2018年度中学入試 時事問題の傾向『ベネッセ進学フェア』

2017年5月、東京国際フォーラムで、中学受験を検討している保護者のかたやご本人向けに『ベネッセ進学フェア2017』が開催されました。同フェアでは、中高一貫校約180校が一堂に会し、直接先生に質問することもできるほか、学校選びの相談ブースが設置され、専門家による講演会も開催されます。
前回に続き、社会科入試問題の専門家、早川明夫氏による講演の内容をお届けします。

ここでは、5月末時点での、入試に取り上げられそうな事項をまとめてみました。

<日本>

1)2016年の訪日外国人 過去最高の2400万人
多いのは中国、韓国、台湾、香港からの訪日。増加の理由として円安、格安航空(LCC)の国際線の増加等があります。
法務省による国別の在留外国人(2015年末)は、中国が約30%で、次いで韓国が約20%、以下フィリピン、ブラジル、ベトナムの順に多くなっています。
また、2016年に外国人労働者は100万人を超えました。いちばん多い国は中国です。

2)天皇退位問題
退位後の天皇称号は「上皇」で、この称号は「太上天皇」の略。日本史上最初の太上天皇は持統天皇(生前譲位)でした。白河上皇による院政、日本国憲法に定められた天皇の国事行為、皇室典範についても押さえておきましょう。
尚、天皇が変わると年号が変わります(改元)。明治に入ってから、一人の天皇に対して元号は一つとする「一世一元の制」が定められました。

3)憲法改正の動き
憲法改正への動きが活発化しています。
関連して、憲法とは何か、第99条 憲法尊重擁護の義務(義務を負うのは天皇、国務大臣、国会議員などの公務員で、国民は入ってない)、欽定憲法である大日本帝国憲法と民定憲法である日本国憲法の違いについて整理しておくとよいでしょう。

4)沖縄関係 辺野古、海上工事に着手
米軍普天間基地の辺野古沿岸(サンゴ礁、ジュゴンの餌場)への移設が問題となっています。米軍嘉手納基地爆音訴訟で、住民が国に求める賠償金の額は過去最高302億円になりました。国土面積の0.6%、人口密度全国9位の沖縄県に、日本にある米軍基地の70%が集中しているなど、背景となる数字についても押さえておきましょう。

5)原発事故関連
福島の原発事故について、前橋地方裁判所は「国と東京電力は津波を予見できた」と指摘しました。一方、大阪高等裁判所は高浜原発(福井県)の再稼働を認めました。

6)「共謀罪」法案を閣議決定
テロなど準備罪処罰法法案。「平成の治安維持法」と呼ばれることがあります。

7)南スーダン、陸上自衛隊撤収へ
南スーダンの位置を地図帳で確認しておきましょう。

8)最高裁、令状なしのGPS捜査を違法と判断

9)「核兵器禁止条約」交渉に日本は反対

10)奄美群島(鹿児島県)34番目の国立公園に

11)ユネスコの世界遺産候補
・世界文化遺産「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺跡群」(2017年)
沖ノ島は「海の正倉院」と呼ばれています。
・世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎県・熊本県)(2018年)
・世界自然遺産「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島県・沖縄県)(2018年)

12)ユネスコの無形文化遺産申請へ
茶道、盆栽/8県10件の伝統行事「来訪神 仮面・仮装の神々」
(「男鹿のナマハゲ」など)

その他、森友事件(関連して国政調査権、教育勅語など)、徳川家康をまつっている日光東照宮の大規模修復作業終了、残業時間の上限「月100時間未満」、宅配便の再配達を減らすメリットなどもチェックしておきましょう。

<世界>

1)アメリカ関連
トランプ政権に関連して、アメリカの政党(トランプ氏は共和党、前大統領のオバマ氏は民主党)、TPP(環太平洋経済連携協定)からの離脱、シリアへのミサイル攻撃について押さえておきましょう。

2)北朝鮮関係
弾道ミサイル発射、金正男氏マレーシアで殺害されるなどの事件が続いています。日本と北朝鮮の関係(国交を開いていない)ことや、正式国名(朝鮮民主主義人民共和国)もチェック。

3)イギリス、EU離脱を正式に表明
ねらいは移民の削減など。EUの通貨(ユーロ。イギリスはポンド)、加盟国(イギリスが抜けると27か国)、本部(ベルギーのブリュッセル)など、EUの基本事項について押さえておきましょう。

4)貿易総額(モノに限定)、中国が2位に転落(2016年の貿易統計)
貿易総額は多いほうからアメリカ、中国、ドイツ、日本。輸出は中国、アメリカ、輸入はアメリカ、中国の順です。

5)韓国の朴槿恵(パク・クネ)前大統領を逮捕
大手企業からわいろを受けたり、友人に政府の機密文書をもらしたりした疑いで逮捕されました。新大統領に文在寅(ムン・ジェイン)氏、任期は5年です。

■時事問題に強くなるには?

ぜひ、ご家族で新聞を読んでいただきたいと思います。たとえば、その日の新聞の中でいちばん興味をひかれた記事、写真やまんがについてお父さんはこれ、お母さんはこれ…と選び、その理由について親子で話し合うといいですね。ニュースを材料に家族で話し合うと、会話が弾んで親子の絆も深まり、結果的に時事問題に強くなるなど、いいことづくめです。
小学生向けの新聞や雑誌もいろいろと出ていますので、ぜひ利用してください。読みながら、ちょっとしたことにも「?」と疑問を持ち、自分で物事を調べる習慣がつくと、興味関心もさらに広がり、文章を論理的に読む力もついてきますよ。

プロフィール


早川明夫

社会科入試問題研究の第一人者。大学付属中高の教頭を経て、文教大学で社会科の教員養成にあたった。現在、文教大学地域連携センター講師。主な著書に『応用自在』『考える社会科地図』『総合資料日本史』『地図っておもしろい!』(監修・執筆)ほか多数。『ジュニアエラ』の総監修者。

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