特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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CASE4

全教職員の意識を高め
教育改善のためのIRを追求

金沢工業大学


大切なのはデータの収集や公表そのものではなく、蓄積した情報をいかに教育力の向上につなげるか―。
金沢工業大学ではそうした考えの下、意識的にIRの専門部署を設置せず、教職員の意識を高めることにより情報を収集して可視化。
そして、その情報を全学で共有し、教育改善に生かしている。

あらゆる情報を外部に公開する方針

 金沢工業大学は(財)大学基準協会と(財)日本高等教育評価機構の2機関から認証評価を受け、併設の金沢高専も、(独)大学評価・学位授与機構の評価を受けている。さらに、法人組織は日本経営品質賞委員会の評価を受け、法人全体で4機関の評価を受けていることになる。外部評価を受けるには膨大なデータをそろえる必要があり、そのためにIR専門組織を設ける大学も増えつつある。しかし、同大学では学内情報を一括して扱う専門組織を設置する予定はない。
 かつて、IRを統括する専門部署を創設する案が提起されたことがあった。それを採用しなかった理由の一つは、専門部署をつくることにより情報の収集・分析自体が目的になることを避けたかったからだ。教育点検評価部長の久保猛志教授は「IRの専門部署をつくると、その専任の担当者は研究者という立場上、収集したデータやその活用について、レポートや研究論文にまとめざるを得なくなる。それは、教育や組織の改善という本来の目的から外れる」と、説明する。
 専門部署を設置しなかったもう一つの理由は、情報を一括して扱う部署の存在自体が不要だったからだ。同大学は毎年5月に、『CAMPUS』という冊子を刊行している。これは、学園全体の機構、志願者数、科学研究費補助金の申請・採択状況、外部研究資金導入の実績額、特許取得数など、さまざまな学内データを収集した資料集だ。学内資料として作成しているが、実際には学生や保護者にも配付されている。この資料が象徴するように、あらゆる情報を各部署で管理し、外部に全面的に公表するというのが、1995年に大学改革に着手して以来の金沢工業大学の大方針だ。
 一般的に、大学の各組織は多くのデータを保有しているものの、独立性が強く、全学的に必要となった際、データをすぐに収集するのが困難なことが多い。しかし、久保教授は「本学では、うちの部署から出せるのはこれだけということは一切ない。要請すれば、すぐに保有データを収集できる」と言い切る。すべての部署がしっかりと情報を管理し、あらゆる情報が公開されている以上、情報を集約する組織をあえてつくる必要はないというわけだ。
 実際、教育点検評価部が大学基準協会の評価を受けた際も、庶務部が中心になって事務系の職員を招集し、評価に必要なデータを用意してもらい、それを取りまとめるだけで事足りたという。
 「各部署がそれぞれデータを管理・活用している点では、他大学と変わるところはない。違うとすれば、すぐにデータを提出できる仕組みになっていることだろう」と久保教授は述べる。


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