2018年の教育(2) 小学校も変わる! 英語など移行措置スタート

2018年は、4月から小学校で、新学習指導要領(20年度から全面実施)の「移行措置」が始まります。それによって、3・4年生で「外国語活動」を年間で15時間(全面実施後は年間35時間)、5・6年生で教科「外国語」を50時間(同70時間)など、全校で新指導要領の一部が先取りされることになります。ただ、変化はそれだけにとどまらないことが予想されます。

先取り分は一時的に総合学習を減らして

現行の指導要領では、小学5・6年生で外国語活動を年間35時間(週1コマ分)行うことが必修化されていただけでした。それが新指導要領になると、3・4年生で新たに年間35時間、5・6年生で倍増の70時間と、いずれも年間35時間分の授業時間が増えます。今でも週28コマが限度とされる時間割はいっぱいですから、実際にはなかなか大変です。
そこで新指導要領では、「10分から15分程度の短い時間」を活用した指導(いわゆる短時間学習)を授業時間に含めることができるようにしたり、夏・冬休みなどに授業を行ったりしてもよいことを明記しました。▽1コマ45分の授業を60分にする▽短時間学習を2週間に3回程度実施する▽夏・冬休みに対話的な活動を行う……などの工夫が想定されています。
しかし全部の学校が、そうした工夫を、すぐにできるとは限りません。そこで移行措置期間に限り、総合的な学習の時間を減らしてよいということにしました。ただ、これはあくまで<緊急避難措置>のようなもので、全面実施になれば、総合的な学習の授業時間ももとに戻す必要が出てきます。

「カリキュラム・マネジメント」の大きな契機に

ところで今回の新指導要領では、各学校に、「主体的・対話的で深い学び」と並んで、「カリキュラム・マネジメント」(カリマネ)を行うよう求めています。児童生徒や学校・地域の実態をもとに、指導要領のねらいを実現するよう工夫しなさい……ということです。
英語教育の授業時間数増は、そんなカリマネの試金石となります。小学校にはこの2年間で、カリマネを真剣に考えることが、現実問題として迫られるのです。
これまでの改訂でも、小学校は、中学校・高校に先んじて教育改革の趣旨の実現に努力するトップランナーの役割を果たしてきました。「主体的・対話的で深い学び」も、文部科学相が中教審に諮問した2014(平成26)年11月の段階から、すぐにそのような授業の在り方を探る動きが活発になっていました。カリマネも2018(平成30)年度から、すぐに模索が始まることでしょう。
しかもカリマネは、一つの教科にとどまりません。どの教科でも共通して「資質・能力の三つの柱」(<1>知識・技能<2>思考力・判断力・表現力等<3>学びに向かう力・人間性等)を学校全体で育てよう……というのが、新指導要領のねらいだからです。小学校ではプログラミング教育も必修化されますが、どの教科で何時間実施するかは各学校の裁量に任されました。これも、カリマネが不可欠です。
英語教育をきっかけに、他の教科の授業も変わっていくことでしょう。それによって、これからの人生を、自らの頭で主体的に切り開いていくことができる子どもを育成するのが、新指導要領の趣旨であり、カリマネの役割なのです。

(筆者:渡辺敦司)

※新学習指導要領 移行措置関連資料
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387780.htm

※学習指導要領の改訂を提言した中教審の答申
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1380731.htm

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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