登園してきた子どもの体温を調べました。すると、36℃未満の低体温の子どもや、37.5℃近い高体温の子どもが約3割いることがわかりました。また、午前中の2時間の間で、体温が1℃以上変動する子どもや、逆に体温がまったく変動しない子どももいることが明らかになりました(表1参照)。自律神経がうまく機能しておらず、体温調節ができない子どもが、予想以上に多いことが判明したのです。ではなぜ、自律神経が機能不全に陥っている子どもが増えているのでしょうか。私は、その原因は子どもたちの生活リズムの乱れにあると考えています。
子どもが健やかな育ちをするためには、「休養」「栄養」「運動」の三つが、リズム良く十分にとれていることが鍵となります。この三つは、切っても切り離せない関係にあります。
就寝時刻が遅いと、子どもは朝、睡眠不足の状態で起こされることになります。体はまだ寝ていますから、体温は十分に上がりきっていません。そのため、すぐには食欲が湧かず、朝食を食べないか、食べても少量です。食事を摂らないと、熱量が体に吸収されないため、ますます体温は上がらないままになります。
睡眠不足や栄養不足、低体温の状態のままで1日のスタートを切ると、午前中の活動力が低下し、運動量の減少につながります。そうした子どもは、ほかの子どもたちが元気に外を走りまわっているのに、あそびについていけなくなります。
午前中にしっかりあそんだ子どもは、昼寝によって体と脳を休めた上で、また午後から外あそびに熱中します。活発にあそべば、その分だけお腹が空くので、夕食時の食欲も旺盛。そして夜は、心地よい疲れとともに早い時刻から眠りに就くことができます。しかし、日中の運動量が不足している子どもは、夕食時もお腹が空かず、夜もなかなか寝付くことができません。そのため、就寝時刻が遅くなり、また次の朝を睡眠不足の状態で迎えることになります。
つまり、睡眠のリズムが崩れると、日中の活動や栄養摂取が不十分になり、昼間の運動量が不足すると、睡眠や食事に影響を及ぼすというように、「休養」「栄養」「運動」は、それぞれが密接につながっており、そのうちの一つがバランスを崩すと、全体のバランスが大きく崩れることになるわけです。
こうした生活の乱れが慢性化すると、体温調節に関与する自律神経の働きが悪くなって、体温調節が利かなくなり、あわせて体温リズムに関与するメラトニンやコルチゾール、β-エンドルフィンといった脳内ホルモンの分泌が、不規則かつ不十分になります。そしてますます「朝は起きられない」「日中には活動できない」「夜はぐっすり眠れない」という生活に陥っていくのです。
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