世界的な不況の中で、大学生などの「就活」(就職活動)の厳しさが増していることが、大きな問題となっています。では、学生の就職先である企業などは、一体どんな人材を求めているのでしょうか。最近出された経済団体などの提言を基に、現在、企業など産業界が求めている人材と、その能力などを探ってみました。どうやら、「コミュニケーション能力」「論理的思考力」「行動力」の3つが、キーワードのようです。
かつて日本の多くの企業には、人材育成について、学校教育にあまり期待せず、採用後に企業内でトレーニングして自分たちで育てるという姿勢が強くありました。ところが、非正規雇用の増加など雇用形態の変化や世界的不況などで、終身雇用を前提に企業が新卒者を育て上げていくというシステムが機能しなくなりつつあります。
日本生産性本部は、先頃行った提言「人材立国にむけた国民運動の推進を」の中で、企業の教育訓練費が大幅に低下していることを指摘しています。最近の就活が厳しくなっているのも、不況による採用抑制だけでなく、人材育成の余裕を失いつつある企業が、社会人としての常識や倫理観などについて、ある程度完成された人材を最初から求めるようになったという側面もあるようです。
では、企業などが新卒者に求める能力とは、どんなものでしょう。同本部は、提言の中で「専門的知識・能力だけでなく、仕事を進めていくに当たっての基盤的な能力、あるいは仕事に対する熱意や関心、更には人間関係への配慮など基本的姿勢を備えた人材」と説明しています。このうち、基盤的な能力とは、「よりよい方策や変化を求めて常に考え抜く力」「あらゆる状況においても果敢に行動できる力」「集団としての競争力を高めることのできる力」であるとしています。言い換えれば、論理的思考力・行動力・コミュニケーション能力となるでしょう。
このうちコミュニケーション能力の重視は、当コーナーでも紹介したことがありますが、企業が論理的思考力を重視する傾向も、強まっているようです。
経済同友会の提言「理科系人材問題解決への新たな挑戦」は、理科系人材の育成について述べたものですが、これからの知識基盤社会では、文系・理系に関係なく、論理的思考力が必要とされると強調しています。また、海外留学者数の減少など、日本の若者の間で「内向き志向」が強まっていると言われていますが、国境を越えたグローバル社会の中で行動力が求められるのは、当然かもしれません。
このほか、経済同友会の提言「より良き教育現場の実現に向けて」では、子どもや教員だけでなく、保護者にも要望を出しています。勉強して大企業に入れば幸せになれるという考え方は通用しなくなったことを理解し、社会や企業が子どもたちに求める力が変わっていることを、保護者自身が知る必要がある……ということです。

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。
日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。
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良い学校、良い大学を出て一流企業に入れば将来が約束(?)されるという時代の中でそのように生きてきた私たち親世代から見ると、今の若い世代を始めとする子どもたちの世代は、本当に選択するのが大変だなあと、つくづく感じています。就職後の企業に頼れない分、自分でなんとかするしかないのでしょうか。親の負担がますます増えそうで、不安です。
小さい企業は、正直新人教育をやる余裕がないのは事実です(私の勤める会社も中途only)。しかし、本来であれば企業側が負担すべき社会人教育を大学側に求めるのはいかがなものか?海外採用が増えつつあるようですが、他国の大学とのカリキュラムの違いは?教養課程をやるべき1-2年で高校のおさらいをやっているのが問題なんじゃないか?と思ったりしますが、実際はどうなんでしょう。自分の子供には、大学にいったからには、4年間しっかり勉強をして欲しいです。