二瓶 健次 先生

総合監修:二瓶 健次 先生

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食中毒

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子どもは重症化しやすい食中毒。予防は1年を通して習慣に。

同じものを食べても子どもの方が重症に…

菌をつけない。しっかり殺菌。できたらすぐに食べる。菌を増やさない。  小さな子どもさんは単独で食事をとることが少ないので、一緒に食事をした人に同じようなタイミングで症状が出ることから食中毒だとわかります。主な症状は子どもも大人も下痢、嘔吐(おうと)、それに伴う発熱ですが、子どもの方が症状が強く出る傾向があります。

食中毒の予防には
・「菌をつけない」=食材は分けて保存し、生ものなどの菌をほかの食材に移さない。
・「菌を増やさない」=手早く調理し、調理したものは時間をおかずすぐに食べる。冷蔵庫を過信しない。
・「しっかり殺菌」=調理器具や食器を清潔に、調理の際はしっかり加熱する(特に冷凍食品の加熱は十分に)。

という大原則があります。それに加えて、おうちの方の予防(手洗い、マスク、うがいなど)が重要です。また、大人の気づかないうちに子どもが生ものをさわって、その手を口に入れてしまうということもありますので、食材の保存場所や調理中の置き場所にも配慮してください。

食事より、まず水分補給を

こんな時はすぐに受診を!ぐったりしている。汗や尿が出ない。血便がある。  子どもは、ひどい下痢や嘔吐があると短時間で脱水状態になってしまいます。食中毒が疑われる症状が出たときは、水分補給に気を配りながら様子を見て、血便が出る、ぐったりしている、汗や尿が出なくなったなどの異変があれば夜間でも急いで受診してください。また、水分がとれていても、嘔吐が数回以上続く、または下痢の状態が1日以上改善されないときは受診しましょう。受診の際は、症状が出る前にとった数回分の食事内容を思い出し、症状の経過(何日の何時ごろから症状があるか、症状に変化があるか、直近の嘔吐は何時ごろか)と一緒にメモして持参すると診察がスムーズになります。

 下痢や嘔吐のあるときは水分とともに体の電解質も奪われていますので、水分補給にはこれを補う幼児用のスポーツドリンクが最適です。吐かないようであれば1回50ml程度から与えはじめ、それで吐かなければ100〜200mlくらいと増やしてください。幼児なら、およそ1日に体重1kgあたり70〜100ml程度が目安です。水分を飲んですぐに吐くようならば、水分を与えずに受診してください。症状が治まってきたら食事を与えて。消化がよくて刺激の少ないものから徐々に通常の食事に戻していきましょう。離乳食の進め方と同じイメージです。

同じものを食べても子供の方が重症に…

感染予防の基本は手洗い! 以前は食中毒は夏場に集中していましたが、最近は夏以外の季節の食中毒が増えています。その原因としては、冷蔵庫を過信しすぎて古くなった食材を使うことが挙げられます。予防の大原則は、年間通して意識しておくことが必要でしょう。

 また、食中毒の原因として代表的なサルモネラは食物だけでなく、カメなどのペットから感染するケースも増えています。手洗いはすべての感染予防の基本。調理の前後だけでなく、日常的な手洗いを家族全員で習慣づけていくことが重要です。

二瓶 健次 先生

プロフィール


二瓶健次

東北大学医学部卒業。東京大学小児科、自治医科大学小児科を経て、 1979年から2001年まで国立小児病院神経科医長、 2001年から2004年まで国立成育医療センター神経内科医長 、2006年から、東京西徳洲会病院小児センター神経・発達部勤務。 小児神経学、発達神経学が専門。