「中学受験二世」が増加中 4月の模試の結果を振り返る
4月に大手塾の模擬試験が実施されました。その結果を受けて、来年の受験者数と問題はどんな傾向になるのか、昨年の受験と倍率と偏差値の動向とを照らし合わせて、森上教育研究所がお伝えします。
「難化なき増加」が今年の受験の特徴だった
4月の模擬試験では、前年比で5%ほど受験者が増えました。ただ、4月に5%増えたからといって、実際の受験生が増えるかというとそうではありません。昨年を見てみると、同じく4月の模試では前年比2.7%増でした。このことを踏まえて、今年は最低でも2.5%~2.7%ほどの増加がありそうです。
中でも偏差値が真ん中から上の、上位校の倍率が上がるのが従来からの例で、来年も同様の傾向が予測できますが焦りは禁物です。というのも、今年の春の状況ではっきりしたことは2~3割受験生が増加した学校もある中、昨年と比較して偏差値が上がった学校はほとんどなかったからです。結果としては、倍率は上がったものの問題が難しくはなっているわけではないということです。
来年中学受験を迎えるお子さまは、難しい問題を解くことに注力するのではなく、取れるところを落とさないよう、落ち着いて勉強するのが吉と出るかもしれません。
昨今の中学受験は「中学受験二世」が多い傾向
最近改めて感じたのは、やはり偏差値至上主義に陥らず、お子さまに合った学校を選ぶことがいかに重要かということです。せっかく一生懸命勉強をして目指していた学校に入っても、校風になじめず不登校になってしまうのは残念なことです。
今年も来年も、受験日の新設や午後受験の新設、算数一科目入試の新設などが目立ち、学校選びの間口は広がります。だからこそ、「本当にその学校に行きたいのか」をお子さまと一緒に考えることが大切です。なぜなら、第一志望こそ、親子で運動会に行ったり文化祭に行ったりしてモチベーションを高めますが、併願校になると偏差値だけで選びがちで、実際にお子さまがそこに通うビジョンが見えてないご家庭が多いように思うからです。
また、中学受験にも波があり、今受験しようとしているお子さまは、保護者のかた(特に父親)が中学受験を経験している「中学受験二世」が多いのが特徴です。
こうした保護者のかたは、自らの経験と照らし合わせて、お子さまの学校選びをすることになりますが、以前ほどは大学合格実績に重きを置かなくなってきました。
例えば、進学校に通っていた保護者のかたの場合「勉強した記憶しかなくて、あまり学校生活は楽しくなかった」という実感があれば、校風や生活などよりリアルな目線で学校選びをすることもあるでしょう。その学校選びが、お子さまの等身大とまではいかなくとも、近くなってきているように思うのです。これは、学校選びにとってはいいことだと思います。
そういう意味でも昨今のブランド校に一極集中というよりは、自分の好きな学校を選ぶような流れも視野に入れて、お子さまがモチベーションを保ちながら通える学校選びができるといいですね。
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