文部科学省は、大学などに対して、入学者数、卒業者数、就職者数などの進路情報の公開を、2011(平成23)年度から義務付けることにしました。実質的な「大学全入時代」に入り、大学の入り口と出口の情報を広く公開することにより、大学教育の質を保証していくことがねらいです。受験生や保護者にとっては、大学選びの参考資料が増えることになります。
中央教育審議会の「質保証システム部会」は今年4月、さまざまな情報の公開を大学に義務付けることなどを柱とする審議経過報告をまとめました。これを受けて文科省が、学校教育法施行規則や、大学設置基準などを改正し、公開すべき情報を列挙したうえで、11(平成23)年度から広くその情報を公開することを、大学に義務付けたものです。公開の対象となるのは、「教員数並びに教員の保有学位、業績に関する情報」「学生に関する情報」「学習環境に関する情報」「学生納付金に関する情報」「学生支援と奨学金に関する情報」などです。
このうち、大学進学希望者や保護者にとって最も気になるのが、「学生に関する情報」でしょう。具体的な中身は、収容定員、実際の学生数、卒業者数、(大学院などへの)進学者数、就職者数などとなっています。
ここで、「卒業者数なんて、今までも公開されているのでは」「就職状況などは、大学のパンフレットに載っているけど」などと、疑問に感じたかたもいることでしょう。ところが、実際の入学者数や卒業者数などを、一般に公開していない大学は、実は少なくないのです。また、卒業生の進路情報として就職状況などを載せていても、実際は採用内定者の延べ人数だったりして、学生の就職活動の成果をきちんと反映してないこともあります。就職者の実数などを、簡単には公開できない事情を抱えた大学もあります。学生数にしても、入学者数から4年後の卒業者数を引けば、どれだけの学生が中退や留年したかが、おおよそわかってしまいます。
文科省による入学者数、卒業者数、就職者数などの情報公開の義務付けは、大学の「入り口」と「出口」の部分の実態をできるだけ受験生や保護者に明らかにさせることを通じて、大学教育の質を維持・向上するよう大学側に努力を促すことが目的だと言ってよいでしょう。これまでも、大学設置基準などで、情報公開に努めるよう求めてはいたのですが、学校教育法施行規則ではっきりと情報公開が義務付けられたことにより、大学の進路情報の公開が一挙に進むことが予想されます。
公開が義務付けられるのは、進路に関する情報だけではありません。授業料以外の納入金の種類と金額、納付時期なども、公開対象になります。さらに、大学が学生に実施している就職支援活動の具体的内容や、メンタルヘルス(心の健康)など学生生活にかかわる支援内容、奨学金や授業料の減免制度などの有無と内容などの情報も、公開が義務付けられることになっています。

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。
日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。
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