• 中学●年生
  • 教育動向

日本最大級・『三内丸山遺跡』 縄文時代の地を行く

イメージが変わる? 『三内丸山遺跡』の遺跡・出土品

旧石器時代に続く縄文時代に、どのようなイメージをお持ちでしょうか。とても昔の時代のことで、縄文土器という言葉は「なんとなく知っている」という方が大半でしょう。

現代のコンピューターのように、瞬間的に計算式を出してくれるものがない当時では、高い技術を必要とする建築物は無理、と思われがちですが、発見された遺跡から高い水準の建築技術があったことがわかっています。

縄文時代の高い生活・技術水準を実際に見ることができるのが、『三内丸山遺跡』(さんないまるやまいせき)です。
『三内丸山遺跡』とは、縄文時代前期中頃から中期末の、今から約4000年~5500年前の大規模集落跡です。青森県青森市大字三内字丸山にあり、平成12年に国の特別史跡に指定されました。遺跡では、『竪穴住居跡』(たてあなじゅうきょあと)、『大型竪穴住居跡』、『掘立柱建物跡』(ほったてばしらたてものあと)、『大型掘立柱建物跡』などが確認されていて、現地にて復元されており、見学ができるようになっています。

当時の建築技術の高さを物語る、象徴的な建築物跡が『六本柱建物跡』です。大きさについても評価されているのですが、何よりも六本柱の柱穴の間隔4.2m、柱穴直径2m、深さが2mと、それぞれが全て統一されていることも注目されています。

このことは、測量の技術が当時すでにあったことを示し、大規模な建造物を建てる際に指示を出せる指導者の存在を表しています。加えて、腐食を防ぐため柱本体の周囲と底を焦がすという技術の存在も認められています。

板状土偶(ばんじょうどぐう)が大量に出土したこともそうですが、『三内丸山遺跡』では従来の縄文時代の生活像を変える出土品が多く見られます。
植物やクリやドングリなど、自然にあるものを採取していたと考えられていましたが、出土したクリのDNAを調べてみると栽培されていたものであることが判明し、他にも一年草のエゴマ、ヒョウタン、ゴボウ、マメなどの植物の栽培跡も確認されています。建築技術や栽培は、従来考えられていた文化水準よりもはるかに進んでいると認識させた出来事です。

出土品から学ぶ(知る)常識の変化

ここまで『三内丸山遺跡』の遺跡・出土品により、に今まで持っていた縄文時代のイメージが変わってきましたが、出土品からもう少し掘り下げていきましょう。
赤漆(せきしつ)塗りと言われる、くすんだ赤色で木目を染めてから透明の漆を塗る技法で作られた木製皿などが見つかり、この時代に漆製品が製作されていたと考えられます。漆の精製には専門技術を必要としますので、高い技術を持つ人がいたことがわかります。

ヒスイや黒曜石の出土も確認されています。ヒスイは『三内丸山遺跡』から600㎞ほど離れた、新潟県糸魚川周辺でとれるもので、黒曜石は北海道方面などでとれる石です。
このことから、当時すでに交流や交易があったこと、ヒスイや黒曜石を加工する技術と知識を持っていたことがわかります。

これらのように今まで当たり前で常識だと思っていたことが、新しい発見や調査技術の進歩などにより、がらりと変わってしまうことは意外とあるものです。固定概念というのは、もろく崩れ去ることもあるのです。

今まで大事にされてきた、しきたりや教えを大切にすることは必要なことですが、古い常識にとらわれて、新しい常識の変化に耳を貸さない・目を閉じてしまうのは、より先に進もうとする可能性をなくしてしまうことになりかねません。

思い切って新しいことにチャレンジする心を忘れないようにしましょう。

世界遺産登録も近づく~縄文時代の世界を見に行ってみましょう

「大型竪穴住居跡、掘立柱建物跡、大型掘立柱建物跡」など、実際に縄文時代の世界にふれに行ってみましょう。『三内丸山遺跡』の入り口となる施設として、『縄文時遊館』があります。
ここでは『三内丸山遺跡』から出土した、大型板状土偶をはじめとする重要文化財や遺物約1700点が展示されています。

『縄文時遊館』では、ボランティアガイドとよばれる縄文時代の世界をわかりやすく説明してくれる案内係が遺跡を案内してくれます。定時出発のため予約は不要で、料金は無料です。
展示室『さんまるミュージアム』においても、1日2回のミュージアムガイドが行われています。

アクセスは、JR青森駅から『三内丸山遺跡』まで所要時間約30分~40分の市営バスが出ており、新青森駅からも『あおもりシャトルdeルートバス・ねぶたん号』が運行し利便性がはかられています。

冬の季節は雪の多い場所なので、遺跡の多くは雪に隠れてしまいますが、まるで雪帽子をかぶったような景観だという声もあり、夏場とは違うふれあい方もできます。

アクセスマップ

名 称:三内丸山遺跡(縄文時遊館)
時 間:4月1日~5月31日、10月1日~3月31日・9時00分~17時00分
4月29日~5月7日、6月1日~9月30日・9時00分~18時00分(※入場は終了時間の30分前まで)
休 日:年末年始(12月30日~1月1日)
料 金:無料(駐車料金・遺跡の入場料も無料です)
住 所:青森県青森市三内丸山305
電 話:017-781-6078・017-782-9462
※情報は変更されている場合があります。

監修者プロフィール
河合 敦(かわいあつし)
多摩大学客員教授。歴史研究家。1965年東京都生まれ。多数の歴史書を執筆するとともにテレビやラジオなどのメディア出演多数。
代表的な著書に『日本史は逆さから学べ!』(光文社知恵の森文庫)、『もうすぐ変わる日本史教科書』(KAWADA夢文庫)などがある。

お子さまに関するお悩みを持つ
保護者のかたへ

このようなお悩みを持つ保護者のかたは多いのではないでしょうか?

\そんな保護者のかたにおすすめなのが/
まなびの手帳ロゴ ベネッセ教育情報サイト公式アプリ まなびの手帳

お子さまの年齢、地域、時期別に最適な教育情報を配信しています!

そのほかにも、学習タイプ診断や無料動画など、アプリ限定のサービスが満載です。

ぜひ一度チェックしてみてください。