中教審リポート


中教審「中間まとめ」解説:学習指導要領が変わる【3】

高校の授業時数の見直しと内容の改訂

Benesse教育研究開発センター 原 茂 (2007/11/09更新)

小中学校に引き続き、高校の教科別の改善の基本方針について紹介します。


 
参考資料: ※クリックすると別窓が立ち上がります。
高校/次期学習指導要領での授業時間数

高校教育の共通性と多様性

 高校が小中学校と大きく異なる点は、大学など高等教育を受ける基礎として必要な教育を求める生徒、就職等に必要な専門教育を希望する生徒、義務教育段階での学習内容の確実な定着を必要とする生徒など、生徒が非常に多様であることです。そのため、すべての生徒に共通に学ばせる教育内容(必履修教科・科目)は必要最小限にとどめられています。

 今回の中教審の「教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ(以下、中間まとめ)」では、学習指導要領改訂の基本的な考え方に続いて、改訂で充実すべき重要事項として、以下の6点をあげています。

(1)言語活動の充実
(2)理数教育の充実
(3)伝統や文化に関する教育の充実
(4)道徳教育の充実
(5)体験活動の充実
(6)小学校における外国語活動(仮称)

国語の改善の基本方針

 中学校までに培われた国語の能力を更に伸ばし、社会人として必要とされる国語の能力の基礎を身に付けることができるようにするとともに、生徒一人一人の能力・適性、興味・関心に応じた多様な学習が行われるよう、各科目の構成及び内容を次のように改善する。

【必履修科目】「国語総合」を必履修科目とする。標準単位数は4、ただし2単位まで減らすことも可能(現行は、「国語表現T」「国語総合」の2科目から1科目選択の選択必履修)。

国語総合
話すこと・聞くこと・書くこと及び読むことの学習が総合的に行われるように内容を改善する。その際、特に、文章や資料等を的確に理解し、論理的に考え、話したり書いたりする能力を育成することや、我が国の言語文化を享受し継承・発展させる態度の育成を通して、感性や情緒をはぐくむことを重視する。
国語表現
現行の「国語表現T」「国語表現U」の内容を再構成したものとする。「国語総合」の学習を踏まえ、文章や資料等を的確に理解し、論理的に考え、適切に話したり書いたりする力など、実社会で活用することのできる表現の能力を確実に育成するとともに、進んで表現する意欲や現代の国語の向上を図る態度をはぐくむようにする。
現代文A
新設。近代以降の文章を対象とし、生涯にわたって日常的に読書に親しむ態度をはぐくむ。
現代文B
現行の「現代文」の内容を改善したもの。
古典A
現行の「古典講読」の内容を改善したもので、古典の世界に親しむ態度をはぐくむ。
古典B
現行の「古典」の内容を改善したもの。

地理歴史の改善の基本方針

 地理歴史は、我が国及び世界の形成の歴史的過程と生活・文化の地域的特色についての理解と認識を一層深めさせるよう科目間の関連を重視するとともに、各科目で専門的な知識、概念や技能を習得、定着させ、それらを活用できるよう改善を図る。その際、地図を活用した学習を一層重視。

【必履修科目】「世界史A」「世界史B」の2科目から1科目選択。「日本史A」「日本史B」「地理A」「地理B」の4科目から1科目選択。地理歴史は合計で2科目が選択必履修(現行のまま)。中教審でもいろいろな意見が出されましたが、「世界史必修」です。

世界史A
地図、年表、資料などを活用し、地理的条件や日本の歴史との関連に一層留意しながら、諸文明の特質と現代世界の形成過程を理解させるとともに、人類の諸課題を追究する学習などを通して、現代世界に関する認識を深め、歴史的思考力を培うようにする。
世界史B
地図、年表、資料などを活用し、諸地域の地理的条件や日本の歴史との関連に留意しながら、世界の歴史の大きな枠組みと流れを理解させ、文化の多様性・複合性に関する認識を深めさせるとともに、適切な主題を設定して追究する学習を一層重視して、世界史の学び方や歴史的思考力を培うようにする。
日本史A
様々な資料を活用し、地理的条件や世界の歴史と関連させながら、課題を追究する学習を重視して、我が国の近現代の歴史や現代社会の成り立ちについて理解させ、歴史的思考力を培うことを一層重視する。
日本史B
様々な資料の活用を重視し、地理的条件や世界の歴史と関連させながら、適切な主題を設定して追究する学習などを通して、我が国の歴史の展開を総合的に理解させ、伝統や文化の特色についての認識を深めさせて、歴史的思考力を培うことを一層重視する。
地理A
防災などの生活圏の地理的課題に関する地図の読図・作図及び地域調査などの作業的、体験的な学習を充実し、実生活と結びついた地理的技能を身に付けさせるとともに、環境、資源・エネルギー問題などの現代世界の諸課題や持続可能な開発の在り方などについて地域性や歴史的背景を踏まえて考察させ、地理的な見方や考え方を培うことを一層重視する。
地理B
現代世界の自然環境、資源、産業、人口、都市・村落、人種・民俗などに関する地理的事象の分布やその要因などについて体系的に考察させるとともに、それらの学習で習得した知識、概念や地理的技能を活用して、世界諸地域の地域的特色を歴史的背景に留意して多面的・多角的に考察させ、地理的な見方や考え方を培うことを一層重視する。

公民の改善の基本方針

 公民は、よりよい社会の形成に自ら参画していく資質や能力を育成するため、各科目の専門的な知識、概念や理論及び倫理的な諸価値や先哲の考え方などについて理解させるとともに、それを手掛かりに各科目の特質に応じて取り上げた諸課題を考察させ、社会的事象に対する客観的で公正な見方や考え方と人間としての在り方生き方についての自覚を一層深めることを重視して改善を図る。

【必履修科目】「現代社会」または「倫理」・「政治・経済」の選択必履修(現行のまま)。

現代社会
人間としての在り方生き方についての学習や、議論などを通して自分の考えをまとめたり、説明したり、論述したりするなど課題追究的な学習を一層重視する。
倫理
人間としての在り方生き方への関心を高めることを重視する。また、生命、環境、情報、文化などを取り上げて、課題追究的な学習や討論を行うことを一層重視する。
政治・
経済
習得した知識、概念や理論などを活用し、課題を追究させる学習を一層充実させる。また、グローバル化や規制緩和の進展、司法の役割の増大などに対応して法や金融などに関する内容の充実を図る。

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