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教育力の時代
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教育力の時代―FDのその先へ―
武蔵野大学教授  ガイダンス教育研究会 矢内 秋生

第3回  「同志社スタンダード」へ昇華する1,2年次の導入教育 同志社大学
 同志社大学は明治時代、日本の近代化に大きく貢献した新島襄が建学した。以来、その「自治自立」の精神が広く知られる関西圏きっての名門校だ。神学部、文学部、法学部、経済学部、商学部、工学部の6学部を持ち、この4月には工学部に2学科を増設するほか、官民の広い分野でマネジメントに当たる人材を養成する政策学部を立ち上げる。そんな同大学が、最近、「同志社スタンダード」を合言葉に、正課、課外の両面から、1、2年次の導入教育に取り組み始めている。

新学部に少人数クラスを設置し、低学年の導入教育に着手

 「学部偏差値や司法試験の合格率は昔よりも高くなっていますが、昔と違って大学で何を学ぶか、何をしたいかという目的意識やモチベーションが欠けていたり、それ以前に他者とうまくコミュニケーションできない学生が増えているというのが、多くの教員の共通した認識です。授業の出席率はいいが、クラスコンパですら学生が主導できなくなっている。特に低年次で、こうした傾向が目立ちます」と、田端信廣教務部長は言う。
 こうした学生の質の変化は多くの大学で見られるが、同大学の場合、十数年前に、全学部の1、2年生と工学部の全学年を従来の今出川キャンパスから、京田辺キャンパスに移し、2キャンパス体制としたことも大きく影響している。3、4年生の少ない京田辺では、互いに刺激し合う場となっていたサークル活動の活気が次第に低下。人間関係の希薄化や社会的関心の低下に拍車をかけることになった。それまで、学生の自治を重んじて極力介入を控えてきた大学側も、この様子に方針を転換せざるを得なかったのだという。
 そこで、新設される政策学部では、正課の中に、1年次前期、後期、2年次前期の3セメスターにわたる20人単位の少人数クラスを設置。各クラスは週1回必修で、学習意欲やコミュニケーション能力の向上、情報検索技術などのスキルの修得を目的とした導入教育を実施する方針を打ち出した。低年次の少人数クラスはすでに文学部などにもあるが、学部全体でコンセプトを統一した導入教育は同大学では初めてだ。
 1年次は、大学で学ぶ目的や進路を考えさせるオリエンテーション科目「First Year Experiment(FYE)」を皮切りに、英語、日本語によるディスカッション、英語能力を養う「コミュニケーション・メソッド」や情報収集・分析能力を習得する「アカデミック・メソッド」などの技法を活用し、政策を学ぶうえで必要となるスキルを身に付ける。2年次前期のオリエンテーション科目「Second Year Orientation(SYO)」では、ゼミ選択に備え専門的な学習方法を学ぶ。この授業は専門基礎科目として位置付けられ、学部の専任教員がセメスターを通じて各クラスを担当する仕組みだ。
 「低学年の少人数クラスを専任教員に担当してもらうことは、文学部などでの経験から、早い段階で学年ごとの特性をチェックし情報交換し合うなど、それ以降の専門教育に反映できる利点があるとわかっています。また、少人数クラスでの責任体制を明確化させ、専任教員自身の意識を高める狙いもあります」と、田端部長。この政策学部の試みが、今後、他学部にも拡大することを期待する。
 ハード面でも昨年、学生、教員間の交流を促進するためのコミュニケーション施設が京田辺にオープンした。多くの教員の研究室が今出川にあるなか、教員に長く滞在してもらえるように教員専用スペースを確保すると同時に、その壁面をガラス張りにすることで、キャンパスを歩く学生にも教員の在室状況が一目でわかり、訪問しやすい造りにしている。


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