この先の学費は? 教育費と中学受験

私立の中高一貫校に進む場合、授業料や施設設備費などは学校ごとにかなり違います。また、大学受験等にかかる費用も違ってきます。今回は、志望校選択の際、確認しておきたい教育費のポイントについてお話しします。

授業料や入学金のほか、施設設備費、教材費なども確認を

教育費は、どの学校に進むかによってかなり違ってきます。たとえば首都圏の私立校の初年度納付金をみると、60万円台から120万円を越えるところまで、かなり大きな開きがあります。
また、授業料、入学金、施設設備費のほか、教材費等にも学校によって差があり、海外研修がカリキュラムに組み込まれている場合など、年間20万円ほどかかる場合もあります。志望校を絞り込む際、家計から見て無理のない学校かどうかを確認することも大切です。ただし、世帯の収入や生徒の成績に応じて、様々な奨学金制度を設けている学校も多いので、利用できる制度があるかどうかも確認しておきましょう。

各都道府県の私立高校無償化・補助金制度を確認

現在、公立高校の授業料は無償化されており、私立高校にも就学支援金が国から支給されています。そのほか、独自に私立高校の授業料を低減する制度を設けている都道府県も多くあります。
たとえば大阪府には、年収590万円未満世帯の授業料は実質無償となる制度があります。また、東京都は、2017年1月、年収760万円未満世帯の授業料を、実質無償化する方針を決めました。都内の私立高校の授業料は平均約44万円(年額、文部科学省「平成27年度私立高等学校等授業料等の調査結果について」より)ですが、対象世帯についてはこれを国と都が給付し、教育機会の平等をはかる見通しです。これらの制度は各都道府県によって異なりますので、ぜひ一度調べてみていただきたいと思います。
このように、私立高校の学費の保護者負担は、世帯年収に応じ、従来の2分の1程度から実質的な無償化まで、大きく軽減の傾向にあります。志望校選択の際、この点はぜひ念頭においておきましょう。

大学受験までの費用はどう変わる?

私立校の説明会にいくと「学内の学習指導や受験指導がしっかりしているので、6年間塾に行かせる必要がない」と説明される場合があります。学習指導がきめ細かく、学習習慣をしっかりつけてくれる学校が多いのは事実であり、そこが私学の魅力です。特に全寮制の学校は寮費や食費がかかりますが、寮で塾のような学習指導を行っているケースが多く、その分「お得」だという考え方もあります。
ただし、都市部にある難関校でカリキュラムのスピードが速い場合、授業についていけるよう、補習として塾や家庭教師を利用している生徒もかなりいます。中学の間は学校の授業だけだったけれど、高校からは大学受験のために塾や予備校を利用する生徒が多くなります。
また、大学附属校に進めば大学受験の費用はほぼかかりませんが、ほかの私立校より学費が高めという傾向があります。

入り口と出口を見比べて「お得」な志望校選択を

中学受験を終えたあと、「子どもを難関校に入れたい一心で、当初考えていたよりかなり多くの予算を使ってしまった」と振り返るかたが数多くいます。もちろん例外はありますが、難易度の高い学校を目指すほど、塾や家庭教師、教材費なども高くなる傾向があります。ただし近年は、比較的入りやすいけれど、高い進学実績を出している学校も数多くあります。難易度の面からも、費用の面からも「無理をしすぎない」ことは大切ではないでしょうか。
お子さまの適性をのびのびと伸ばしてくれそうな志望校を見つけるとともに、その裏付けとなる教育費の使い方についても、ぜひ一度ゆっくり考える機会をもっていただければと思います。

(筆者:森上展安)

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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