特別リポート
学習指導要領改訂で、「確かな学力」育成を
Benesse教育研究開発センター 原 茂 (2008/2/19更新)
2008年2月15日、次期学習指導要領の案が公開されました。めざすのは「生きる力」の育成。この改訂で公教育への信頼は回復できるのでしょうか?
小は2011年度、中は2012年度から施行
今回、公開された学習指導要領(案)は、幼稚園、小学校、中学校で行われる教育内容に関するもので、高校については、まだ、公開されていません。幼稚園の場合、学習指導要領ではなく、教育要領という名称です。学習指導要領は、それぞれの学校段階で、「どんな力や態度を育成するために」、「何を」、「いつ」教えるか、ということを定めたものと言えます。これが、改訂され、幼稚園は2009年度から、小学校は2011年度、中学校は2012年度から改訂された内容の教育が始まります。ただし、それに先立ち、2009年度から移行措置として、小学校と中学校で教育内容が一部変わるようです。
ねらいは「確かな学力」の育成
現在、小・中学校で行われている教育は、一部改訂は行われましたが1998年に示された学習指導要領にもとづいて行われています。この学習指導要領にもとづいた教育が学校で始まったのは、小・中学校は2002年度からでした。皮肉にも学習指導要領が示された後、日本では「学力に対する不安」がひとつの社会問題となっていきました。分数ができない大学生がいる、小学校では円周率を3.14ではなく3と教えるとか台形の面積の求め方を教えなくなる、などなど。さらに、2002年度から公立の小・中・高校が完全週5日制に移行し授業時間数が少なくなったことも加わって、「公立の学校教育」への不安が高まりました。その結果、東京などの都市部では、私立中学受験者が増え、公立から私立へという流れが強まりました。今回の学習指導要領の改訂は、これらの「学力や公立の学校教育への不安」を取り除くためのもので、ねらいは「確かな学力」の育成にあると言えるでしょう。
学習内容と授業時間数が増える
では、「確かな学力」を育成するために、学習指導要領はどのように変わるのでしょう。ひとつは、削減したものを元に戻すなど学習する内容を増やすこと、そしてもうひとつは、授業の時間数を増やすことです。学習内容を増やすことでは、例えば、現在の学習指導要領で学力不安のきっかけとなった、台形の面積の求め方を復活させ、円周率は3.14を用いることを明記するなどが行われます。大雑把にいうと、学習内容を現在の学習指導要領の一つ前のもの(1989年告示)に戻しているのです。
学年、教科別の学習内容の変更内容については、文部科学省のwebsite(※文部科学省にリンク)をご参照ください。
今回の改訂によって学習内容が増えますが、授業時間数がそのままだと授業がスピードアップし、一部の子どもが授業についていけなくなる可能性があります。そこで、学習内容の増加に対応して、授業時間数も増えます。授業時間数の増加は以下のようになっています。
【小学校】
国語は6年間で84時間増えて1461時間、社会は20時間増えて365時間、算数は142時間増えて1011時間、理科は55時間増えて405時間、体育が57時間増えて597時間になります。新たに小5と小6で外国語活動が週1回、各35時間加わります。逆に、総合的な学習の時間は150時間減って280時間になります。(グラフ1)
グラフ1:小学校の教科別授業時間数(新旧比較) |
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【中学校】
国語は3年間で35時間増えて385時間、社会は55時間増えて350時間、数学は70時間増えて385時間、理科は95時間増えて385時間、外国語は105時間増えて420時間になります。他にも、保健体育が45時間増えます。中学校の場合、現在、選択教科のなかでも上記などの授業が行われていますから、単純には比較できませんが、国がそれぞれの教科の授業時間数を増やすよう指定したと言えます。逆に、選択教科は廃止され、総合的な学習の時間も削減されて190時間になります。(グラフ2)
グラフ2:中学校の教科別授業時間数(新旧比較) |
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