特別企画 法人化後、地方国立大学は何をしたか

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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熊本大学

科研費獲得の支援と併せ適正使用に向けた啓発も

理事(研究担当)・副学長 小野友道

外部資金獲得のための施策

 熊本大学では、「生命科学」「自然科学」「人文社会科学」および「学際・複合・新領域」の各領域で、世界をリードする独創的で卓越した学術研究を推進するという基本方針を打ち出している。同時に、基礎的・基盤的研究の継承と発展も図る方針である。これらの方針に基づき、中期計画期間中に2003年度比25%増の外部資金獲得を目標に掲げ、実現に向けた「外部資金を増加させるためのアクション・プログラム」を策定した。
 研究担当理事として重い宿題を抱えることとなったが、熊本大学が活力を持って社会に貢献していくためには、躊躇している暇はなかった。以下に、プログラムに基づく施策を紹介する。

(1)拠点形成研究制度

 本学の研究に関する会議体である「研究戦略会議」では、すでに外部から高い評価を受けている世界最高水準の研究を対象とする「拠点形成研究A」、次の世界最高水準の拠点を目指す「拠点形成研究B」を、学内公募で採択する。
 05年度は、前者に、21世紀COEに採択された2プロジェクトと、それにひけを取らないと判断された2プロジェクトを指定した。いずれも独自に多くの外部資金を獲得しているが、さらに、研究費(年約1000万円を5年間)、学内委員会委員の負担軽減などをインセンティブとして付与している。「拠点形成研究B」には13プロジェクトを指定し、研究費(150万〜500万円を5年間)を付与している。なお、二つの21世紀COEプログラムは、中間評価で最高の評価を得た。

(2)科研費獲得件数増加策

 本学では、04年度の科研費の申請者が671人で、申請率は69.5%と低かった。05年度は、正当な理由のない未申請者には研究費配分に際して10%の減額調整を行った。当初は教員からかなり大きな反対の声があったが、結果的に申請者数は852人に上った。申請率は89.2%となり、研究費獲得額は約2億7千万円増加した。
 申請者に対しては獲得常連の熟練教員が指導にあたり、事務職員が申請書類を細かくチェックする体制を敷いた。研究費の適正使用を徹底させるための説明会では、不正使用は共同研究者まで影響が及ぶことを強調した。

(3)その他の施策

 知的財産創生推進本部は、共同研究、受託研究、寄附金などの外部資金獲得に向け、リエゾンオフィスや熊本TLOを中心に学内シーズを開拓し、企業からの技術相談等に積極的に対応してきた。さらに、研究シーズをホームページに掲載すると同時に、CD-ROM版を企業等へ配布した。その結果、04年度は、受託研究が119件(前年度比18件増)、共同研究が117件(前年度比21件増)となった。
 その他、民間の団体・企業からの寄附による講座の設置、熊本県との連携強化、地域連携の窓口となる政策創造研究センターの設置など、外部資金獲得に向けた多様な施策を展開。県との連携では、県が産業振興の戦略として構想した「フォレスト」(クラスター形成)があり、「セミコンフォレスト」「バイオフォレスト」「ものづくりフォレスト」で、学長、副学長、学部長が委員長として活躍している。これらが、共同研究の増加やベンチャービシネス創出につながると考えている。


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