Benesse教育研究開発センター 学生満足度と大学教育の問題点《2001年版》

第5章 大学満足度の形成要因



第2節「授業・教育システム」総合満足度の分析

 総合満足度に関する評価数値は、第4章データ2において97年との変化も踏まえて紹介している。データ11にも再掲したように「3進路支援体制」に満足している学生(とても満足+まあ満足:%)は約3割、「4教員」や「5授業・教育システム」では約4割に過ぎない。“良し悪し”の基準を何に求めるのかは難しいが、決して高い水準とは言えないだろう。

 本節では、このうち「5授業・教育システム」総合満足度と関係の深い項目について確認してみたい。


データ11



1.意欲を刺激し、分かりやすさを確保する

 データ12には、「授業・教育システム総合満足度」と相関の高い項目を(相関係数0.5以上を中心に)掲載した。1997年調査において相関の高かった項目も参考に掲載している。算出基準が若干異なるので数値の大きさ自体を比較することは出来ないが、相関の高い項目の顔ぶれに1997年からの大きな変化はない。

 なお、授業評価など学生の声を教育改革に取り入れる教員が多い〔10〕、学生が主体的に活動するタイプの授業やゼミがある〔12〕の2つは、今回の調査から取り入れた項目である。


データ12

 
 「授業・教育システム」総合満足度と最も相関が高いのは「教員」総合満足度であり、以下「進んで受けたい授業が多い」、「内容豊富な授業が多い」など、学生が授業内容に魅力を感じ、刺激を受けられるか(インセンティブの有無)が重要な要素になっている。

 次に、授業運営や学生の理解度向上のために教員がいかに工夫を行っているか(レリバンスの確保)を示す項目が続いている。

 施設・設備に関する項目は前回に続き相関が弱く、人数と授業規模の適切性〔15〕で中位程度の相関(0.50)が見られたのみである。

 むしろ、個人的に魅力がある・影響を受ける教員〔11〕や授業以外でも教員と十分なコミュニケーションが取れる〔14〕など、教員から人格的な影響を受けることと「授業・教育システム総合満足度」の相関が高い。

 総合的な教育満足度向上に、個々の教員が果たしている役割の大きいことを改めて感じる。


2.学部系統別の傾向

 データ13には、「授業・教育システム」総合満足度と相関が高い項目を学部系統別に掲載した。ほとんどの学部系統で「教員総合満足度」や、授業から受ける「インセンティブ」、「教員によってレリバンス(適切性)が確保」された授業が強い相関を持っていることが分かる。


データ13

データ13-2

 教員の「専門性」(学問分野の専門家として優れた教員が多い)との相関が高かったのは、人文系統と社会系統、医療系統であるが、両系統においても、魅力ある授業内容の研究や、授業運営における工夫の方が「授業・教育システム総合満足度」との相関が高い。専門分野における優れた研究者は良い教官である場合が多いことを示す結果ではあるが、あくまで「学生を授業に惹きつけよう」という教員の姿勢が学生に認められている場合に限られるのではないかと推察する。

 人文・社会系統では、cレリバンスに関する項目よりもaインセンティブに対する要求が高いのに対し、医療系、自然科学系では「わかりやすい授業」が、授業内容に対するインセンティブ(進んで受けたい授業が多い、など)よりも重要視されている。

 第3章のデータ15・16において、医療系(特に薬学部)と自然科学系の各学部では、「授業レベルの適切性」のスコアが他の学部系統に比べて低いことを指摘したが、まさに学生もその点での改善を希求していると言える。――なお、第3章データ16から特に課題の大きい大学・学部が多いと予想できるのは次のカテゴリである。:国公立大学薬学部、同工学部、同理学部、私立A(入試偏差値52程度以上)工学部、同理学部

 なお、各項目のカテゴリとキーワードをデータ14として、整理してみた。未だ精度が不十分な点もあろうと思われるが、皆様からご教示をいただき見直していきたい。


データ14

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