奈良大学は「奈良で学ぶ贅沢」をキャッチフレーズに、周辺に密集する歴史・文化遺産を教育に活用している。1979年に大学としては日本で初めての「文化財学科」を文学部に設置。発掘調査や保存・修復など、各分野において第一線で活躍する研究者を教員に招き、実践的な教育を展開している。
同学科は「考古学」「美術史」「保存科学」「史料学」「文化財博物館学」、そして全学共通の「世界遺産コース」の専攻分野で構成される。学生は1・2年次に「文化財学研究法」「考古学概論」「美術史講読」など、必修・選択科目を交えて専門分野を幅広く学び、3年次以降に専攻分野に分かれる。
同大学の教育の特徴は、本物の文化財を教材に用いることにある。科学的な手法で文化財を保存・修復する保存科学の分野で、日本の第一人者である西山要一教授は次のように話す。
「文化財は、間近に見て、実際に触れることによって初めて理解が深まるものである。さらに、本物を手にする感動や驚きにより、学生の学習意欲を格段に高める効果もある」
文化財の活用方法は多岐にわたる。西山教授が担当する「保存科学実習」で扱う文化財は、鉄製の刀剣や甲冑、土器、壁画、考古資料など様々である。学生はX線透過撮影装置や、蛍光X線分析装置といった機器を駆使して文化財の材質や製作技術を調べ、合成樹脂などを使った科学的な保存処理のプロセスを学ぶ。
「美術史実習」では、奈良県内の寺院から破損した江戸期の四天王像を預かり、学生自らが修復作業に携わった。歴史的遺産である文化財を修復するという実作業を通じて、作品の構造を理解し、美的感覚を養っていく。
2007年4月には、奈良大学博物館が開館した。文化財博物館学の実習の場として、文化財の企画展を学生自らが企画・運営している。
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