今から始めたいこと、意識したいポイントは?[中学受験 低学年]

中学受験をめざす場合、4年生頃から本格的に受験勉強をさせようと考えているかたが多いと思います。今回は、小学校低学年の間に始めておくとよいこと、知っておきたいポイントについてお話しします。

具体的な「モノ」と「言葉」が結びつく環境づくりを

中学受験に必要な準備は、私立中学、公立中高一貫校、志望校の難易度によっても異なりますが、どんな学校をめざす場合も、「言葉」を使う力はとても大切になってきます。それも、「言葉をたくさん知っている」ことより、具体的な「モノ」と「言葉」を結びつける力が大切なのです。例えば昆虫が好きなら、実物を見たりつかまえたりすることと、見つけた虫を図鑑で調べることの両方をやるといいですね。好きなモノについて自分の言葉で語れること、具体的なモノを見たら言葉が、言葉を聞いたらモノが浮かぶ状態が理想的です。日頃からお子さまの好きなモノについておしゃべりを楽しむ、おもしろい図鑑や事典を用意して、気になることはすぐ調べられるようにするなど、モノと言葉が結びつきやすい環境づくりをしておきましょう。

「おもしろい!」体験をたくさん用意して

2020年度から実施予定の新学習指導要領で重視されている考え方が「構造化」です。知識を自分なりに組み立て、体系化する力が求められているのです。この「構造化」の前提として大切なのが、感動したり、おもしろがったりした体験です。「おもしろい!」と感じたことは記憶に残りますし、後で構造化されやすいですね。
例えば、釣った魚を料理して食べ、「楽しかった」「おいしかった」という体験があれば、魚の動き方や体のつくりが記憶に生き生きと残りますし、ヒトの体のつくりを知ったとき、魚との違いや共通点について考えることができます。体験が構造化の「軸」になるわけです。そのような体験の機会を、ぜひたくさんつくってあげてください。
ただし、子どもは大人の用意した体験に必ず興味をもつとは限りません。「楽しいといってくれたら大成功」くらいのつもりで、さまざまな体験を一緒に楽しんでいただければと思います。

英語に親しむ機会をつくる

新学習指導要領では、大学入試において、英語4技能の定着を図るために、民間の資格・検定試験を活用することが推奨されています。これに先立ち、大阪府立高校の入試では平成29年度より、英検などの外部検定テストの結果が得点に換算されることとなりました。このような動きを受け、近年、英語入試を取り入れる中学が増えています。ただし、求められる英語力は、初歩から英検2級程度まで、学校によってかなり差があります。
ですから、何らかの形で英語を学ぶことは、中学入試にも役立つと考えられます。しかも、9歳頃までは、語学の習得に適した時期といわれています。4年生になる前に、どの程度の英語力をめざすか、お子さまの適性にあわせて考えておくとよいでしょう。

計算、漢字などの「基礎力」は大切に

大学入試改革の方向性を受け、中学入試では「思考力」がますます重視されつつありますが、「思考力」を養うためには各教科の基礎的な力も重要です。学校で習う計算や漢字の書き取りなどがきちんとできているかどうか、注意してみてあげてください。

子どもが少し前を走る「二人三脚」の状態が理想

中学受験は親子の「二人三脚」で行う受験だといわれています。4年生の段階では、保護者がリードしてあげる必要がありますが、5年生、6年生と学年が上がるにつれ、主導権は子どもにもたせ、保護者はサポート役という形にしたほうがうまくいきます。理想的なのは「子どもが少し前を走っている」二人三脚の形です。
低学年のうちから「お父さん、お母さんと一緒に勉強するのは楽しい」という関係をつくっておくと、このような形が実現しやすくなります。
保護者のかたも、まずは遊びやゲームのつもりで、お子さまとの学びを楽しんでみてはいかがでしょうか。

(筆者:森上展安)

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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