小学校英語に関する基本調査 ハイライト&関連情報
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専門家の眼

調査結果にみる小学校英語 必修化への課題

上智大学外国語学部長 吉田研作先生

 

本調査の企画・分析にご協力いただいた吉田研作先生(上智大学外国語学部長、中教審外国語専門部会委員)に、調査の結果から言えることや今後の課題をお話しいただきました。

 

記者発表会(2006年11月7日実施)でのコメントを再編集したものです

 

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記者発表会での席上で話される吉田先生

文部科学省(以下、文科省)の調査をみると、小学校英語の本格導入について、教員は保護者に比べて消極的であるなどの結果が出ています。本調査の目的は、こうした状況をもう少し細かく把握することでした。

調査結果から言えることの1つは、英語の年間時数で分類すると学校ごとの違いが見えてくる、ということです。英語の年間時数が多い学校ほど、「うまくいっている」と感じています。また、ALTが英語教育の中心となっている学校は多いものの、年間時数が多い学校では学級担任が積極的に英語の授業に関わっていることなどがわかりました。

 小中連携、教材開発、教員研修・・・行政は早期対応を

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2006/11/7、大手町サンケイプラザ(東京)で行った記者発表会の様子

一方で、「中学校との接続・連携」「教材開発の時間や準備のための時間」「英語教育に関する教員研修」などさまざまな条件が不足しており、整備すべき課題も見えてきました。なかでも、中学校との連携は非常に重要な問題です。中学・高校を含めた英語教育全体を再構築しながら、小学校英語のあり方を考えることが必要になると思います。

また、英語の年間時数によっても学校が抱える課題に差が見られます。授業時数が多い学校ほど、教材開発やALTとの打合せ時間の確保が課題と感じているようです。

 

 

こうしたことから、英語必修化の実現のためには、文科省や地方自治体の教育委員会がその準備にどれくらい協力できるかがポイントになるでしょう。教材面では、単に教材を提供するだけでなく、その使い方を含めたトレーニングを行っていけるか。研修面でも、英語の授業に携わる先生方すべてに2〜3週間という集中した研修時間が必要になりますが、それができるか。もし文科省だけで行うのが難しければ、まず、地方自治体の指導者向け研修を集中的に行い、その人たちが各自治体で指揮をとっていくような形が実現できるか、などです。早く決まればそれだけ早く準備に入れます。はっきりとした計画を立てて予算がとれれば、(必修化が本格的に実施されると言われている)2010年までに、ある程度のことはできると思います。

 小学校教員の意識

英語の必修化については、小学校の先生方の意見が二分されています。先生方には、先に述べた条件面が整備されないまま負担感が増すことへの不安があり、納得してもらうのは難しいでしょう。しかし今回の調査結果から、先生方は小学校から英語を行うことに対して反対しているわけではないこともわかりました。早い時期から英語を学ぶことは有効と考えているようです。先生方は「いろいろな課題を抱えているけれど、やってみようよ」という勇気はもっていると私は思います。そういう意味で、条件整備を進めることがとても重要だと思います。

→調査結果を見る PDF[PDF(3.87MB)]

<会場のマスコミ関係者との質疑応答より>

 

会場 小学校低学年の場合、英語の授業はどの時間を使って実施するのがよいと思いますか。

 

吉田先生 低学年には総合的な学習の時間のように直接に充てられる時間がありませんから、学校によって変わってくると思います(※)。私は、特に低学年の場合、英語学習の継続性が大切だと思っています。たとえ45分間授業をしても、それが1週間に1回だけだとあまり意味がない。むしろ、毎日、朝の時間などに10〜15分程度の時間を作って、英語の歌を歌ったり物語の読み聞かせをしたりすることを継続的に行っていくほうが、効果があると思います。

 

本調査の事前ヒアリングやカリキュラムの検討結果より、低学年の場合は生活科を充てているケースが多いと思われる(調査担当者)

吉田研作先生

上智大学外国語学部教授、外国語学部長、上智大学国際言語情報研究所所長。専門は、応用言語学。最近は、主に、文部科学省が提唱している「英語が使える日本人」の育成のためのさまざまなプロジェクトに関与している。著書は「外国人と分かり合う英語--異文化の壁を越えて」(筑摩書房)など多数。

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