[高校受験] 大学新テスト、高校入試の傾向から考える

大学入試改革の方向性を受けて、高校入試でも思考力や判断力、表現力を問う問題が増えています。このような力を磨くために、ご家庭でできることはなんでしょうか。
今年5月・7月付で公表された、2020年度から実施される「大学入学共通テスト」(新テスト)の問題例や、2017年度高校入試問題を見ながら解説していきます。

大学新テスト問題例の傾向——実社会の身近な題材から思考力を問う

大学新テストでは、思考力や判断力、表現力が重視される見通しです。特に今回公開された問題例では、実生活に関連した問題が目立ちました。
たとえば国語では、町の景観保護に関する行政機関の広報文書や、駐車場の賃貸契約の書類といった、実用文書が登場しています。また、数学では、公園に設置する銅像のよく見える位置を考えさせる問題、都道府県別の睡眠時間・平均気温・仕事時間のデータについて分析する力を問う問題が示されました。

高校入試でも増えている、思考力を問う問題

このような傾向を受けて、高校入試でも実社会の身近な題材を扱い、思考力を問う問題が増えています。たとえば2017年度千葉県立高校入試の英語では、天気予報を取り上げ、アナウンサーの質問に対する、気象予報士の答えを20語程度の英語で書かせる問題が出題されました。また、お茶の水女子大附属高校の英語では、外国人に「年賀状」について40語程度の英語で説明させる問題が出ています。

思考力の基盤となる「ふだんの生活」を大切に

このような問題は、覚えた知識やテクニックをそのまま当てはめるだけでは解けません。受験生は勉強だけしていればよいかというと、むしろその逆で、ふだんの家庭生活や社会経験がとても大切です。私たちの衣食住は、今日本や世界で起きている出来事と決して無関係ではなく、政治や経済、文化や歴史、科学と深いつながりをもっており、掃除や食事の支度、買い物といったお手伝いからも、学べることはたくさんあります。

また、衣食住はコミュニケーションの基盤でもあります。たとえば海外の家庭にホームステイをした場合、たとえ英語ができなくても、食事の支度を手伝うだけでお互いにわかりあえることがたくさんあります。どんな食材や食器をどう扱うかといったことに、お互いの共通点や違いを発見でき、より深いコミュニケーションのきっかけになるでしょう。

しかし、ふだん家でまったく家事をしていなければ、海外の知らない家庭でお手伝いができるはずはありません。家事に参加せずすべてやってもらうだけでは、せっかくホームステイをしていても、ホテルに泊まっているのと同じことになってしまいます。

また、新聞を読む、ニュース番組を一緒に見るなどして、日本や世界で起きている出来事について家族の中で話題にする習慣をぜひつけていただきたいと思います。

次回は実生活の中で思考力を磨く方法について、さらに詳しくお話しします。

(筆者:安田 理)

プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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