第1部 全体の調査結果/第4章 子どもへの進学期待と習い事
園外教育の流行
−高学歴志向の背後にみえる、母親の意識と行動の変容−
本章では、園からの“退園のアト”(園外教育・園の有料課外活動)と“卒園したアト”(小学校受験、将来の学歴期待)の“2つのアト”を検討してきた。また、これら“2つのアト”を支える教育費の問題も検討の対象にしてきた。
今回の調査で明らかになった“2つのアト”の現状をみると、“退園のアト”の園外教育・園の有料課外活動は非常に盛んである。もう1つの“卒園したアト”については、半数近い母親が今はまだ小学校にも通っていない子どもに将来の大学進学を期待している。首都圏の男子の母親の場合だと3分の2近くの母親が大学進学を期待している。母親は園に通わせながら園外の教育や卒園後の教育のことも考えている。
“2つのアト”はともに地域差、母親の就業状況差、学歴差などの差(格差)が顕著である。盛んで多数が行うことなのに差があること、このことは子どもの教育機会という観点から重大な問題である。子どもは家を選んで生まれてくることはできない。それなのに、生まれた家によって、あるいは性別などによって、園児の段階から格差社会の不平等を甘受しなければならないからである。
◆園外教育機関利用率の格差
ここでは園外教育に焦点をあてて、不均等な教育機会の現状をみてみよう。表1−4−16で、非大卒の母親の子どもは大卒の母親の子どもよりも園外教育機関利用率が低い。スポーツ系(非大卒36.3%、大卒50.3%)、芸術系(非大卒8.1%、大卒19.2%)、学習系(非大卒34.3%、大卒52.5%)の3タイプともに非大卒が大卒を大きく下回っている。
さらに同じ表で母親の就業状況別にみると、スポーツ系と学習系で専業主婦の利用率が高く、常勤の利用率が低くなっている。スポーツ系合計では最大で専業主婦と常勤の間で13.2ポイントの差(専業主婦45.9%、パートやフリー41.8%、常勤32.7%)、学習系合計でも最大で専業主婦とパートやフリーの間で12.9ポイントの差がある(専業主婦47.2%、パートやフリー34.3%、常勤39.1%)。
◆有名大学進学を意識した園外教育機関の利用
園外教育が広まった背景を考えてみよう。まず、第一に、従来、早期教育は情操教育や才能教育の側面から関心がもたれてきた。しかし、今回の調査では母親の意識/無意識の中では、園外教育は将来の教育と関係づけられていた。表1−4−17で、母親の学歴意識と学習系園外教育機関の利用割合の関係をみると、有名大学志向(「世間で名の通った大学に通ってほしい」)の母親の子どもは、非有名大学志向(「大学進学や学校名にはこだわらない」)の母親の子どもよりも、表にあるすべての園外教育機関で高い利用率になっている。しかも学習系の合計(延べ数)では有名大学志向61.0%対非有名大学志向37.4%と23.6ポイントもの大きな差になっている。有名大学志向が園外教育機関利用率の上昇をもたらしているのである。“退園のアト”は“卒園したアト”の影響を受けている。
