Between 2002.10
特集 学生へのキャリア支援 Part 2
〜企業が求める人材像

【レポート3】 (株)パソナ

新卒者紹介予定派遣によりミスマッチを防ぐ

 



 職務経験者の派遣を中心に事業を行ってきた人材派遣業界で、新卒者の紹介予定派遣を開始する事業者が増えている。紹介予定派遣とは、将来的な社員登用を前提とし一定期間を派遣社員として採用するシステムで、2000年12月に解禁され、新たな採用形態として企業からも注目され始めている。(株)パソナ常務執行役員・NSパーソネルサービス(株)代表取締役社長・野村和史氏に話を聞いた。
 パソナが新卒派遣を開始したのは7年前。「新卒採用枠を縮小する企業が増え、希望する業界への就職が困難になった学生に、就労の道を開くことができないかと、企業で即戦力となるビジネス教育を行う新たな派遣事業としてスタートさせたのです」と野村氏は説明する。
 募集告知から派遣先企業での正社員採用までのおおまかな手順は各社とも同じだが、選考基準や研修については会社によって異なる。
 募集告知は、大学3・4年生、学卒未就労者を対象に、就職情報誌やインターネットへの掲載、大学の求人票などで行う。
 続いて応募者を対象に説明会を行い、一般企業が新卒採用で行うのと同様、適性検査、一般常識、小論文、面接により派遣登録者を選考する。
 選考は、採用人数、職種など依頼企業の採用要件に合わせて行われるが、最も重視されるのは面接。学生の意欲や積極性、順応性があるかなどをポイントに選考する。選考後、就業前にビジネスマナーやOA操作、パソナ自社でのOJTなど、約130時間の実務研修を課す。
 その後、依頼企業への派遣が開始される。派遣社員として勤務する半年から1年間が、いわゆる試用期間となり、依頼企業による選考などは行われない。
 派遣契約期間終了後については勤務者と企業の双方の意向を派遣会社が確認した後、正社員としての正式採用が決定され、直接企業と契約を交わして入社となる。



企業側は正規採用と併用し紹介予定派遣で一般職を採用

 新卒者紹介予定派遣を導入する企業の業種は、メーカー、金融関連が多いが、メーカーなどではいわゆる一般職を新卒者紹介予定派遣、総合職や技術職を自社による正規採用と、職種によって採用方法を変える企業もあるという。
 一方、新日本製鐡(株)の直系商社、日鐵商事(株)では、97年度から一般職の採用をやめ、新日本製鐵とパソナの共同出資会社NSパーソネルと採用基準の詳細を協議した後、約20人の新卒派遣者を受け入れ、若い人材の正社員登用により社内の活性化を図った。
 このように自社やグループ企業に人材派遣を行うメーカーや商社系の紹介予定派遣は、派遣期間終了後に入社する企業が明らかであるため、希望する業種や企業を絞り込んだ学生の応募が多い。
 職種はOA・ファイリング、営業事務が主で、圧倒的に女子学生の採用が多いが、最近では営業職・技術職への男子学生の採用もある。
 依頼企業からは、職務経験のある一般の派遣社員にとっては煩雑であまり好まれない業務も、新卒者は抵抗なく受け入れ、職場にも順応しやすいと、好評を得ている。パソナの例では、新卒者紹介予定派遣を経た応募者の約8割が正社員として採用され、約2割はそのまま派遣が継続される。企業側の拒否は散見程度であるという。
 この制度を採用する企業にとってのメリットは、新卒採用や新入社員教育にかかるコストと労力の削減であるが、応募者・企業双方とも、派遣期間に実務を通して互いを見極め、ミスマッチを防止できることが最大の利点だろう。



企業が求めるビジネス感覚

 事業開始当初は認知度も低く、企業からは「就職できない学生が集まるのでは」という懸念の声もあったという。しかし、大手企業の中に新卒者紹介予定派遣を通して正社員に登用する企業が出始め、導入実績を積むにつれ、「新卒派遣でも良い学生が採用できる」という評価に変わってきたという。
 不況で新規雇用を制限する傾向にある中、企業は即戦力となる人材を採用すると一般的にはいわれる。職務経験のない学生に求められるのは、自ら判断し責任を持って業務を遂行するビジネス感覚とそれに必要なコミュニケーション能力だと野村氏は指摘する。インターンシップの経験などで早期からこうした感覚・能力を身に付けることが必要といえる。


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