どう過ごす? 受験生の年末年始(1)ふだんどおりの生活リズムを心がけよう [高校受験合格応援コラム 第9回]

前回は、「子どもの将来と進路選択」について取り上げました。今回は、いよいよ受験が迫った年末年始の過ごし方についてお話しします。



今年の年末・お正月行事は「縮小版」で!

受験本番まであと数か月。子どもも保護者のかたも、落ち着かない時期だと思います。とはいえ、世の中は年末年始ですから、気持ちは焦っていながら、おとそ気分に流される子どもも多いものです。保護者のかたは、「今年のお正月は縮小版」と割りきって、子どもが勉強に集中しやすい環境をつくってあげてください。

たとえば、年末の大掃除やおせちづくりは、今年は簡単に済ませてよいのではないでしょうか。あまり大々的に掃除や料理をしていると、子どもも落ち着きません。また、できれば年始の来客は「今年は受験生がいるので」と断ったほうがいいですね。家の中に、ある程度静かな空気を保つことが大切です。できることなら、受験生のお正月は元日のみ、と割り切って、2日、3日からは勉強に取り組んでほしいもの。そのためには、家族の配慮が欠かせません。

元日には、近所の神社やお寺に合格祈願に行く、受験日のルート確認を兼ねて第一志望校を見に行くといったことは、気持ちが改まってよいと思います。



模試や過去問で弱点の整理&机まわりの整理整頓を

この冬休み、子どもにぜひやってほしいのは、既に取り組んだ過去問題集や模擬試験などで「間違えた問題」を解き直すこと。模試はどこで減点されたかもわかるので、弱点を効率的につぶすことができます。きちんと答案を取ってあるなら、学校の定期テストや塾のテスト等も、単元別に弱点を見直すのに便利です。間違えた問題だけを集めた「間違いノート」を作り、解けるようにしていくと自信も付きます。新しい問題集に手を付けるより、一度取り組んで間違えたものをクリアしていくほうが、よほど身に付くんですね。

ところが、机まわりがぐちゃぐちゃで、模試の答案がどこへいったかわからないような状態だと、大きな時間のロスになります。ですから、模試や定期テストは教科ごとにファイルするなどして、探し物がすぐ出てくるようにしておきたいですね。年末の大掃除の時には、簡単でよいけれど、「机周りだけはきれいにするといいよ」と、子どもに声をかけてあげてください。一人では無理のようなら、子どもの意見を聞きながら手伝ってあげるとよいでしょう。
机まわりが片付くと気持ちもすっきりし、より勉強に集中しやすくなるのではないでしょうか。



「推薦入試出願OK=内定」ではない

私立高校の推薦入試を希望している場合、中学校側と私立高校側の入試相談が12月中旬に行われますので、冬休み前にその結果を通知されることになります。「推薦入試を受けてください」と言われたら、一般的には「ほぼ内定」と考えられていますが、実際は面接や作文で不合格になる生徒もいます。保護者のかたもつい「よかった、これでOKね」などと口にしてしまいがちですが、そうすると子どもの気も緩んでしまいますので、注意が必要です。また、一部の難関校では、推薦入試であっても適性検査などの名称で学力をみる場合があり、そこで不合格となるケースもあります。その学校の推薦入試がどういうスタイルで、合格率はどのくらいなのか、もう一度確認しておく必要がありますね。



面接・作文の練習を

高校の先生に話を聞いてみると、面接で不合格になる理由として「意欲がまったく見られない」「髪形や服装がだらしない」といったケースが多いようです。たとえば、志望動機が「親や先生に言われたから受けた」ではまったく意欲が感じられませんし、下を向いたままほとんど受け答えをしない場合も、人との関係をつくれない生徒と見なされてしまいます。緊張すると言葉が出ない、モゴモゴして言葉がはっきり言えない、敬語が苦手など、子どもによっていろいろな癖があると思いますので、「もう少し口をはっきり開けてしゃべったほうが伝わるよ」など、気付いたことは今のうちに注意してあげてください。

また、作文のテーマは、中学時代の印象的な出来事や高校生活への抱負など、オーソドックスなものがほとんどです。去年出たテーマと字数を調べて、練習しておくことが大切です。



学力は、今が伸び時

推薦入試を希望したのに「一般入試に回ってください」と言いわれたら、これはもう猛勉強しかありません。過去問をひたすら解いてみて、できなかった単元はしっかりと復習してください。多くの私立高校の一般入試まで、まだ1か月以上ありますので、挽回(ばんかい)は十分可能です。
これは、一般入試の志願者も同じです。多くの中学生は冬まであまり勉強しておらず、ここ1潤E2か月の努力で大きく実力を伸ばす子どもが多いのです。保護者のかたは学ぶ環境を整え、冬休み中もできるだけふだんどおりの生活リズムを守れるよう気を配ってあげてください。

次回は、冬休みに受験生の保護者のかたに気を配ってほしい点について、さらに詳しく述べます。



プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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