算数の文章題で、ケアレスミスを防ぐにはどうすればよいでしょうか[中学受験合格言コラム]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。

※小泉さんへのご質問は、不定期にBenesse教育情報サイトメンバー向けのメールマガジン「教育情報サイト通信」で募集をいたします(随時の受付は行っておりません)。


【質問】

算数の文章題を解く時、早とちりしてしまうことがあります。問題の大切なところに線をひくようにしているのですが、それでも間違えます。ケアレスミスを防ぐにはどうすればよいでしょうか。

相談者:小6女子(感情的・わんぱくなタイプ)のお母さま



【小泉先生のアドバイス】


ミスを防ぐ工夫と気持ちのコントロール


●ケアレスミスはこうして防ぐ
ケアレスミスは誰にでもあることですが、問題はその頻度。ミスをあまりしない人は、性格的に慎重だということもあると思いますが、ミスをしないための工夫もしていると思います。その工夫とは、まずは、ケアレスミスをしがちなところをチェックすることです。ケアレスミスは、案外同じところで起こすものです。ミスが目立つようなら、どこでよく間違えるかの一覧を作り、試験の時にはそこを間違えていないかを特に意識します。はっきり意識するために、線をひくなどを習慣にするとよいでしょう。

もちろん、見直しも大切です。「人はミスをするもの」という気持ちで、時間配分に留意しながら見直しにも時間をかけるとよいでしょう。さらに、模擬試験や過去問演習でミスをしたら、「やっちゃった……」で済ませるのでなく十分に反省すべきでしょう。真摯(しんし)な反省が次のミスを防ぐと思います。そしてなによりも大切なことは、平常心を試験中も保つことです。しかし、試験という特別な時間において、平常心を保つことはなかなか難しいとは思います。

●気持ちのコントロール
ケアレスミスの工夫が功を奏すのは、試験中にも平常心を保てていることが前提です。気持ちが必要以上に高揚していたら、見直しをしても同じところを間違えます。どんなところをミスしやすいかなど、忘れてしまうかもしれません。なにより、ケアレスミスを防ぐ工夫をすべきことも頭から消えてしまうでしょう。試験場で平常心を保つことは、なかなか難しいし大切なことなのです。

さて、この平常心ですが、具体的にはどのような心の状態でしょうか。これは持論ですが、平常心といってもあまりにのんびりしていては困ります。時間内で問題を解くわけですから、神経を集中させるためにある程度の気持ちの高揚は必要でしょう。さりとて、あまりに気持ちが高ぶっていては頭が真っ白な状態になり、パニックにつながってしまうでしょう。恐らく、ある程度高揚した状態で、気持ちをそれ以上に高揚させない、あるいはなえさせないように「コントロール」されている状態だと思います。

●どうしたらコントロールできるか
それでは、どうしたら気持ちをコントロールできるようになるのでしょうか。それには1にも2にも準備、すなわち練習だと思います。他の受験生と一緒に受験するのが気になる人は、できるだけ外部生と一緒に模擬試験を受けて経験を積むことです。試験の時に、隣の人の鉛筆の音が気になる場合もあるでしょう。あるいは、鼻をすする音が気になって集中できないかもしれません。暑すぎる、寒すぎる場合もあるかもしれません。本番の試験でも何が起こるかわかりませんから、そうした経験をいくつも積んで、それらに慣れることで気持ちをコントロールする術を学んでいくのです。

また、過去問演習を十分に行い、合格者平均をコンスタントに超えることができるようになっていれば、自信を持って試験に臨めます。自信を持てるというのは、自分をコントロールするための条件でしょう。練習でできないことが本番でできるわけはありません(できたとしたら、それはまぐれですが、本番にまぐれを期待するのはあまりに危険です)。

たとえば、その年の試験が非常に難しかったとします。自信のある子どもなら「自分がこんなに難しいと感じるのなら、他の受験生も苦労しているに違いない」と思えるでしょう。しかし、自信がない子どもは「難しい、ダメだ……」と気持ちがなえてしまいます。結果的にはその教科で合格者平均をとれていたのに、その失敗したという気持ちを引きずって、次の教科で実力が出せなかったなどという例がいくらでもあるのです。いくら出来が悪い、失敗したと思っても、平常心でベストを尽くす。これができれば合格の可能性は1段階上がると思います。

●性格的な差も考える
以上、ケアレスミスをどう防ぐかという話をしてきました。結論としては、ケアレスミスを防ぐ工夫をすると共に、気持ちをコントロールできるようになることが非常に重要だということです。そしてコントロールする術を会得するためには、練習を繰り返し、気持ちを保つための根拠となる「経験」を積み、「自信」を付けることです。なお、性格別に考えると、神経質なお子さんは、十分に準備して過去演習で結果を出し、それを信じて試験に臨むことがポイントでしょう。一方、大ざっぱなお子さんは十分な準備までは同じですが、よい結果を出してもあまり自分の力を過信しないで、最後まで1点でも多くとろう、何かミスはないかという気持ちを持ち続けることが大切だと思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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