英語教育について

第1回 中学校英語に関する基本調査報告書【教員調査・生徒調査】

苦手にさせない指導方法とは ―「中学校英語に関する基本調査」をもとに考える―

全部はわからなくても大丈夫。
生徒を安心させることも大切

酒井  引き続き、英語嫌いということについて何かお感じになること、どうしたら英語嫌いにさせずにすむか、実践していらっしゃることなどをうかがっていきたいのですが。

北原 英語は「わかる、わからない」の教科ではなく、「できる、できない」「使える、使えない」の教科なんですね。だから僕はいつも生徒たちに「わからなくたって大丈夫。また別の機会に同じことをやるから、2回目、3回目で使えるようになったらそれでいいんだよ」と言っています。生徒たちは潔癖ですから、その時に全部わからなくちゃいけないと思ってるんですね。気を楽にさせてあげることが大事なのかなと思います。

本多  潔癖という点では教師のほうもそうで、全部わからなくちゃ前に進めない、というような意識があるのではと思います。だから一文一文訳してしまったり、文構造を説明してしまったり。説明し過ぎてしまうことがよくありますよね。より正しく深く理解できるように少しずつ教えていこうくらいの気持ちのゆとりが必要かもしれません。

重松  指導と評価の一体化ということがよく言われますが、指導するときには「いいよ、間違えてもいいからどんどん言いなさい」と言いながら、テストになると細かいところまでチェックして減点する。だから生徒のほうはできたと思っても予想外に低い点しかとれなくてがっかりする。生徒たちが「英語のテストで思うような点数がとれない」と嘆いているのは(生徒調査速報版 図2−6)、指導したことをきちんと評価できていないからだと思います。ある保護者の方にも「コミュケーション力が大切と言いながら、テストはやっぱり文法なんですね」と言われたことがあります。
小寺令子先生(文京区立第十中学校)
小寺令子先生
(文京区立第十中学校)
小寺  「このような大人に育てたい」、そのために子どもたちに「どういう英語力をつけさせるか」というところで、教師側がきちんとしたコンセプトを持っていることが大切なんでしょうね。ところで、調査結果で意外だったのが、授業で「指導」と「活動」のどちらが多いかという設問で、若い世代のほうに「指導型」が多かったことです(教員調査速報版 表1−1)。「活動型」にするには、その活動をコントロールする指導力が必要ですからね。ある程度コントロールに自信がないと、「活動型」の指導は難しいと思うのでしょう。もしかしたら若い先生たちの中には、教える目的が明確でなかったり、「とにかくこれを教え込む!」というように、遊び心がない授業を展開して、英語を学ぶ楽しさを生徒に伝えられない状況に陥っている人がいるかもしれません。なぜ英語を学ぶのか、それを学ぶとどんなことが身につくのか、というコンセプトを教える側が明確にすることが大切ですね。でないと、「何で英語を勉強しているのかわからない…」という英語嫌いを増やしてしまうのかもしれません。
北原  調査の中で「どんな英語の授業を受けたいか」という質問に対する生徒の答えの1位が「入試に役立つ授業」。これはわかるけど、2番目が「英語が好きになる授業」(生徒調査速報版 図4−2)です。これは子どもたちの悲鳴ですよね。結局、楽しい授業じゃないということでしょう。その楽しさとは、達成感が感じられて自分の伸びがわかるということ。そういう授業をつくっていかなくちゃいけないと思います。

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