年々増える教育費負担は、保護者にとって頭の痛い問題です。世界的な不況のなかで、年収の低い家庭が教育費を抑える一方で、年収の高い家庭は教育費を増やすという二極化現象が進んでいることが、「日本政策金融公庫」(旧国民生活金融公庫等が合併)の調査結果でわかりました。また、教育費を工面するため、半数以上の家庭が食費を節約しています。
調査は、国の教育ローンを利用している家庭を対象に実施したものです。それによると、高校入学から大学卒業までにかかる教育費は、学校教育費や学習塾などを合わせて、子ども一人当たり平均1,007万7,000円(前年度比15万9,000円減)。進学先の大学別に見ると、国公立大学の場合が831万9,000円、私立大学文系が1,015万2,000円、私立大学理系が1,145万7,000円となっています。
教育費支出を家庭の年収別に見ると、年収「200万〜400万円未満」の家庭は877万7,000円(前年度比12.2%減)」と支出が大きく減少しているのに対して、
「400万〜600万円未満」の家庭は986万5,000円(同0.8%増)、
「600万〜800万円未満」の家庭は1,055万4,000円(同2.6%増)
で横ばいまたは微増傾向、さらに
「800万〜900万円未満」の家庭は1,157万2,000円(同9.0%増)
と前年度に比べて約1割もアップしています。厳しい不況のなかで、年収の低い家庭は教育費を切り詰める一方、年収の高い家庭は逆に教育費を増やしていることがうかがえます。
小学生以上の子どもを持つ家庭で、教育費が家計に占める割合は、
「40%以上」が29.3%、
「20〜30%未満」が26.9%、
「30〜40%未満」が23.3%、
「10〜20%未満」が15.5%
などで、平均すると33.7%でした。
家庭の年収別に見ると、年収「200万〜400万円未満」の家庭の家計に占める教育費の割合は48.3%(同7.3ポイント減)と前年度より減少しているのに対して、「400万〜600万円未満」の世帯は35.7%(同1.9ポイント増)、「600万〜800万円未満」の家庭は30.2%(同2.9ポイント増)、「800万〜900万円未満」の家庭は26.4%(同1.6ポイント増)と、いずれも家計に占める教育費の割合が増えています。
教育費を工面するため節約している支出(複数回答)として最も多かったのは「旅行・レジャー費」ですが、割合は
2007(平成19)年が65.1%、
2008(同20)年が62.1%、
2009(同21)年が57.6%
と減少しています。その一方で、「食費」を挙げた家庭は43.8%→48.8%→52.3%と年々増加し、半数を超えました。旅行・レジャーなどの節約だけではもう限界で、教育費のために食費を節約するまでになっている、ということでしょうか。
教育費支出の二極化現象が進行すると、家庭の経済力による子どもの学力格差が、さらに拡大することが心配になります。新政権が打ち出した高校無償化などの実現を目指す予算折衝がいよいよ本格化しますが、家庭の教育費負担軽減のため、さらなる施策の充実が求められます。

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。
日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。
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