算数は苦手な問題がないため、何に重点を置いて勉強すべきかわかりません[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


【質問】

算数は特に苦手な問題がないため、何に重点を置いて勉強すればよいかがわかりません。
テストで間違えた箇所でもやり直しをすると正解することができるので、ケアレスミスが多いとは思います。どのようにしたらよいでしょうか?

相談者:小5女子(大ざっぱで論理的なタイプ)のお母さま



【回答】

目標をしっかり決めて毎日の学習を充実させる


■短期の目標もしっかり決める

まず、お子さまの現在の成績と志望校を整理してみます。大手塾の模擬試験で算数は偏差値60前後、そのほかの教科は偏差値55前後とのことですから、まずまずの成績といえるでしょう。公立中高一貫校を志望されているとのことですが、私立との併願も考えておられるのでしょうか。いずれにしても、「何に重点を置けばいいのかわかりません」という状態で勉強していくのはあまりよいことではありません。長期の目標はもちろん、短期の目標もしっかり決めて、毎日の学習を充実させる必要があるでしょう。

なお、現在どのような塾に通われているのかわかりませんが、模試の成績から判断して、国私立受験用のカリキュラムで勉強されていることを前提とします。

■公立中高一貫校のみをめざす場合

まず、公立中高一貫校のみをめざす場合を考えてみましょう。公立中高一貫校の算数の問題は、国私立に比べて(1)条件をその場で与える (2)特有の知識(解法)はいらない (3)手を使って考えさせる という特徴があります。「知識」よりも、「考える力」が問われる適性検査といえるでしょう。もちろん国私立受験でも「考える力」は問われますし、事実、同じような問題が出題される場合も少なくありません。しかし、国私立中学のほうが独特の「解法」を身に付ける必要がある適正検査であることは確かでしょう。

さて、そうした状況とお子さまの今の算数の成績を考えた時、さらに算数の成績を上げて偏差値65をめざすよりも、今までの勉強を継続しつつ、公立中高一貫校の問題に取り組み始めるのも一つの方法だと思います。公立中高一貫校の試験は、国私立の試験とは違った問い方をするので早めに慣れておく必要があると考えるからです。
ただし、今まで勉強した中で弱点単元があるなら、まずそこを克服してからにすべきだとは思います。

■国私立との併願をめざす場合

国私立との併願をめざす場合、恐らく志望する国私立中学校は上位校あるいは難関校に属する可能性が高いと思います。もしそうであれば、現在の算数の成績に満足することなく、より高い偏差値をめざすべきでしょう。まずは弱点単元を克服することで点数を底上げし、さらに得意単元をつくることで偏差値をアップさせるという方針です。

現状でもなかなかよい成績ではありますが、難問とされる問題にはさすがに手が付かない場合もあるのではないでしょうか。偏差値65以上をめざすには、そうした問題をも解く力を付ける必要があります。6年生になる前に、「その単元なら難問にも対応できる」という単元をなるべく多くつくることを目標にされるとよいと思います。

■さらなる国語力の強化をめざす

算数のみについて考えてきましたが、ほかの教科、特に国語を伸ばすという方法もあるでしょう。公立中高一貫校の場合、文章や資料を読ませて答えさせるという形式の適正検査が少なくありません。また、作文をはじめとして文章を書く能力も試されます。国私立受験とはやや違った観のある適正検査といえますので、実際に適正検査をご覧になって、足りないものがあると感じたらさらなる国語力の強化をめざすのもよい方法です。特に、書く力を付けることに時間をかけるとよいと思います。

さて、いろいろ提言をしてまいりましたが、重要なことは与えられた課題をなんとなくこなすのではなく、はっきりとした目標を立てて充実した時間を過ごすことです。6年生になると、社会や理科にもより多くの時間を注ぐ必要が出てきます。さらに、6年生の後半ともなれば、志望校の過去問演習にも時間をとられてしまいます。まだ時間に余裕のある今だからこそ、一歩先を考えた計画に沿って学習を進めていきたいものです


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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