ICT教育の現状と課題
放送大学教授 中川 一史
放送大学教授 中川 一史
1.新学習指導要領の総則からみる情報教育
新学習指導要領小学校総則の「第4 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項」の2の(9)には「各教科等の指導に当たっては、児童がコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ、コンピュータで文字を入力するなどの基本的な操作や情報モラルを身に付け、適切に活用できるようにするための学習活動を充実するとともに、これらの情報手段に加え視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること」と記述されています。また、中学校でも、総則の「第4 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項」の2の(10)に、「各教科等の指導に当たっては、生徒が情報モラルを身に付け、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を適切かつ主体的、積極的に活用できるようにするための学習活動を充実するとともに、これらの情報手段に加え視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること」と記述されています。
現在、機器整備が進み、地域によってはすべての学校の各教室にコンピュータが数台ずつ設置されることも多くなり、その活用の可能性は広がっています。コンピュータルームの整備はほぼ落ち着き、教員1人1台のコンピュータとともに、特別教室や普通教室への設置が焦点になりつつあります。とくに小学校では、学級担任制である場合がほとんどなので、教室に1台、2台しかなくても、日常的なちょっとした活用にはそれで十分な場合が多いわけです。そうなるとなおさらのこと、基本的な操作を身につけていれば、使いたい子が使いたい場面でコンピュータや情報通信ネットワークを日常的に活用できるようになります。
しかし、基本的な操作の習得にしても情報機器の活用にしても、小学校では共通の課題が存在します。それは、高等学校の教科「情報」のように、どこの学校でも共通に指導できるような教科や時間枠が存在しない、ということです。ある小学校では、3年生以上で操作の習得として総合的な学習の時間から年間数時間ずつをあてこんだり、他の学校では、情報モラルを道徳として特定のテーマを扱ったりしているケースもありますが、いずれにしても、学校や地域でかなりのばらつきがみられます。最終的には、学年や教師個人にまかされているのが実情です。今後、市町村単位のカリキュラム検討において、さらに踏み込んで推進していく必要があるでしょう。「情報機器スキル習得の時間」「情報モラルの時間」として確保するだけなく、各教科横断的に埋め込みながら、年間を通して理解させていくような工夫も検討する余地があります。
