ここをチェック! 志望校を絞る前に、選択肢の幅を広げる【高校受験】

夏休み中に、高校見学会などに参加されるかたも多いと思います。
お子さまは2学期に入ると勉強も忙しく、気分的に余裕がなくなるため、志望校についても「受かりそうなところでいい」と考えてしまいがちです。
そこで今回は、お子さまの志望校を絞り込む際、保護者のかたに知っておいていただきたいポイントについてお話しします。

私立高校の学費無償化や補助金制度利用も視野に入れて

2017年度の首都圏のデータによれば、高校入試の受験生の7割が、公立高校を第一志望としています。一人当たりの受験校数は平均1.7校です。つまり、公立1校に私立1校を併願するパターンが多く、公立1校しか受験しない子もかなりいるということです。受験校数は大都市圏ほど多くなっています。
一方、近年は首都圏や関西圏を中心に、世帯の所得によって私立高校の授業料を無償化したり、補助金を出したりする自治体が増えています。たとえば東京都では、2017年度から、世帯年収が760万円以下の世帯に、都内私立高校の平均授業料である44万2千円を上限に国の就学支援金と併せ、補助することとなりました。これで高校の授業料は実質無償化となっています。
私立高校への学費無償化や減免制度は各都道府県によって異なりますので、ぜひお住まいの自治体について調べてみてください。そして、経済的な問題がクリアできるなら、ぜひ私立高校も検討してみてください。お子さまにぴったりな学校が見つかるかもしれません。

公立高校の多様化にも注目を

公立高校は、難易度と通いやすさで決めてしまいがちですが、多くの都道府県で学区の撤廃や拡大が進んでいるため、選択肢の幅が広がっています。また、都市部では交通網の発達によって、以前なら通えなかった学校も通学圏に入ってきています。中学の進路説明会などで、卒業生の進学先一覧が配付されることも多いので、先輩たちはどのあたりまで通学しているのかチェックしておきましょう。
公立高校の学科やカリキュラムも多様化しており、理数科、国際学科、スポーツ科、芸術科といった専門学科にも注目が集まっています。工業科、商業科などの改編も進み、就職と同時に進学指導にも力を入れているところが増えています。
スーパーサイエンスハイスクール(SSH)、スーパーグローバルハイスクール(SGH)など、文部科学省による指定校のほか、進学重点校、理数教育、ICT教育、福祉教育など、力を入れている分野によって、都道府県の指定を受けている高校もあります。指定校の入れ替えや、入試制度の変更が生じることもありますので、各都道府県教育委員会のホームページを「お気に入り」に入れるなどして、ぜひ定期的にチェックしておいてください。

男子校・女子校という選択肢を外す前に

お子さまが中学まで男女共学で学んできた場合、高校から男子校・女子校に進むという選択肢はあまり考えていない、という保護者のかたも多いのではないかと思います。しかし、男の子なら男子校と共学校、女の子なら女子校と共学校の両方を検討してみることをお勧めします。というのは、男女別学校では、男の子の育て方、女の子の育て方について深く考えて教育を行っているところが多いためです。たとえば女性の働く環境は改善されてきたとはいえ、子育て、介護などまだ女性の負担が大きく、様々なタイミングで転職や休職を余儀なくされるといった現実があります。女子校では、そのような現実を踏まえてどう人生を切り開いていくか、独自のキャリア教育を行っているところもあります。また、異性の目を気にせずに思い切り自分の好きなことに打ち込めるから男子校、女子校を選ぶという生徒もいます。

難易度の幅を広めに取り「行ける」高校より「行きたい」高校を見つける

2学期前半までは、「現状の成績で行ける高校」というふうに限定せず、難易度の幅は広く考えて検討したほうがよいと思います。秋以降に真剣に勉強を始めて急に伸びるお子さまも多いですし、周囲が頑張り始めたことで逆に成績が落ちてしまうケースもあります。選択肢の幅を広げながら、お子さまが「行ける」高校より「行きたい」高校を複数見つけておくことが大切です。
候補が絞られてきたら、学校説明会などを利用し、ぜひお子さまと一緒に学校に足を運んでください。

(筆者:安田 理)

プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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