第3回子育て生活基本調査(幼児版)

    PAGE 10/10 前ページ

第1部 全体の調査結果/第3章 子どもの日ごろの生活習慣

子どもの日ごろの様子や生活習慣について
  −分析結果からみえること−

◆自立が進む/進まない生活習慣

3歳児から6歳児の幼児期とは言葉や社会性が発達し、基本的生活習慣が形成される重要な時期である。人間形成の基礎を作り、次の学齢児童の時期へと進むために、母親としては手を抜けない基本的なしつけに明け暮れる子育て生活をどのように送っているのか、この章ではこまごまとした生活習慣のしつけについて分析した。12の生活習慣やしつけの項目を用意し、「完全に一人でできる」から「まったく一人ではできない」までの4段階を選択してもらう方式であった(図1−3−1)。

12項目の中には急速に自立が進みやすい習慣と、なかなか進まないものの両方が含まれることがわかった。図1−3−2あるように、下位4項目「翌日のしたくや準備をすること」「約束を守ること」「決まった時間に朝起きたり、夜寝たりすること」「家事のお手伝い」は、6歳になっても一人でできる子どもは多くない、すなわち自立が進みにくい生活習慣である。規則正しい生活リズムを確立すること、遊びを適時に切り上げて翌日に向けたしたくにとりかかるといったような段取り力にかかわる習慣などが、なかなか一人でできるようにならない生活習慣であることがわかった。

12項目の生活習慣の中には女子のほうが早く自立することを示す生活習慣が多いが、「遊んだあとの片づけ」「決まった時間に朝起きたり、夜寝たりすること」「家族やまわりの人にあいさつやお礼を言うこと」については男女差がないことがわかった(図1−3−4)。前二者は自立が進みにくい生活リズムに関する生活習慣である。すなわち男女を問わず、年齢にかかわりなく、自立が進まないのが、この規則正しい生活リズムの確立と段取りをつける力であることがわかる。しかし、この母親たちのしつけの悩みの種は、幼児に限らない、現代社会の大人にも共通の“夜更かし”を反映したものではないだろうか。母親、父親自身の生活リズムや段取り力についてたずねてみたいものである。

03年調査と08年調査を比較してみたところ、4歳児以上ではあまり違いがみられなかったが3歳児の母親の回答が、子どもの自立が遅くなっている傾向を示していた(図1−3−3)。今後どのように動いていくのか見守りたい結果である。


 ◆もう少し自分でやってほしいこととは

では、12項目のうち「もう少し自分でやってほしい」と思うことはどれかを、いくつでも選択してもらうとどうなるだろうか。母親1人あたり平均2.1項目を、「もう少し自分でやってほしい」こととして選択していた。多い人は12項目すべてを選んでいる。子どもの年齢が低い母親ほど多く選択し、女子より男子の母親のほうが多く選択している。つまり年少児の子どもほど、また女子より男子のほうが、これらの生活習慣については母親を悩ませていることになる。

さてその内容は、「遊んだあとの片づけ」「家族やまわりの人にあいさつやお礼を言うこと」が上位にきて、03年調査と同じ傾向であった(図1−3−5)。次いで、「約束を守ること」「決まった時間に朝起きたり、夜寝たりすること」が選択された。やはり、なかなか自立できない生活習慣が上位にきている。子どもの年齢別にみると、6歳になっても一人でできない生活習慣には6歳児への自立要求も強いなど、自立の現状に対応した、独り立ちへの要望が示されている(図1−3−6(1))。

ここで注目しておきたいのは「家事のお手伝い」である。これは、6歳になっても「完全に一人でできる」割合がもっとも低いしつけ内容である(図1−3−2)。それなら「もう少し自分でやってほしい」こととして上位にきてもよさそうであるが、母親たちはあまりそのようには要求していない(図1−3−5)。幼児であるから、まだまだ本格的なお手伝いはできないのでこれはやむを得ないのか、とも思う。しかし小・中学生の保護者を対象に実施した「第3回子育て生活基本調査」によると小・中学生でも「家事のお手伝い」が「完全に一人でできる」とした母親は13.3%で、最下位に近い(『第3回子育て生活基本調査報告書―小学生・中学生の保護者を対象に―』p.27)。そして「もう少しきちんとやってほしいこと」でも比較的上位にランクされている。「家事のお手伝い」を小・中学生になって、もっとさせたいと思うなら、幼児期に、下手であってもお手伝いをする習慣をつけさせておくことが必要なのではないだろうか。


 ◆生活習慣やしつけへの満足度

最後に生活習慣の自立度やしつけ状況について全体として満足しているかどうかをたずねた結果をみてみた。08年調査の結果は「とても満足している」は5.0%とさほど多くはないが、「まあ満足している」67.3%を加えると72.3%が「満足している」という結果であった(図1−3−7)。この図からは少しずつではあるが満足度は高くなる傾向があるといえそうである。しかしこの質問も子どもの年齢や性別と関係があるので、詳細に調べる必要がある。

図1−3−8は子どもの年齢別に97年調査、03年調査そして08年調査の結果を示したものである。子どもの年齢が上がるにつれて満足度は高まっていく傾向がみられる。08年調査はとくに、3歳児の母親の満足度が低く、6歳児の母親の満足度が高いため、年齢別の傾向がくっきりとしている。3歳児の母親の満足度が低いのは、前述した3歳児の自立程度が低いことと関係があるものと思われる。

男子の母親と女子の母親ではやはり、満足度に違いがあった(図1−3−9)。いずれの年も女子の母親のほうが満足度が高いことが示されている。「女の子のほうが育てやすい」といわれる説を裏付けるような結果は今回の調査でもまた同様であった。

この生活習慣やしつけ状況の満足度は「子育ての楽しさ」の結果と強く関連している。それだけこの日常のこまごまとした生活習慣のしつけは、幼児をもつ母親の子育て生活で重要なことがらであることを示している。


     PAGE 10/10 前ページ
目次へもどる 調査・研究データ