「いま問い直す、大学での学び〜“高校4年生”から“大学生”へ」第5回 チューター制度
有本 章

▲有本章

Akira Arimoto
広島大学高等教育研究開発センター長、広島大学大学院教育学研究科教授。現在、全国大学教育研究センター等協議会会長、学術会議連携会員、日本高等教育学会理事、ユネスコ世界科学委員会委員・アジア太平洋地域議長、8カ国教育研究プロジェクト運営委員、等。高等教育学会会長、教育社会学会会長、大学基準協会あり方委員会委員、大学評価・学位授与機構運営委員、等歴任。
専門は大学・高等教育論,教育社会学。「高等教育概論―大学の基礎を学ぶ」(共編、ミネルヴァ書房)「大学教授職とFD―アメリカと日本」(東信堂)など著書多数。

※有本先生の著書はこちらでもご覧いただけます。

 


BERD教育情報通信 教育リポート
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教育リポート

「いま問い直す、大学での学び〜“高校4年生”から“大学生”へ」

第5回 チューター制度

有本 章(広島大学高等教育研究開発センター長 教授)

■第1回 社会変化と大学教育改革―問われる大学の教育力

■第2回 初年次教育

■第3回 リメディアル教育

■第4回 シラバスの活用

チューター制度とは何か

 チューター制(Tutorial 個人指導) は、外来語であり、イギリスのオックスフォード大学やケンブリッジ大学のように、個別に分かれたカレッジの中で教員が学生に対して行う個人指導の制度のことです。中世から発展した約800年にわたる長い歴史を誇る伝統的なカレッジ、あるいは「学寮大学」において機能してきた制度であり、カレッジの中で教員と学生が親しく交流することにより新入生が次第に真の大学生へと育っていくための制度であり、イギリスのよき伝統として高等教育の大衆化段階に入った現在まで持続してきました。


  人間教育には、教える者と学ぶ者との切磋琢磨や訓育・陶冶や阿吽の呼吸などの直接の人間関係あるいは教育関係が作用しますから、インターネットやe-ラーニングでは必ずしも実現できない世界があると言えるでしょう。少人数教育、塾、家庭教師などはチューター制と一脈通じる側面を備えているといってもよろしいでしょう。中世大学が重視した教師が学生に示した「親の肩代わり」「浸透過程」などはこうした教育の精神を物語っていますし、その中心にチューター制が機能したことが理解できるのではないでしょうか。今日のような、大衆化を遂げ、量が支配する高等教育の世界にも、長い歴史によって培われてきたスクーリング型、直接接触型の教育が見直され、あるいは模倣されて重視される傾向があるのは、このような教育の本質を反映していると考えられます。各国の大学においても、必ずしも同じものではありませんが、チューター制度として導入されています。日本でも、大方の大学で同様の制度が模倣されており、教員がさまざまな事柄について学生の相談にのっています。

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