後悔しない受験校選びの秘訣 子どもに合った学校選びのポイントとは

2018年6月3日、東京国際フォーラムで「ベネッセ進学フェア2018」が開催されました。私立中高一貫校約180校が一堂に集まり、各学校の先生方に直接質問できるほか、学校選びについて専門家に相談できるコーナーもあり、中学受験を考えている保護者のかたや子どもたちで賑わいました。

同フェアで開催された森上教育研究所の森上展安所長の講演から、「子どもに合った学校選びのポイント」を紹介します。

大学から考える受験校選び 大切なのはモチベーション&メソッド

2021年度から、大学入試が大きく変わります。
重要なのは高校時代の主体的な学びの成果が、大学入学者選抜で重視され、大学への学びにつながるという点です。高校時代に取り組んだ課題研究や課外活動等の成果について、本人が記載したe‐ポートフォリオ等の資料が、推薦・AO選抜でも一般選抜(一般入試)でも、おおいに活用されることとなります。

このような変化を見据えた場合、中学受験校選びで大切にしたいのは、ご本人の「モチベーション」と、大学の専門課程につながる学びの「メソッド」です。
いうまでもなく、モチベーション(意欲)がなければ学習は身につきません。学校選びには、ご本人がその学校に「行きたい」と思っていることがいちばん大切ですし、お子さまの意欲を引き出してくれそうな環境かどうかを見極める必要があります。

海外研修をうまく取り入れて 生徒の意欲を引き出している学校に注目

ここで注目したいのが、海外研修をカリキュラムにうまく取り入れている学校です。海外で、ネイティブの子どもたちや先生の前でスピーチやプレゼンテーションを行うといった行事を通して、生徒のモチベーションは格段に上がるといいます。「もっと話せるようになりたい」「もっと深くコミュニケーションしたい」と思えれば、英語4技能は自然に身についていきます。

大学での学びにつながる 課題研究の取り組みに注目

高校での「探究」を通して調査・研究のメソッドを身につけ、大学の専門課程に接続しようというのが新学習指導要領の大きなポイントです。ですから、課題研究やPBL(プロジェクト学習)のように、テーマを決めてグループで研究するような授業があるか、それがどのように行われているかをぜひ確認してください。

新学習指導要領では、知識・技能を身につけるだけでなく、それらを生かして現実の問題に対応する力が求められています。基礎的な知識や考え方を身につけて、一つの正解を出す力はもちろん大切です。しかし、現実社会で起きている問題の答えは、一つに決まらないことがほとんどです。立場の異なる人たちと話し合いながら、その状況下での「最適解」を求める力が必要とされているのです。

現在、学校現場では様々な方法で探究的な学習を取り入れており、特に豊島岡女子、鴎友、洗足といった女子上位校での先進的な取り組みが注目されています。また、大学付属校・系列校は、大学の知的資産を活用できるケースが多く、課題研究には有利といえます。
探究的な授業は、見学が可能であればぜひ実際にご覧になることをお勧めします。

まずは運動・睡眠・食事、そして学習習慣!

元プロテニス選手の松岡修造さんの言葉に「『真剣』になるのはいいが『深刻』にはなるな!」という名言がありますが、これは中学受験にも当てはまると思います。私は30年ほど中学受験に関わっていますが、今の受験生活にはゆとりがなくなっているなと感じることが多いからです。

小学校高学年は大切な成長期です。その時期に運動をしない、睡眠時間が少ない、食事がおろそか、スマートフォンを長時間見るといった不健康な生活を続けていると取り返しのつかないことになりかねません。無理を重ねて難関校に入ったものの、1年生の1学期で不登校になってしまうといったケースもあります。まずはお子さまの元気を第一に考え、生活のリズムを整えることが最優先です。そして、ご家族が気持ちにゆとりを持つことが、何より大切だと思います。

偏差値や環境の変化に振り回されず「軸」を見据えた学校選びを

ここ数年は大学付属校に人気が集中していますが、大学入試改革や23区内私立大の定員厳格化といった環境の変化によるところが大きいと思います。また、男子校・女子校の倍率が下がっていますが、これも近年のトレンドで、共学校より男子校、女子校に志望者が集中した時代もありました。また、偏差値や大学進学実績は気になるものですが、振り回されないことが大切です。お子さまが「行きたい学校」を選ぶのがいちばんです。そして、保護者のかたご自身が、お子さまに「生きる上で一番大切にしてほしいことは何か」といった自分なりの「軸」をもって学校選びをすることが大切だと思います。そうでないと周囲に翻弄されて、本質が見えなくなりがちです。

トレンドから少し引いた目線で見れば、あまり無理をせずに、お子さまにぴったりの学校が見つかるかもしれません。たとえば、2月1日の午後、2日・3日の男子校・女子校の入試は難易度に関わらず低倍率のところが多いですし、1教科入試や適性検査型入試など、お子さまの強みを生かせる入試を検討するのもよい方法です。

これからの子どもたちは、変化の激しい時代を生きることになります。これまでのように文系、理系を早くから絞るのではなく、「ジャンルを問わず興味のあるテーマを3本くらいもつ」といった考え方が必要になるでしょう。お子さまがユニークネス(唯一無二の自分らしさ)を伸ばせる環境、フロンティアを自ら開拓する楽しさを感じられるような学校を、「真剣に」、でも「深刻にならずに」、ご家族で楽しみながら探していただければ幸いです。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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