学校や先生の在り方をめぐっては、要望やご意見のある保護者の方々も少なくないでしょう。しかし、当事者である先生方にとってみれば、「昔に比べて忙しく、余裕がなくなった」というのが本音のようです。そんな一端を示す数値が、先頃まとめられました。採用されて1年以内に辞めてしまう新任の先生や、管理職になっても自ら希望して降任してしまう先生が、増えているというのです。
公立学校の先生の場合、採用されてから1年間は、民間企業でいう試用期間に当たる「条件附採用期間」と位置付けられ、その後に改めて正式採用となります。ところが1年後に正式採用にならなかった人は年々増え、2008(平成20)年度不採用者は315人(前年度比14人増)に上りました。「全国でたった300人余りか。全採用者(約2万4,000人)から見れば1%程度じゃないか」とも言える数値ですし、本当に先生に向いているかどうかを見極める条件附採用制度が厳格に運用されていることの表れとも言えそうです。しかし気になるのは、そのうち教育委員会が「不採用」と決定した人は14人だけで、ほとんどは依願退職扱い(不採用決定者10人を含む)。しかも、93人は病気が理由だったということです。
一方、管理職からの希望降任については、2008(平成20)年度に62の都道府県・政令指定都市教委が制度化しており(前年度比3教委増)、合わせて179人(同73人増)でした。内訳を見ると、学校のトップである校長からの希望降任が一けた台にとどまっているのに対して、副校長以下の「中間管理職」からの希望降任が増える傾向にあるのが気にかかります。しかも、2008(平成20)年度から正式に法律で位置付けられた「主幹教諭」の発令が本格化するのに伴って、希望降任者は今後、もっと増えていくことが予想されます。
何より気になるのが、希望降任の理由として「健康上の問題」を挙げる人が53%と半数を占めていることです。次いで「職務上の問題」が25%ですから、職場環境の悪化により、心身ともに耐えられなくなった……と推測するのは、深読みのしすぎでしょうか。
これらの数値は、90万人以上いる公立学校教員から見れば、微々たるものであることは確かです。しかし、昨今の学校の様子と考え合わせると、どうしても「氷山の一角」のように思えてなりません。そのうえ、学校の先生は第2次ベビーブーム期に大量採用された50代の世代が多いため、世間より10年遅れて「大量退職」時代がやってきます。年齢構成を見ても、この10年ほどの間に半数近くを入れ替えなければならない計算です。つまり今後の学校は、新任教員が急増する一方で、中堅層が極端に薄くなるわけです。新任教員や中間管理職が疲れ果ててしまう状況が続くとしたら、この先、学校はいったいどうなってしまうのか……。つい、そんな心配をしてしまうのです。
何より子どもを教える先生たちには元気でいてほしいものですし、そのための職場環境づくりも欠かせないのではないでしょうか。

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。
1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代〜模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。
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自己業界(学校)だけでなく、他の業界における退職者数との比較をされれば、さらに説得力が増したのではと考えます。
我が子は現在高校2年生です。
教育学部を志望しておりますが、教員採用されるのも難関。
万が一、教員になれたのは良いが、多岐に渡る不安材料・・・。
我が子はやっていけるのだろうか・・・?
工学部の方が企業への就職も出来るから他の学部の方が良いのでは・・・?
と親として、気掛かりです。