私立大学の入試が、いよいよピークを迎えようとしています。受験生にはぜひがんばってほしいものですが、保護者にとっては合格発表後、すぐに入学料や授業料などの納付が現実問題として迫ってきます。大学進学のための家計負担が年々重くなっていることは、このコーナーでもたびたび取り上げてきました。2010(平成22)年度のデータですが、文部科学省はこのほど、私立の大学などで初年度にかかる納付金の調査結果をまとめました。
それによると、4年制大学の場合、入学料は約26万9,000円で、前年度に比べ1.2%減と、ちょっぴり安くなりました。その代わり授業料は0.8%増の約85万8,000円、施設整備費が0.1%増の約18万8,000円となり、合計すると約131万6,000円で0.3%増えています。
入学料を抑える一方で授業料などを値上げするのは、ここ数年の傾向です。「安全校」受験には朗報でも、本命大学の授業料などが上がるのは、頭の痛いことでしょう。実際、初年度納付金はこの5年間で7,000円余りアップしています。
もちろん、これは全学部の平均です。系統別では、文科系学部が約115万5,000円、理科系学部が約150万2,000円、医歯系学部が約489万3,000円などとなっています。理科系、とりわけ医歯系が高いのは仕方ないことですが、文科系でも115万円を超え、理科系と35万円ほどしか差がないというのは、保護者の方々の学生時代からみれば驚くべきことかもしれません。
しかも初年度にかかる費用は、これだけではありません。「実験実習料」に約3万6,000円(前年度比4.2%減)、「その他」として約10万6,000円(同0.7%増)がかかっており、これらを合わせると約145万8,000円(同0.2%増)にも上ります。文科系でも約122万9,000円です。これ以外にも書籍代、通学定期代、あるいは下宿代など、さまざまな費用がかかることは、言うまでもありません。
では短大なら安いかというと、初年度納付金に限っても約113万1,000円。入学の年にかかる負担としては、4年制に比べて格段に安いとはとても言えない額でしょう。
高等教育にかかる費用のうち、家計の負担が重いのは日本の特色であることも、これまでの記事で解説してきました。経済格差が広がるなか、どうやって家計負担を軽減するかが大きな政策課題となっています。政府の2012(平成24)年度予算案(外部のPDFにリンク)では、日本学生支援機構の奨学金について有利子・無利子ともに新規貸与人数を大幅に増やすとともに、年収300万円未満の世帯の場合は本人が卒業後に一定の収入を得られるまでは返還を猶予する「出世払い」制度(「所得連動返済型の無利子奨学金制度」)も設けることになりました。
ただし、昨夏の概算要求(外部のPDFにリンク)で文科省が返還義務のない「給付型」奨学金の創設を求めていたことから比べると、後退と言えなくもありません。次年度以降、さらなる負担軽減策が期待されます。

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。
1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代〜模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。
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