中学受験、「転塾」させるときの注意点とは?[中学受験 5年生]

5年生の後半は学習内容が難しくなり、成績が伸び悩みがちな時期なので、転塾や学習法の変更を考える保護者のかたも多くなります。今回は、6年生になる前に塾や学習法を変える場合、注意すべき点について取り上げます。

5年生の秋・冬は、塾や学習法を見直すよい機会

5年生の秋・冬は、学習内容が非常に難しく、お子さまにとって大変な時期。「塾を変えるべきだろうか」と悩む保護者のかたも数多くみられます。受験本番まであと1年と少しですから、この時期に別の塾や学習法を検討してみるのはよいことです。
というのは、カリキュラムの進度や難易度は塾によって異なりますが、5年生までに学ぶ内容そのものには大差がありません。入試に必要なことは、ここまででひと通り学べているはずです。6年生からは、よりお子さまの適性と、志望校に合わせた学習が必要となってくるのです。ひとつの塾や学習法にこだわらず、お子さま主体に考えてみてください。

モチベーションが落ちているなら「休ませる」ことも大切

「転塾」を考えるきっかけとしていちばん多いのは、成績の低下です。3週以上続けて成績が落ち続けている場合、回復が難しくなりますので、お子さまの様子をよく見て原因を見極める必要があります。授業の進度がはやすぎてついていけない、先生との相性がよくない、習い事と両立できず忙しすぎるなど、さまざまな原因が考えられます。
単に疲れてモチベーションが落ちている場合、1週間ほど休めばまた元気に通えることも。やる気がない状態で無理に通わせるよりは、お休みしたほうがずっとよいのです。1~2週間、完全に勉強から離れさせるとずいぶん元気になる子も多いですね。

変えたほうがよいのは「わかっていない」「頭を使えていない」とき

先生や塾、学習法をはっきり「変えたほうがよい」といえるのは、お子さまが授業で「頭を使えていない」場合です。例えば算数で、本当は考え方や式の意味がよくわからないまま、丸暗記した手順を使って解いている場合や、記述式問題では、問題文の内容や意味がよくわからないまま、言葉をつなぎ合わせているといった場合です。お子さまの問題の解き方を、一度よく観察してみてください。

基礎をよく理解し、その基礎を自分の頭の中から引き出して「使う」ということができなければ、子どもは伸びません。「わかっていること」を使って解く習慣がついていないと、今は成績が良くても後で苦労します。

頭を使えていない場合は、一般に一斉指導より個別指導のほうが向いています。ただし、個別指導は指導者によってかなり効果に差が出ます。子どもの気持ちや発想をすくい取り、発言を促して、考える力を育ててくれる先生が理想ですね。

どこに変えるか、誰に相談する?

大手の塾であれば、苦手な教科は校舎を変えて別の先生の指導を仰ぐという手も考えられます。塾によっては、どんな子にはどの先生が向いているか情報が蓄積されていて、相談すれば「算数はA校、国語はB校で取るとよいですよ」などと教えてくれるケースもあります。
また、家庭教師センターや個別指導塾で、一度体験指導をお願いしてみるのも一つの方法です。家庭教師センターにはさまざまな塾の子が来ており、各々の塾や学習法に関する情報も蓄積されていますので、お子さまの性格や理解度に応じ、客観的なアドバイスをもらえる可能性があります。

子どもの「わかった!」という実感を第一に

塾のクラス分けや順位は、本人の成績が良いときはモチベーションを上げてくれますが、うまくいかないときは劣等感のもとになります。保護者のかたも、あまり序列や固定観念にとらわれず、あくまでお子さまの理解度と「わかった!」という達成感を大切に、学習法を見直してください。「ここなら授業がよくわかる!」「好きな先生や仲間がいる」「手が挙げられて楽しい」といった環境でこそ、子どもは伸びていくのです。

(筆者:森上 展安)

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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