新しい学習指導要領が来年度から順次、本格的に実施されることはご存じだと思いますが、指導要領が変われば、その趣旨に沿って、通信簿の成績など「学習評価」の在り方も変わることになります。では、大幅に変わるのかと言えば、保護者から見れば「あまり変わらない」ということは、以前の記事で紹介したとおりです。ですが、学校の先生にとっては、実はけっこう大変な変更であり、当然、成績のつけ方にも、微妙に影響してきます。少し詳しく解説しましょう。
以前の記事でも触れましたが、通知表(通信簿)や調査書(内申書)の原簿となるのが「指導要録」です。児童・生徒一人ひとりの学習評価は、指導要録の様式に沿って行われるのが通例です。通信簿や内申書も、原簿である指導要録の学習評価を基にして、保護者や上級学校に必要な情報を伝えるものです。指導要録そのものが保護者の目に触れる機会はまずありませんが、学校にとっては最も厳重に扱うべき重要書類の代表例になっています。
この指導要録について、文部科学省は5月、新指導要領の下で何を記載すべきか、どういう学習評価をすべきかについて、都道府県教育委員会などに正式に通知しました。
「観点別評価」という言葉を、聞いたことのあるかたもいらっしゃると思います。指導要録の学習評価は、教科ごとに定められる観点に沿って行われ、各観点の評価を総合的に判断したうえで、評定(小学校は3段階、中・高校は5段階)がつけられます。微妙に変わるのは、その観点です。これまでは、「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理解」でした。それが、新しい指導要録では「関心・意欲・態度」「思考・判断・表現」「技能」「知識・理解」に変わります。──といっても、ほとんど変わっていないように見えるかもしれませんね。しかし、思考・判断と表現が一体のものとされたことが、ポイントです。ここには、今後の授業に対して、「知識・理解」したことを使って自分で考え、さらにそれを文章や図、グラフなどに表現しながら、課題の解決に取り組む、という学習を重視してくださいね、そして、それをきちんと評価してくださいね、という意図が込められているのです。そうです、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)のB問題で問われるような「活用」の力を、学習評価でもきちんと評価しよう、ということなのです。
そうは言っても、成績のつけ方が具体的にどう変わるのか、ピンと来ないでしょうね。そこはまさに、各学校の腕次第です。来年度に向けて、授業や成績評価がどのように変わるのか、学校側の説明をよく聞いておくとよいでしょう。
なお、新しい小学校の指導要領では、5・6年生に「外国語活動」(小学校英語)が全校で導入されます。この学習評価は、「総合的な学習の時間」などと同じように、文章の形で評価することになりました。指導要録上、評定はつけられない、ということになります。

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。
1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代〜模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。
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学習指導要領が改訂されるのは、10年おきぐらいでしょうか。その他、細かな変更はあるかと思いますが、その改訂や変更に学校現場は対応できているのでしょうか。
現場の教師が対応できていない、怠慢だ、という指摘をしているのではなく、改訂後に現場の教師が対応できるまでにはそれなりの時間が必要であり、現場が十分対応可能かどうかを含めた制度設計・改正が必要だと感じます。
現場ができないことを、いくら計画しても絵に描いた餅にしかなりません。また、現場の教師に無理難題を押し付けるのも、どうかと思います。
評価の精度は、まさに教師の経験に左右されるところが大きいでしょう。評価の仕方を頻繁に変えてしまっては、それまでの経験が無になり、教師に負担がかかるだけになります。今の時代の教師は、そんなに暇なのでしょうか。
文部科学省や教育委員会の職員は、有能な方が多いとは思いますが、現場を知らない頭でっかちでは、現場の教師に負担だけが増すだけになります。