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特集 高等教育とIT[後編]変・わ・る・授・業

【ITを利用した教材】
九州国際大学 バーチャルゼミナール

Learning Spaceを利用してゼミが活性化
教育内容のブラッシュアップにも役立つ

■約50のコースで活用

 九州国際大学では、Lotus NotesのLearning Space(以下 LS)を用いた学習教材「バーチャルゼミナール」を開発、ゼミの予習としてテキストや参考文献の掲示や自動採点の理解度テストをしたり、ゼミ生のコミュニケーションや卒業論文の指導のツールとして利用されている。
 法学部の中村壽宏助教授が中心となって運営されており、1999年度から実験的に利用を開始、現在は約50のコースが開講されている。
 WebではなくLSを用いたのは、同大学のネットワーク環境がLotus Notes をベースにしていること、LSが専門的な知識なしに利用できる教材作成ツールで、教員が取り組みやすいと判断したためだ。
 バーチャルゼミナールをどのように利用するかは、教員によって違うが、中村助教授はゼミの事前指導を主な目的として運用している。
 ゼミが開かれる1〜2週間前にはコンテンツを作成・公開し、テキストの解説、課題を解くためのヒントや参考資料、討論に必要な知識、視点などを掲示する。解説文は重要度に応じて文字の色分けがされていたり、参照すべき条文や判例、学説などはリンクボタンをクリックすると表示されるなど、学生を引きつける工夫が見られる。

■「予習」でゼミの能率がアップ

 また、LSでは開示対象が選別できるため、発表担当者には他の学生より詳しい解説を見せたり、学生をグループに分けてそれぞれ異なる資料を示すこともある。ゼミ当日の討論を盛り上げるためだ。
 中村助教授によると、バーチャルゼミナール開発のきっかけは、「ゼミが成り立たないケースが増えてきたため」だという。
 中村助教授のゼミのテーマは民事訴訟法。対象は3年生だが、民事訴訟法の講義が3年次開講科目のため、学生は必要な基礎知識を持たないままゼミに入ってくる。
ゼミは、前もって課題を提示しておき、当日は1人の学生がそれについてレポートし、それに対し全員で討論するスタイル。しかし、全く見当違いの発表に終始したり、発表が正しくてもゼミ生たちがそれを理解できず、議論はおろか質問すらないというケースもあったという。
 バーチャルゼミナールを活用するようになってからは、議論も時間が足りなくなるほど活発に行われるようになった。「アクセスは自主性に任せているため、形骸化してしまうのではという懸念もありましたが、好奇心もあってか、学生は頻繁に活用しています。ゼミの能率は飛躍的にあがりました」と中村助教授は語る。
 卒業論文の指導をバーチャルゼミナールの電子会議室機能を利用して行っている教員もいる。適宜、継続的に指示を与えながら指導ができるため、大幅なスピードアップとなり、締め切りに間に合わない学生は皆無となったということだ。
 さらに、コンテンツが蓄積できるため、過去のゼミの内容がいつでも見られるという利点もある。

■使いこなすには教員の意識も重要に

 ただし、バーチャルゼミナールさえあれば教育効果が上がるということではない。
 問題点の整理が不十分だったり、問題を解くために必要な判例や学説を体系的に提示できていない場合は、学生の理解度も明らかに低くなるという。しかも、毎回のゼミごとに詳しいコンテンツを作るのはかなりの労力が必要で、クオリティーを常に維持するのは難しい。中村助教授は、「教員の指導力と熱意が重要になってくるのでは」という。
 学生にとっては、バーチャルゼミナールの電子掲示板でのほうが、質問や意見を言いやすいようだ。教員はそれに対応して、テキストを書き換えるなど、これまでの紙をベースにした教育では実現しにくかった、教授内容の点検、練り直しには非常に大きな役割を果たしている。
 このノウハウを蓄積していけば、やがては遠隔授業による単位認定や、地域に向けた出前講座のような新しい形の生涯教育も提供できるようになるだろうと中村助教授は予想している。「本学が開かれた大学として、地域でより重要な役割を果たしていくためにも、バーチャルゼミナールの試みは大きな意味をもっていると思います」

▼バーチャルゼミナールの画面
図


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